今年もアメリカ競馬ファンが最も沸き立つであろうブリーダーズカップ(BC)シリーズがサンタアニタパーク競馬場で行われます。そんなブリーダーズカップシリーズですが、今年から大きな変革が起きています。
第一に、賞金額と出走登録料の引き上げがあります。BCクラシック・BCターフの総賞金額が約1億円引き上げられると同時に、これまでの出走登録料は総賞金の2%だったのに対して、今年からは2.5~3%に引き上げられることとなります。
【ブリーダーズカップシリーズ2016日程と最新オッズ】
<ブリーダーズカップ第1日(11月4日(日本時間5日))>
・ブリーダーズCジュベナイルターフ
・ブリーダーズCジュベナイルフィリーズターフ
・ブリーダーズCディスタフ
・ブリーダーズCダートマイル
<ブリーダーズカップ第2日(11月5日(日本時間6日))>
・ブリーダーズCスプリント
・ブリーダーズCクラシック
・ブリーダーズCジュベナイル
・ブリーダーズCジュベナイルフィリーズ
・ブリーダーズCフィリーズ&メアスプリント
・ブリーダーズCフィリーズ&メアターフ
・ブリーダーズCターフスプリント
※レース名をクリックすると最新単勝オッズと発走時間(日本時間)が表示されます
また、ブリーダーズカップには「チャレンジ競走」といった制度があり、対象レースの勝利馬には対象のブリーダーズカップへの優先出走権が与えられることとなります。
2011年から日本においても宝塚記念(BCターフ)のみが対象レースとして導入されていましたが、今年から新たに以下の3競走が加わりました。
✩フェブラリーステークス→BCクラシック
✩安田記念→BCマイル
✩スプリンターズステークス→BCターフスプリント
大きな変革が起きたブリーダーズカップシリーズ。その中には、日本競馬が海外から「競馬主要国」としてかなり認められつつある現状も感じられました。
そんなブリーダーズカップシリーズから、今回は王道のBCクラシック、そして日本のヌーヴォレコルトが参戦予定のフィリーズ&メアターフをご紹介します。
ブリーダーズカップクラシック2016
ブリーダーズカップにおけるメインイベントといえば、このブリーダーズカップクラシックでしょう。
今年は2強によるデッドヒートに注目が集まりますが、大手ブックメーカーではどちらを高く評価しているのでしょうか、まずは「bet365」より発表されているオッズをご覧ください。
【ブリーダーズカップクラシック2016単勝オッズ】
※オッズは2日午前9時現在
1.83倍とかなり高い評価を付されているのは今年のドバイワールドカップ(海外G1、2000㍍・ダート)を制したカリフォルニアクローム(California Chrome)です。前走のオータムアゲインステークス(海外G1、1800㍍・ダート)でも圧勝でした。
これでここまで6連勝。現役ダート最強馬の呼び声高い同馬ですが、さらにその評価を盤石のものとすることができるでしょうか。
対するは、アメリカダート界に突如現れた超新星アロゲート(Arrogate)。現在は3.75倍のオッズとなっています。
一介の条件馬に過ぎなかったアロゲートの名がアメリカはおろか世界中に広まったきっかけとなったのが、このトラヴァーズステークス(海外G1・2000㍍、ダート)です。
【トラヴァーズステークス2016(優勝馬:アロゲート)】
初の重賞挑戦となった本レースで2着以下に13馬身差をつけ、さらにレコードタイムでの勝利。度肝を抜くとはまさにことのことでしょう。
わずか一戦で世界最強馬の一頭のライバルに挙げられることとなったアロゲート。下剋上を果たし、前走がフロックでないことを証明するでしょうか。
もう1頭、大差勝ちを収めてカリフォルニアクロームに挑むのがフロステッド(Frosted)。メトロポリタンハンデキャップ(海外G1・1600㍍、ダート)で14馬身差をつけての勝利。こちらは6.50倍と3番手の評価になっています。
ブリーダーズカップフィリーズ&メアターフ2016
こちらは今年、唯一日本からの遠征馬が出走するフィリーズ&メアターフ。まずは「bet365」が発表しているオッズをご覧いただきましょう。
【ブリーダーズカップフィリーズ&メアターフ2016単勝オッズ】
※オッズは2日午前9時現在
今年のフィリーズ&メアターフはもちろんのこと、現在のアメリカ競馬界の芝路線において最も注目されているとも言えるのが、3.50倍に推されているLady Eli(レディイーライ)でしょう。
3歳時のベルモントオークス(海外G1、2000㍍・芝)を勝利した時点で6戦6勝。内容も完ぺきと非の打ちどころのない強さに、現地の競馬ファンも大いに胸を膨らませていました。
そんなレディイーライに悲劇が起こります。厩舎で釘を踏んでしまい、蹄を損傷。蹄葉炎(蹄内の血液循環が悪くなり、炎症を起こす病気)を発症してしまい、長期間の療養を余儀なくされてしまいます。
蹄葉炎はあのテンポイントやトウショウボーイといった名馬が亡くなった原因にもなったかなりの難病であり、比較的軽度であったレディイーライであったとしても、復帰まで1年2カ月を要しました。
その初戦となったボールストンスパステークス(海外G2、1700㍍・芝)では一度は先頭に立つも、最後にかわされ2着。いかにも長期休養明けといったレースぶりでしたが、続くフラワーボールステークス(海外G1、2000㍍・芝)ではキッチリと勝利。復活を印象付けました。
そのレディイーライに立ち向かうべく欧州からは注目の3歳牝馬が参戦してきます。
それが、今年のヨークシャーオークス(海外G1・2400㍍、芝)において後の2016年凱旋門賞を制することとなったファウンドを下したアイルランドのセブンスヘブン(Seventh Heaven)です。現在は4.00倍に推されています。
いわゆるクラシックディスタンスで強さを見せる同馬ですが今回は1800m戦。距離への対応がカギを握ります。
実績に対して評価が低いと感じられるのがキャッチアグリンプス(Catch A Glimpse)でしょう。現在は13.00倍のオッズとなっています。
同馬は冒頭でもご紹介した「ブリーダーズカップチャレンジ競走」のひとつであるベルモントオークス招待ステークス(海外G1、2000㍍・芝)を制するなど、3歳の今年は冬場から重賞5連勝をマークしていました。
そんなキャッチアグリンプスがここまで評価を下げてしまった理由は、やはり前走のクイーンエリザベス2世チャレンジカップステークスにおいての大敗でしょう。逆に今回立て直しを図れているとすれば、穴馬の中では非常に怖い存在です。
そして日本から参戦するのが、2014年のオークスを制したヌーヴォレコルト。今回は鞍上に海外経験豊富な武豊騎手を迎えての参戦となります。現在のオッズは15.00倍となっています。
これまでも2度香港へ遠征を敢行しており、2015年の香港カップ(海外G1・2000㍍、芝)では2着に入線するなど、結果を残しています。
このことからも精神面のタフさには陣営も自信を持っているようで、現地入りした際の小原助手も「海外輸送も3回目なので、馬も落ち着いていた」と、難しい輸送面をクリアしているとコメントしていました。
確かに、これまでの戦績から強さのピークを越えてしまっている感は否めませんが、アメリカ競馬において結果を残すことができるでしょうか。こちらも注目です。