2年に1度、世界最強のゴルフ大国アメリカから選び抜かれた最強集団に、ヨーロッパを除いた世界の最強ゴルファーたちが挑むプレジデンツカップの開催が近づいてきました。日本の松山英樹を中心とした世界選抜がダスティン・ジョンソンやジョーダン・スピースらを擁するアメリカ選抜と激しく火花を散らすこの大会は9月28日(木)に幕を開けます。
ブックメーカー「888sport」が発表した優勝オッズをもとに、世界トップクラスの選手たちが集うプレジデンツカップ2017を展望していきましょう。
プレジデンツカップとは
プレジデンツカップは、アメリカ選抜と、ヨーロッパ以外の国籍による世界選抜が勝敗を競う2年に1度の大会です。1927年から続くアメリカ対ヨーロッパの対戦であるライダーカップに対し、両地域以外の有力選手が多く現れてきたことから1994年に創設されました。
ライダーカップは当時ゴルフ界で最も盛り上がる大会とされていましたが、どれほど強くともアメリカとヨーロッパ出身選手以外は参加することができないもの。そんな状況を憂いた当時世界ランク1位でオーストラリア出身の名プレーヤー、グレッグ・ノーマンがプレジデンツカップ創設を提唱したことが創設のきっかけです。
その後プレジデンツカップはライダーカップの行われない年に開催されるようになり、今回で12回目。2017年はアメリカ・ニュージャージー州のリバティ・ナショナル・ゴルフクラブで開催されます。
前回大会はアメリカが6連覇を飾る
韓国・仁川のジャック・ニクラウス・ゴルフクラブ・コリアで行われた2015年大会を制したのはアメリカ選抜。これで2005年大会から6連覇となりました。1ポイント差で迎えた最終日には松山英樹がマッチプレーでJ.B.ホームズを下すなど追いすがるも、結果は14.5対15.5とその1ポイント差を最後まで埋めることができず世界選抜は敗北を喫しています。
松山が3大会連続で出場メンバーに選ばれる
世界選抜は世界ランキング、アメリカ選抜は過去2年間のフェデックスポイントランキング(過去1年分は2倍で計算)の上位10名が自動で選出され、両チームの主将による推薦2名を加えた計12名が出場メンバーとなります。
日本からは世界選抜トップのランキング3位に位置する松山英樹が選ばれました。谷原秀人と池田勇太はそれぞれ12番手と13番手となり、惜しくも出場を逃しています。
また、アメリカの主将推薦で出場が決まったフィル・ミケルソンはこれで12回目の出場。第1回大会の1994年から全大会皆勤出場となっています。
<世界選抜出場メンバー>
松山英樹(日本)、ジェイソン・デイ(オーストラリア)、アダム・スコット(オーストラリア)、ルイ・ウェストヘーゼン(南アフリカ)、シャール・シュワーツェル(南アフリカ)、マーク・リーシュマン(オーストラリア)、ブランデン・グレース(南アフリカ)、ジョナサン・ベガス(ベネズエラ)、金シウ(韓国)、アダム・ハドウィン(カナダ)、エミリアノ・グリジョ(アルゼンチン)、アニルバン・ラヒリ(インド)
<アメリカ選抜出場メンバー>
ダスティン・ジョンソン、ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、リッキー・ファウラー、ダニエル・バーガー、ブルックス・ケプカ、ケビン・キズナー、パトリック・リード、マット・クーチャー、ケビン・チャペル、チャーリー・ホフマン、フィル・ミケルソン
ブックメーカーオッズは米国選抜有利
【プレジデンツカップ2017優勝オッズ】
※オッズは25日午前8時現在
ブックメーカー「888sport」発表のプレジデンツカップ2017優勝オッズによると、米国選抜勝利が1.35倍に対して、松山率いる世界選抜勝利が3.50倍と米国選抜有利との見立てとなっています。
世代交代でさらに戦力を高めたアメリカ選抜
米国選抜は前回大会から大きくメンバーを変更してきました。2017年全米プロゴルフ選手権を制したジャスティン・トーマスと2017年全米オープン王者のブルックス・コプカを筆頭に、実に全12選手中6選手が初出場。若く勢いのある選手が多く選出されました。
一方、主将のスティーブ・ストリッカーによる選出は47歳のフィル・ミケルソンと40歳のチャーリー・ホフマンというベテラン2選手。プレジデンツカップ12回出場のミケルソンに、同大会は初出場も選手としての実績豊富なホフマン、加えてアシスタントキャプテンにはあのタイガー・ウッズが選ばれており、若さと老獪さを兼ね備えたバランスのいいチームを構成してきたといえるでしょう。アメリカの充実の戦力が今大会でも世界選抜を跳ね返し、世界最強国の座をさらに確固たるものとするのでしょうか。
世界選抜勝利の鍵はエースの活躍か
今回の世界選抜は8カ国から選抜され、5つの言語を話すメンバーが集まりました。もちろんどのプレーヤーは英語もある程度話せますが、やはりネイティブでない言語でのコミュニケーションは難しいもの。アメリカ選抜と比べると、短い期間でのチームワークの構築という面ではどうしても劣ってしまうのが厳しいところです。
それが影響してか、1994年から始まった同大会では米国9勝、引き分けが1回で、世界選抜が勝利したのは98年の一度だけ。アメリカと世界の差は埋まりつつあるとはいえ、まだまだ埋めきれていないのは歴然としています。2013年から3大会連続で主将を務めるニック・プライス(ジンバブエ)にとって今大会は3度目の正直。今年60歳となった元世界ランク1位の殿堂入り選手はグレッグ・ノーマンとともに欧米以外の選手の地位を高めてきた功労者の一人といえます。キャリアを通してアメリカの選手と張り合ってきた同選手としては、なんとしてもアメリカに対して久しぶりの勝利を飾りたいところでしょう。
1998年に世界選抜が唯一勝利した際には日本から丸山茂樹と尾崎直道が選出され、丸山は5マッチで全勝する活躍を見せて世界選抜の勝利に大きな貢献を果たしました。世界選抜のエースとしての活躍を期待される松山は、かつての丸山のようにチームを勝利に導けるでしょうか。