日本の競馬界では「ローカル開催」と称してG1レースが行われない夏のこの時期ですが、海外競馬では数多くのビッグレースが開催されています。
その中から今回は、アメリカのサラトガ競馬場において当競馬場最大のイベントとして開催される3歳戦のトラヴァーズステークス(海外G1、約2012㍍、ダート)。そして、イギリスのヘイドック競馬場で行われるヘイドックスプリントカップ(海外G1、1200㍍、芝)の両レースをご紹介しましょう。
トラヴァーズステークス2016
トラヴァーズステークスは別名ミッドサマーダービー(Midsummer Derby・真夏のダービー)とも称され、アメリカクラシック三冠に次いで価値のあるG1レースと言われています。
また、トラヴァーズステークスの同日にはサラトガ競馬場においてG1競走が6レース組まれており、大変な賑わいをみせています。
昨年は単勝オッズ1.35倍と圧倒的支持を集めていた2015年アメリカクラシック三冠馬アメリカンファラオ(American Pharoah)がデビュー戦以来の敗北を喫することとなり、波乱の決着となりました。
【トラヴァーズステークス2015レース映像(勝ち馬:キーンアイス(Keen Ice))】
アメリカンファラオが三冠を達成した昨年とは打って変わり、今年は異なった3頭で分け合う形となったアメリカ3歳路線。その延長線上にあるトラヴァーズSですが、今年は7頭立てと少頭数ながら非常に楽しみなメンバーが揃いました。早速ブックメーカー「bet365」から発表されているオッズと共に、注目馬の動向を見ていきましょう。
【トラヴァーズS2016単勝オッズ】
※オッズは25日午前9時現在
今年のトラヴァーズステークスにおいて3.50倍と、オッズ上で中心視されているのがプリークネスステークス(海外G1、1900m、ダート)を制したエグザジャレイター(Exaggerator)です。
アメリカクラシックの一冠目となるケンタッキーダービーを無敗で制したナイキスト(Nyquist)を、二冠目のプリークネスステークスにおいて退け、見事に勝利をもぎ取ることとなりましたが、三冠目のベルモントステークス(海外G1、2400㍍、ダート)においてはナイキスト不在の中1番人気に推されながらも11着と大敗を喫することに。
そんな中迎えた前走のハスケル招待ステークス(海外G1、1900㍍、ダート)では、ナイキストやケンタッキーダービー3着のガンランナー(Gun Runnner)を抑えて勝利。プリークネスステークスの結果がこの馬の実力のすべてではなかったことを証明すると同時に、混戦模様のアメリカ3歳路線で大きなイニシアチブを得ることとなりました。
また、実績はもちろんのこと、ベルモントステークス以外では複勝圏内を外していない安定性なども大きな魅力です。
とはいえ、過酷なローテーションのアメリカクラシック皆勤賞であったことに加え、今年既に8戦目を迎えることや、今年挙げた3勝はすべてが重馬場で開催されていたレースであることなどを考えると、同馬に不安材料が全くないとは言い切れないでしょう。
【ハスケル招待ステークス2016レース映像(勝ち馬:エグザジャレイター)】
3歳世代の主役の1頭として活躍し続けてきたエグジャザレイターに対するのが、夏の上り馬アメリカンフリーダム(American Freedom)。オッズ上でも7.00倍と高い評価となっています。
デビューが2016年4月と遅かったこともあり、今年のクラシックには不参加だったアメリカンフリーダム。前々走のアイオワダービーを5馬身近くつけて圧勝。満を持して迎えたハスケル招待Sにおいては3歳一線級を相手に2着入線の好結果を残しました。
ベルモントステークス組からは優勝馬クリエイター(Creator)そして2着馬デスティン(Destin)の2頭が名を連ねていますが、オッズ的にはデスティンが11.00倍。クリエイターに至っては15.00倍と、実績から考えるとやや低い評価となっています。
この要因としてはベルモントステークスがかなりタフなレースであり距離も相まってスタミナ勝負になっていたことに加え、トラヴァーズステークスの前哨戦のひとつであるジムダンディーステークス(海外G2、1800㍍、ダート)では未勝利馬のラオバン(Laoban)にまんまと逃切り勝ちをされてしまったことも大きいでしょう。
とはいえ、前走に比べて200mほど距離が長くなるのは両頭にとってプラス材料であることに変わりはなく、やはりタフなレースになれば十二分に出番があると言えます。
当日の馬場状態によっても結果が大きく変わりそうな一戦。トラヴァーズステークスは8月27日(日本時間の28日午前7時)に行われます。
ヘイドックスプリントカップ2016
欧州夏のスプリント路線の総決算がヘイドックパーク競馬場で行われるヘイドックスプリントカップ。まずはブックメーカー「Paddy Power」から発表されているオッズをご覧いただきましょう。
【ヘイドックスプリントカップ2016単勝オッズ】
※オッズは25日午後1時現在
未だに確たる主役が不在の欧州スプリント路線。「Paddy Power」が発表しているオッズを確認してみても、上位勢の多くはほぼ横並びの評価となっています。
昨年のヘイドックスプリントカップを制し、今年もロイヤルアスコット開催のダイヤモンドジュビリーを制するなど、出走馬中でも最上位の実績馬がトワイライトサン(Twilight Son)。
前走のジュライカップでは上位人気に推されながらも13着に敗れ去った事から、オッズ的には7.00倍と決して抜けた評価ではありません。
昨年のヘイドックスプリントカップ3着馬のマジカルメモリー(Magical Memory)や、フランスのモーリスドギース賞(海外G1、1300㍍、芝)を制したサインズオブブレシング(Signs of Blessing)はそれぞれ9.00倍の評価となっています。
上記3頭よりも高い評価(5.50倍)を得ているのが3歳牝馬クワイエットリフレクション(Quiet Reflection)。ジュライカップでは古馬相手に3着入線を果たす健闘をみせたことがこのメンバーの中でも上位の評価を得ている裏付けでしょう。
夏の欧州スプリントレース総決算、ヘイドックスプリントカップは日本時間の9月3日午後11時45分に発走予定です。