アメリカ最大にして最高の人気を誇るモーターレース「NASCAR」のスプリント選手権2016(スプリントカップシリーズ2016)が、日本時間の14日午前10時からフロリダ州にあるデイトナインターナショナルスピードウェイで開幕します(現地日程:2月13日~11月20日)。開幕戦はスプリントアンリミテッドで、以降シリーズ36戦とイベントレース2戦の合計38戦を11月20日の最終戦まで戦います。
日本ではF1に比べてあまり知名度はありませんが、本場・アメリカではそのF1をもしのぐ人気を誇っています。また、熱狂的なファンが多いことで知られており、各チーム(ドライバー)のスポンサーの商品やサービスをそのチームを応援するかのように購入し、逆にライバルチーム(ドライバー)のスポンサーのものを一切買わないほどハッキリしているんです。
あまりNASCARをご存知でない方のために簡単に説明しておきたいと思います。NASCARは、43台のカラフルにスポンサー色にペイントされたレーシングカーで争われるアメリカのモーターレーシングで、ヨーロッパや日本のロードレースとは異なり、アメリカ独自のコースである楕円型をしたオーバルトラックでそのスピードを競います。コースの長さは1周0.5マイル(約800㍍)のショートオーバルから2.66マイル(約4300㍍)のスーパースピードウェイまであり、そのコースをストックカーと呼ばれる市販車両が時速300キロ超で走り抜けます。かつては1996年と1997年に鈴鹿サーキットで開催された珍しいケースもあります。
スプリント選手権はNASCARの最上位カテゴリーに位置付けられており、2011年からはレースをよりわかりやすくするために、ポイント制を導入しています。NASCAR参戦の有力チームであるトヨタのHPにわかりやすく説明されているので、下記を参照してください。
2011年シーズンから、よりわかりやすいシステムを目指すと共にレース優勝の価値を更に高めるべく、ポイントシステムが大幅に変更された。基本ポイントとして優勝ドライバーに43点、以下2位が42点、3位が41点と1点ずつ減っていき、最下位の43位のドライバーは1点が与えられる。但し、優勝ドライバーには3点、レース中に1度でも首位でスタート/フィニッシュラインを越えた(リードラップ獲得)ドライバーに1点、レース中の最多リードラップ獲得ドライバーに1点のボーナスポイントがそれぞれ加えられる。尚、キャンピング・ワールド・トラック・シリーズは決勝レースの出走台数が36台のため、最下位36位のドライバーは8点を得ることとなる。
(「TOYOTA Gazoo Racing」より引用)
昨シーズンはそのトヨタ勢のカイル・ブッシュがスプリント選手権を制しました。18番のブッシュは昨シーズン5度の優勝と5位以内が12回と安定した走りを見せました。
【スプリント選手権2015優勝:カイル・ブッシュ】
これまでNASCARを盛り上げてきたジェフ・ゴードンが昨シーズン限りで引退し、“ナスカー番長”と呼ばれているトニー・スチュアートが今シーズンで引退することを表明するなどスプリント選手権は新旧の入れ替わり、過渡期に差し掛かるレースになりそうです。時速320キロで爆走し、クラッシュも当たり前のように起こる刺激的なレースを制するのは誰なのでしょうか?
日本語対応のブックメーカー「NetBet」がNASCARスプリント選手権2016のシリーズ優勝オッズを発表しましたので、そのオッズを見ながら今シーズンのNASCARを展望してみましょう。
【NASCARスプリント選手権2016優勝オッズ】
※オッズは7日午後7時現在
スプリント選手権2016のシリーズ優勝最有力は、4番のケビン・ハービックで5.30倍のオッズが付いています。2番手には22番のジョーイ・ロガーノで6.30倍、3番手には48番のジミー・ジョンソンと、昨シーズンの王者であるカイル・ブッシュで7.00倍のオッズであとを追います。この4選手を中心に非常に混戦になりそうな感じがします。
2014年シリーズの王者で、昨シーズンは2位だったハービックが再び王座奪還を狙います。今年41歳、15年以上のキャリアを誇るベテランのハービックは、スプリント選手権で通算31勝しており、昨シーズンは開幕戦のスプリントアンリミテッドでマシンのマイナーダメージの影響で11位と出遅れましたが、最終的には2位でまとめるなど高い安定感があります。現在25歳のロガーノは、2009年にスプリントシリーズの新人賞を獲得し、これまで14勝を挙げています。昨シーズンは6位に終わりましたが、2014年のキャリアハイとなる4位以上、そして優勝を目指して戦います。
ニックネームが“スーパーマン”であるジョンソンは、ハービックと同じ1975年生まれの40歳です。2006年から2010年までのスプリント選手権で前人未到の5連覇を達成し、2013年の優勝を含めて6度の年間チャンピオンになっています。昨シーズンは10位に甘んじたスーパーマンは今シーズンのリベンジに燃えています。ブッシュは昨シーズンのスプリント選手権で初の年間チャンピオンに輝きました。ハービックとジョンソンが40代、ロガーノが20代ならばブッシュは今年31歳を迎えるミドルエッジです。大会連覇へ向けてブッシュは満を持してデイトナ500へと挑みます。
NASCARのスプリント選手権2016の開幕戦「スプリントアンリミテッド」は、ポイントが加算されないレースですが、各チーム、ドライバーの調子を見るのに絶好の機会であり、ドライバーにとっても出場資格が限られている中での高額賞金を得ることができ、翌週のポイント加算が始まるデイトナ500と同じコースで行われるので、その前哨戦としては格好のレースとなります。ブックメーカー「NetBet」は、現地21日(日本時間の22日)に行われるデイトナ500の優勝オッズを発表していますので見てみましょう。
【NASCARデイトナ500優勝オッズ】
※オッズは7日午後7時現在
優勝最有力には、1980年代のNASCARを最も盛り上げた名ドライバーであるデイル・アーンハートの息子デイル・アーンハート・ジュニアとジミー・ジョンソンが8.25倍のオッズが付いています。その二人をロガーノとハービックが10.50倍で追う展開となっています。
NASCARの熱い戦いがいよいよ2月14日に幕を開けます。