いよいよ、欧州だけでなく世界競馬において最も注目を集めるレースと呼べる凱旋門賞(海外G1、2400㍍・芝)が間近に迫ってきました。ギャンブルとしてだけではなくスポーツとしての地位も確立されているだけあり、欧州では早くも競馬ファンたちの熱気が渦巻いています。
また、日本にも「凱旋門賞馬」が繁殖牝馬や種牡馬として高額で輸入されているように、凱旋門賞を制することはその栄誉だけではなく、競馬を経営的に考えた際にその陣営にもたらすものは非常に大きいといえるでしょう。
また、凱旋門賞制覇は、日本競馬における悲願の一つでもあります。
昨年の凱旋門賞には2016年日本ダービー馬であるマカヒキが3歳馬ながらに積極的に参戦。しかし、16頭立て14着と大敗を喫してしまいます。近年では善戦が続いていた日本勢でしたが、改めて凱旋門賞の壁の高さを知ることになりました。
これで直近20年における日本馬の成績は【0-4-0-16】となりました。
日本競馬ファンにとってはため息のもれる結果となった昨年の凱旋門賞を勝利したのは、エイダン・オブライエン厩舎の4歳牝馬のファウンド(Found)。
【凱旋門賞2016(勝利馬:ファウンド)】
ちなみに昨年の凱旋門賞は1着、2着、3着すべてが「エイダン・オブライエン厩舎所属のガリレオ産駒」という圧倒的な結果に終わることとなりました。
そして迎えた今年。日本勢からは池江泰寿厩舎から昨年の有馬記念(G1、2500㍍)を制したサトノダイヤモンド、そしてその帯同馬として重賞4勝を挙げているサトノノブレスのサトノ冠名でおなじみの里見オーナーが所有する代表馬2頭が参戦します。
果たして、夢の日本馬初凱旋門賞制覇はなるのか。そして現地のライバル馬たちの動向やいかに?まずは、老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【凱旋門賞2017単勝オッズ】
※オッズは21日午前8時現在
まずは注目の日本馬2頭からご紹介しましょう。
サトノダイヤモンドが15.00倍、サトノノブレスが67.00倍とかなりオッズ的には厳しい数字を付けられています。実績的に考えると特にサトノダイヤモンドはやや低評価と言えるでしょう。
この評価につながった大きな要因のひとつが、凱旋門賞の前哨戦である9月10日に行われたフォワ賞(海外G2、2400㍍・芝)にあるといえるでしょう。
サトノダイヤモンド自体は休み明けであったことや馬場が重たかったことが影響し、6頭中4着という結果に。
レース後にC.ルメール騎手からも「今日は久々で100%ではなかったこともあるが、馬場が重く最後の200mで止まってしまった」と、冷静に敗因を分析していました。
一方で、ラビット(アシスト馬・ペースメーカー)としての役割を求められていたサトノノブレスも、いったんは鼻を切るもサトノダイヤモンドに先頭を譲ってしまったと思いきや、ハイペースになりすぎてしまうなどチグハグな競馬で結局6着となってしまいます。
サトノダイヤモンドに騎乗していたC.ルメール騎手や現地メディアからはこのレースぶりに対して「ラビットとしての役割を果たせていない」と痛烈に批判されることとなりました。
しかしこの件に関しては、逃げたレース経験がほとんどないサトノノブレスとラビット馬に騎乗した経験がなく、見慣れないコースでその役割を任された川田騎手の両名を一概に責めることは出来ないこととも思えます。
是非とも本番の凱旋門賞では息の合った競馬を、そしてできることならば2頭ともに良い結果を残してくれることに期待しましょう。
そんな日本陣営を迎え撃つ欧州勢は例年に負けず劣らず今年はタレントぞろい。
2.00倍と抜けたオッズに支持されているのが目下G1を4連勝中のイネーブル(Enable)です。
イギリス、アイルランド両国のオークスを制覇し迎えたキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス(海外G1、2406㍍・芝)においては、並みいる牡馬や古馬を圧倒し4馬身差をつける圧勝劇を見せました。
古馬とは6.5キロもの斤量差があるとはいえ、能力のみならず3歳の牝馬がこれだけのパフォーマンスを見せることが出来たその精神力は賞賛に値するといえるでしょう。
手綱を取る名手L.デットーリ騎手も「過酷な減量もこの馬をほかの人に明け渡したくなかったので頑張れた」と最大限の賛辞を贈る一頭だけに、連勝記録を伸ばすのか注目が集まります。
一方で、昨年3着以内を独占したエイダン・オブライエン陣営の出走馬の中ではキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス2着で現在9.00倍のユリシーズ(Ulysses)が大将格と言えるでしょう。
キングジョージこそイネーブルの後塵を拝す形となりましたが、前走のインターナショナルステークス(海外G1、2000㍍・芝)においてはチャーチル(Churchill)、バーニーロイ(Barney Roy)といった実力ある3歳牡馬を打ち破りました。
もう一頭挙げるとすれば、昨年3着に入線したオーダーオブセントジョージ(Order Of St George)でしょう。昨年は直線走路において馬群に詰まりそうだったファウンドに道を譲った上で最後よく伸びての3着。
今年はアイルランドセントレジャー(海外G1、2800㍍・芝)を9馬身差で圧勝するなど、昨年以上の充実ぶりが伺えます。オッズも13.00倍と4番手の評価です。
また、各国主要G1ではおなじみのハイランドリール(Highland Reel)が13.00倍。同馬は雨が降るか降らないかという点が重要なポイントと言えるでしょう。
その他、今年のフランス二冠馬ブラムト(Brametot)が17.00倍。ガリレオ産駒のウィンター(Winter)や、フォワ賞においてサトノダイヤモンドらを破ったチンギスシークレット(Dschingis Secret)が15.00倍のオッズでちょうどサトノダイヤモンドと並んでいます。
日本馬の初栄冠なるか?凱旋門賞は10月1日(日)発走予定です。