ヨーロッパが世界のフットボールをリードし、最強を誇る地域であるということに異論をはさむ人はいないでしょう。
近年は2018年ロシアワールドカップで活躍を見せたアイスランドや、決勝にまで進出したクロアチアのような中小国の躍進も目立っており、全体的な底上げができています。
そんないい傾向をさらに促進し、さらなる強化を推し進めるための策として始められたのが、このUEFAネーションズリーグです。
1年間をかけて欧州サッカー連盟に所属する全ての国が激しい戦いを繰り広げるUEFAネーションズリーグの優勝オッズをブックメーカー「10Bet」が発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
日本時間の9月8日(土)午前3時45分キックオフの「ドイツ対フランス」戦からその戦いの火蓋が切って落とされます。
新たな国際大会!UEFAネーションズリーグとは
2018年より新しく開催されることとなったUEFAネーションズリーグ。2013年に提案されたのち、5年の歳月を経てついに実現することとなりました。
欧州サッカー連盟(UEFA)が主催するこの大会は、偶数年の9月から翌年6月にかけて開催される代表チームによる国際大会です。これまでそれぞれの国が独自に行ってきた国際Aマッチの強化試合を統合したような形と見ていいでしょう。
大会にはUEFAに所属する全55ヶ国が参加。代表チームのランキングに沿って、リーグAからDまで分けられます。
リーグBからDに所属するチームはそこで首位になれば上位リーグに昇格することができるほか、プレーオフで勝利するとFIFAワールドカップもしくはUEFA欧州選手権の出場資格が与えられるなど、ヨーロッパの代表チームにとってはいいことずくめといっていい大会となっています。
欧州以外にとってはマイナス?ネーションズリーグの及ぼす効果は
これまで、国際強化試合と銘打っていても実態は手抜きの親善試合となっていることが多く、あまり強化に役立たないことが多くありました。
それがUEFAネーションズリーグの開始によって公式戦という真剣勝負の舞台に代わることで、より効果的なチーム強化をすることができるようになるでしょう。
一方で、ヨーロッパ以外の国にとっては厳しい現実も。ヨーロッパの国々の国際Aマッチの強化試合のほとんどがそれぞれヨーロッパの国々同士で行われることとなり、日本のようなヨーロッパ外の国にとっては、強豪との強化試合が組みにくくなってしまいます。
ヨーロッパの戦力が上昇するのと相対的にその他の地域の戦力が下がることになりかねず、日本代表も今後の強化試合を組むにあたり、対策を取る必要がありそうです。
スペインが優勝オッズでトップに!世界王者フランス、3位ベルギーが続く
【UEFAネーションズリーグ2018-2019優勝オッズ】
※オッズは3日午前8時現在
<10Bet 登録方法>
ブックメーカー「10Bet」が発表した優勝オッズで、2018-19年UEFAネーションズリーグの優勝候補筆頭となったのはスペイン。オッズは4.75倍となりました。かつてバルセロナを率いたルイス・エンリケ監督のもと再出発した無敵艦隊の復活に大きな期待がかかっています。
2番手は2018年ロシアFIFAワールドカップで優勝を果たしたフランス。オッズは5.50倍となりました。若さと強さを兼ね備えたチームがさらなるタイトルに挑みます。
3番手はロシアワールドカップで史上初の3位と躍進を遂げたベルギーと、2014年ワールドカップ王者でありながら2018年はまさかの予選最下位という屈辱を味わったドイツで6.00倍。ベルギーはさらなる上昇、ドイツは悲劇的な敗北からの復活が期待されます。
5番手はプレーオフでスウェーデンに敗れ、60年ぶりのワールドカップ予選敗退の憂き目にあったイタリアで11.00倍、6番手はワールドカップ4位のイングランドで12.00倍、7番手はベスト16のポルトガルで17.00倍。
ロシアの地で決勝に進出し、大躍進を遂げたクロアチアは8番手の19.00倍となっています。
失意の”無敵艦隊”、失った覇権を今度こそ取り戻すことができるか
ワールドカップでは優勝を期待されたものの、開幕直前にフレン・ロペテギ監督が解任されるというアクシデントの影響もあり、ベスト16で敗退という結果に終わりました。
新監督にはかつてバルセロナでリーグ優勝2回、UEFAチャンピオンズリーグ優勝1回の実績を誇るスペインの若き名将ルイス・エンリケを招聘。巻き返しを図ります。
一つ注意したいのは、エンリケが非常にバルセロナ寄りの人物だということ。出身はカタルーニャではありませんが、かつてレアル・マドリッドからバルセロナへ禁断の移籍を果たし、バルセロナで監督を務め、アンチ・マドリッドの発言をすることでも知られています。
レアル・マドリッドとバルセロナの所属選手を以下に融合するかが古くからのスペイン代表の課題であるだけに、エンリケがそれを達成できるかにはまだ疑問符が付くでしょう。
しかし、それを実現することができれば、スペイン代表の覇権奪回は現実的なものとなるはずです。
若さと強さを兼ね備えるフランスは、さらなる高みを目指す
2018年ロシアワールドカップを制し、史上2度目の世界王者に輝いたフランス。ディディエ・デシャン監督にしてみれば、キャプテンとして優勝した1998年に続き、今度は監督としての優勝という素晴らしい結果となりました。
チームの主力選手はキリアン・ムバッペやアントワーヌ・グリーズマン、ポール・ポグバなど、まだまだこれからが全盛期といっていい若い選手ばかり。フランスの覇権は容易に揺らぐことはないでしょう。
過去の実績ではイタリアやドイツにまだ一歩譲るフランスですが、このまま名実ともにヨーロッパ最強国となる日も決して遠くないかもしれません。
新興国ベルギー、悲願のビッグタイトル獲得へ
優れた選手たちが多く成長し、ワールドカップ3位と躍進を遂げたベルギー。各ポジションに世界最高クラスの選手たちが集まり、一時期はFIFAランキングのトップに立つなど、今後も世界のトップを競うレベルにとどまることが予想されています。
ベスト16の日本戦でも決勝点の起点となった絶対的守護神ティボ・クルトワが今夏世界王者レアル・マドリッドへ移籍。司令塔エデン・アザールにもレアル移籍の噂があるほか、日本戦決勝ゴールのナセル・シャドリはモナコへ移籍が決まるなど、さらなるレベルアップが見込まれています。
長らくヨーロッパでは2線級の国だったベルギーが、超大国を上回ってヨーロッパ最強に名乗りを上げることができるでしょうか。