【カジノ】清崎民喜コラム:2016年の国会で「カジノ法案」成立へ!日本にカジノはいつやってくるのか?オンラインカジノの波はすでにやってきている

ラスベガスのカジノ

まだか、まだかとカジノを愛する多くの人たちが待ち望んでいるカジノ合法化。今年こそはと言われながら何度も先送りとなってきた。そして2015年も「来年の国会で成立を目指す」とIR議連の議員は力強く語っていたが、果たして本当に日本にカジノがやってくるのか?

カジノ合法化のための法案である「IR推進法案」を2016年の国会で通過させて、最終的には2022年に日本国内にカジノ施設を含めたIR施設が完成するというのが、IR議連が現在描く青描写である。当初は、2020年の東京五輪に合わせてカジノ施設を作ることで、より多くの海外からの観光客を呼び込み、五輪景気をさらに加速させるという思惑があったが、「決めきれない日本の国会」を象徴するかのように、様々な理由を付けては先伸ばす悪循環にカジノ法案がすっぽりはまってしまった感が否めない。

日本の国会

日本以外にもカジノ合法化へとかじを切っている国がある。例えば、東欧のウクライナでは2009年にギャンブルの提供と参加が違法となったが、近年財政難に陥っている国の歳入を増やすための手段としてカジノ合法が手段として挙がり、今年12月にウクライナ政府はカジノやブックメーカーの提供、参加を可能とする新「ゲーミング法」を議会に提出し、カジノ合法化へとかじを切っている。

また、地中海に浮かぶキプロスでは、今年7月にカジノ合法化を実現し、現在はIR(統合リゾート)の事業者を選定するプロセスに入っている。この事業者として手を挙げたのはアメリカ、フランス、ロシア、フィリピン、カンボジアの5か国計12社で、この12社からいくつかの段階を経て、2016年内には事業者が決まる方向となっている。これがうまくいけば、キプロスは2018年にヨーロッパでは初となるラスベガス方式のIRが完成することになる。

ブラジル五輪会場

2016年にリオ五輪開催を控えているブラジルでも、今年12月にギャンブル法案が賛成多数で関係委員会を通過し、上院、下院の承認、そして大統領が最終的に首を縦に振れば、ブラジルにもカジノ施設を作ることが可能となる。ブラジルの潜在的ギャンブル市場は2兆円超との見方もあり、ギャンブル法が成立、実施されることで約4800億円の税収増が見込まれるとされている。リオ五輪後にやってくるであろう「五輪不況」に備えて、新たにカジノによってブラジル経済を活性化したいという政府の思惑もあるだろう。南米のカジノ市場でブラジルは突出したポテンシャルを持っており(2番目はアルゼンチンで約3500億円、3番目はメキシコは約800億円)、日本のギャンブル市場とともに世界が最も注目する市場と言えるだろう。

スポーツベッティングを楽しむ人々

ラスベガスに象徴されるアメリカのカジノだが、現在はラスベガスのあるネバダ州やニュージャージー州などの一部の州を除いて、カジノは合法化されていない。私のコラムでも何度か書いてきたが、スポーツ最新国であるアメリカではスポーツの勝敗にお金を賭けるブックメーカー(スポーツブック)が非常に盛んで、NBAを中心にこのスポーツベッティングを国として合法化すべきとの機運が高まっている。そのアメリカのアラバマ州やジョージア州、フロリダ州などではカジノ合法化へ議論がなされている。

カジノを含めたギャンブルの合法化は世界的な潮流として今やトレンドとなっており、日本と市場を共有するであろう韓国やフィリピン、マカオなどではすでにカジノが合法化され、多くの外国人観光客を呼び込むのに成功しており、台湾では「カジノ構想」をぶち上げて、カジノ誘致へとかじを切っている。こういうアジア諸国の動きを見ていると、早く作ればいいというものでもないが、日本のカジノ合法化への動きが遅いと言わざるを得ない。

日本にはグランドカジノ成立の前に、すでにインターネット上での「オンラインカジノ」が入ってきている。現在、日本ではカジノで遊ぶことはできないので、カジノをプレイするにはカジノがある諸外国に行って行うか、このオンラインカジノで楽しむかの2択しかない。このオンラインカジノの代表的なものとして、オランダ領キュラソー島政府のライセンスを受けている「ドリームカジノ」や、フィリピンのライセンスを受けている「ジパングカジノ」などがある。また、日本でも人気の高い麻雀で初めて賭け麻雀ができる「DORA麻雀」(イギリス領ヴァージン諸島政府のライセンス)まであり、世界中のカジノファンを楽しませている。

オンラインカジノのゲーム(スロット)

これらのオンラインカジノ運営者はそれぞれの国でライセンスを付与されており、合法的に運営されている。じゃあ、日本にいながらパソコンでこれらのオンラインカジノを楽しむことができるのか?というのが多くの人たちが心に引っかかる部分である。法律家の見解を示しておきたいと思う。

「賭博罪は、犯罪の性質上、必ず複数の人間が関わる『必要的共犯』とされ、胴元と参加者という向かいあう関係の者たちが共犯となることから『対向犯』と呼ばれています。ところが、胴元であるブックメーカーは合法なので処罰できません。対向犯の一方である胴元を処罰できないのに、もう一方である参加者のみを処罰できるのか、という問題があるのです」

「自宅でこっそり参加する分には、公然性は皆無です。また、違法かどうかも明確でないのでいきなり逮捕される可能性はほぼゼロといっていいでしょう」
(ともに「弁護士ドットコム」より引用)

現状としては、日本でこのようなオンラインカジノやブックメーカーで個人的に遊んでいる人たちは結構多く、またそれを行ったということで検挙されたとの報告はない。ただ、今年問題となったダルビッシュ有投手の弟が、野球賭博を“主催すること”(胴元になる)は賭博開帳となり、罪に問われるので絶対にやってはいけない行為であることは付記しておきたい。

日本ではオンラインによるカジノや、現在合法化されている競馬や競輪、パチンコ、toto、そして宝くじなどのギャンブルは非常に盛んだ。そこにカジノがやってくればどれだけの経済効果等が見込めるか・・・と、IR議連を中心とするカジノ推進派の方々は考えている。2020年には東京五輪が開催されるが、そのあとに待っているのはブラジルの時にも触れた「五輪不況」だ。カジノを含めたIRがこの不況に対抗するために必要不可欠だというのが、現在の安倍晋三首相ら「アベノミクス」の見解でもある。

では、2016年に果たして日本でカジノ法案が成立し、カジノ合法化へ一気に進んでいくのか?IR議連によると、2016年の通常国会がスタートしたのち、速やかに役員会を開催して、IR議連総会を速やかに行い、2016年の臨時国会での「IR推進法案」可決との見方のようだ。IR議連事務局長の羽生田光一議員が官房副長官として官邸入りしたことも、プラス材料としてとらえられている。また、IR誘致先として有力視されている大阪では、11月の大阪府・市ダブル選挙でIR推進を進める大阪維新の会が圧勝したことで、さらにIR誘致へと進むことが予想される。

2016年はカジノ合法化が大きく動きそうなそんな予感がする。

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