プロスポーツリーグをも上回る規模と人気を誇る世界最高クラスのアマチュアバスケットボールリーグ、NCAAカレッジバスケットボールのシーズンがやってきました。
未来のスーパースターたちがしのぎを削る戦いは11月6日(火)(現地時間)に開幕を迎えます。
<NCAAカレッジバスケットボール最新APトップ25ランキング>
日本人選手八村塁も大きな期待を集める2018-19年シーズンの優勝オッズをブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」が発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
NCAAカレッジバスケットボールとは
NCAAとは全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association)の略称で、アメリカの大学スポーツを統括する団体です。バスケットボール以外にもアメリカンフットボール、野球、アイスホッケー、テニス、ゴルフなどで高い人気を博しており、世界最大規模のアマチュアスポーツ団体としてその名を知られています。
NCAA全体の市場規模は約8000億円、収益も約1000億円にまで至っており、世界最大のプロバスケットボールリーグであるNBA(約5000億円)さえも上回り、同じく世界最大のプロ野球リーグであるMLB(約9000億円)に迫るほど。その高い人気ぶりがうかがえます。
バスケットボールはNCAAの中でも特に高い人気を誇る競技で、特に3月から4月にかけて開催される68校による全米最強を決めるトーナメントはマーチ・マッドネス(3月の熱狂)と呼ばれ、全米が大注目する一大イベントとなっています。
昨シーズンはビラノバ大が2年ぶりの栄冠に輝く
2017-18年のマーチ・マッドネスを勝ち抜き、決勝戦にたどり着いたのはビラノバ大ワイルドキャッツとミシガン大ウルヴァリンズの2チーム。
ビラノバ大は2015-16年に史上2度目の優勝を果たして以来2年ぶり、ミシガン大は2012-13年にルイビル大カージナルスに敗れて以来5年ぶりの決勝進出となりました。
テキサス州アントニオに位置し、バスケットボールのみならずアメリカンフットボールやアイスホッケーなどでも使用できる大型アリーナであるアラモドームで開催された2017-18年の決勝戦は、序盤こそミシガン大が優勢に進めたものの、前半10分ごろにビラノバ大が連続9得点を挙げて逆転すると、その後もリードを保ったままゲームを進行。最終的に17点差をつけ、79-62で見事勝利。2年ぶり3回目の優勝を手に入れています。
日本期待の星、八村塁がNCAA3年目のシーズンに挑む
2018-19年シーズン、日本人にとって一番の注目は何といっても八村塁でしょう。ベナン人の血を引く日本人である八村は、身長206㎝、体重106㎏とまさに日本人離れした体格を誇り、超人ひしめくNCAAバスケットボールの世界でも十分すぎるほどに通用している選手です。
NCAA挑戦3年目となる今年は優勝候補の一角である名門ゴンザガ大ブルドッグスで主力を担い、10月下旬にAP通信が行ったNCAAオールアメリカン投票では9位タイに入るほどの注目株となりました。今シーズンの終了後には大学卒業を待たずしてNBA入りすることが予想されています。
今シーズンは昨シーズンまでNCAAのジョージ・ワシントン大学でプレーしていた渡辺雄太がNBAのメンフィス・グリズリーズと2-way契約を結び、10月27日のフェニックス・サンズ戦で2得点2リバウンドを記録して田臥勇太以来2人目の日本人NBAプレーヤーとなったことが大きな注目を浴びていますが、八村はその渡辺よりもさらに高い評価を受けている逸材。ドラフトの目玉の1人となるかもしれません。
優勝オッズ筆頭はデューク大!八村のゴンザガ大も優勝候補3番手に付ける
【NCAAカレッジバスケットボール2018-2019優勝オッズ】
※オッズは5日午前7時現在
<ピナクル 登録方法>
ブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」が発表する優勝オッズで優勝候補筆頭に挙げられたのは、デューク大ブルーデビルズ。2015年に優勝を果たし、歴代5位となる通算5冠を誇る名門がオッズ6.160倍でトップとなりました。
デューク大の対抗馬として2番手に挙げられたのは、カンザス大ジェイホークスでオッズは7.490倍。2007-08年シーズン以来となる優勝を狙います。
3番手は八村塁擁するゴンザガ大でオッズ8.590倍。2017年に初めて決勝戦に進出した成長株が悲願の優勝に向け、好位置につけています。
4番手は通算優勝回数2位の8回を誇るケンタッキー大ワイルドキャッツでオッズ9.410倍。5番手は昨年度王者のビラノバ大で10.940倍となりました。
“レブロン2世”と呼ばれるスーパールーキーがデューク大を頂点へ牽引する
2015年以来の復権を狙うデューク大。その切り札となるのが超大型ルーキー、ザイオン・ウィリアムソンです。
201㎝、129㎏という18歳とは思えないような体格に加えて、そのスキルもすでに超大学級。10月23日のバージニア・ユニオン大との対戦ではど派手なダンクを決め、観衆の度肝を抜きました。
すぐにでもNBAで通用するとの声さえ上がるレブロン2世が、名門を再び王座に押し上げる日は決して遠くないことでしょう。
世代最強ポイントガードを獲得したカンザス大、10年ぶりの戴冠なるか
昨シーズンは決勝進出を果たした2012年以来となるベスト8まで進出したカンザス大。2008年以来となる優勝に向けて、大いに意気の上がるところでしょう。
そんなカンザス大注目の新人がクエンティン・グライムス。すでに2019年のドラフトアーリーエントリー候補の一人として注目を集める逸材です。
U18アメリカ大陸選手権でMVPを獲得するなど、世代最強のポイントガードと目される彼がカンザス大覇権奪取の最後のピースとなるでしょうか。
日本史上最高の逸材を擁するゴンザガ大が悲願の初優勝へまい進する
昨シーズンはベスト16に終わったゴンザガ大ですが、2015年以降4年連続でのベスト16とあって、その実力も高いレベルで安定したものとなりつつあることが伺えます。
もはやゴンザガ大に足りないものは優勝の二文字だけといっても過言ではないでしょう。
注目の選手はもちろん八村塁。1年次にはあまり出番が与えられませんでしたが、2年次には重要な役割を与えられて大きく成長。チームの主軸はおろか、リーグ屈指のプロスペクトの1人にまでジャンプアップしています。
八村はNBA挑戦の前に、ゴンザガ大へ優勝を置き土産とすることができるでしょうか。