競馬ファンにとっての冬の代名詞であると同時に、本年度の競馬界全体の本格化を告げるレースと言えるフェブラリーステークス(G1、1600㍍・ダート)が東京競馬場にて開催されます。
まずは、フェブラリーステークスの出走各馬の紹介へ移る前に、今年の日本ダート路線の展望についてご紹介しておきましょう。
長きにわたりダート戦線の主役であり続けたコパノリッキーが2017年シーズンを持って引退。
これにより「Jpn1/G1両グレードを合わせて3勝以上しているダートホースが8歳馬のサウンドトゥルーのみ」という状態となりました。競争寿命が長く、一頭の馬による天下が長く続きやすいダート路線において、非常に異質な事態と言えます。
このことはフェブラリーステークスの前哨戦である東海ステークス(G2、1800㍍・ダート)においては13番人気のコスモカナディアンが2着に入線した事実からも、各馬の実力差が競馬ファンの想像以上に拮抗している状態がおわかりいただけるでしょう。
圧倒的な一頭が居ない状態だからこそ、馬券的妙味が産まれやすい状態のダート路線。
日本競馬の主役的存在は芝路線ではありますが、2018年はダート路線にもぜひご注目いただくと、より一層日本競馬をお楽しみいただけるかと思います。
【フェブラリーステークス2018枠順】
1-1 ニシケンモノノフ(牡7、横山典弘・庄野靖志)
1-2 ケイティブレイブ(牡5、福永祐一・目野哲也)
2-3 ノボバカラ(牡6、石橋脩・天間昭一)
2-4 アウォーディー(牡8、武豊・松永幹夫)
3-5 サウンドトゥルー(セ8、F.ミナリク・高木登)
3-6 インカンテーション(牡8、三浦皇成・羽月友彦)
4-7 ララベル(牝6、真島大輔・荒山勝徳)
4-8 メイショウスミトモ(牡7、田辺裕信・南井克巳)
5-9 キングズガード(牡7、藤岡佑介・寺島良)
5-10 テイエムジンソク(牡6、古川吉洋・木原一良)
6-11 ロンドンタウン(牡5、岩田康誠・牧田和弥)
6-12 ノンコノユメ(セ6、内田博幸・加藤征弘)
7-13 レッツゴードンキ(牝6、幸英明・梅田智之)
7-14 ゴールドドリーム(牡5、R.ムーア・平田修)
8-15 ベストウォーリア(牡8、C.ルメール・石坂正)
8-16 サンライズノヴァ(牡4、戸崎圭太・音無秀孝)
※16日午後4時更新
それでは本題に移りましょう。そんな熾烈を極めるダート路線、今年最初の中央G1を制するのは一体どの馬なのか。
まずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【フェブラリーステークス2018単勝オッズ】
※18日午前0時更新
<ウィリアムヒル 登録方法>
前走のチャンピオンズカップにおいて8番人気ながらに劇的な復活勝利を遂げたのが、昨年のフェブラリーステークス勝利馬にして最優秀ダートホース、ゴールドドリーム。
その勝利の裏側にはゴールドドリーム自身の力はもちろんですが、世界的名手であるライアン・ムーア騎手のリードがあってのことという事実は忘れてはならない点。
フェブラリーステークスにもキッチリと続けてムーア騎手が騎乗するという点は、何よりもゴールドドリームにおいて強みとなるでしょう。
昨年と同じローテーションでフェブラリーステークスを迎えることとなりますが、陣営からは「一息入れてよりパワーアップした」と自信のある一言。
また、昨年14着に敗れたドバイワールドカップへ再挑戦するか否かはまず、このフェブラリーステークスの結果の如何で決定するとのこと。そういったことからも、何より求められるのは「結果」という一戦になります。
もう一方の有力馬が、昨年のチャンピオンズカップでは2着に敗れたものの、前哨戦である東海ステークスを1.3倍の単勝支持に応えて勝利したテイエムジンソク。
外国人騎手全盛、その中でも特筆すべき存在のムーア騎手を配してきたゴールドドリーム陣営に対して、こちらは1997年以来20年以上もG1勝利のない中堅騎手である古川吉洋騎手を配し続けている陣営。
「活躍馬はすぐに外国人騎手へ」といった動きが強まる昨今で、古川騎手とテイエムジンソクを応援するファンがレースを追うごとに増えていっていることが競馬ファンの期待の表れと言えます。
下馬評で中心視されているのはご紹介した上記の2頭ではありますが、今年のダート路線は一枚岩ではありません。
前走の根岸ステークス(G3、1400㍍・ダート)で2年3か月ぶりの勝利を挙げたノンコノユメも不気味な存在と言えるでしょう。
2016年6月の帝王賞(Jpn1、2000㍍・ダート)において2着入線以降、掲示板に乗ることはあれど6戦連続で馬券圏外という結果に。
そんなノンコノユメを復活に導いたのが大ベテラン内田博幸騎手。最大の持ち味である目の覚めるような末脚を繰り出し、見事に勝利を収めました。
前走が偶然の勝利ではないということを証明するためにも、新コンビで今度は2年半ぶりのG1勝利を目指します。
新世代となる4歳世代から唯一出走となるのが、重賞勝利数は1勝ながら3歳時から古馬たちと対等なレースを見せていたサンライズノヴァ。
唯一の重賞勝利であるユニコーンステークス(G3、1600㍍・ダート)はフェブラリーステークスと同じ東京競馬場でのレースということも含め、東京コースは5戦3勝2着1回とかなりの好成績を残しています。
しかし、古馬としのぎを削りあってはきましたが「一線級に混ざり込んでG1に挑む」となると今回が初めて。この点はやや不安材料と言えるでしょう。
冒頭でご紹介した「唯一の3勝馬」である古豪、サウンドトゥルーも今回大きな転機を迎えることとなります。
2015年からコンビを組み続けてきた大野拓弥騎手ではなく、今回はドイツのリーディングジョッキーであるフィリップ・ミナリク騎手が手綱を取ることに。
日本では耳なじみのないミナリク騎手ですが、2月11日に行われた京成杯(G3、2000㍍・芝)においては12頭立て10番人気のエイムアンドエンドに騎乗し3着。更に、騎乗経験の少ないダートコースで勝利を挙げるなど、ドイツトップジョッキーとしての片りんを見せつけていました。
決して今回の舞台が適距離とはいえないサウンドトゥルーをどのように導いてくれるのか、注目が集まります。
その他、前走の川崎記念(Jpn1、2100㍍・ダート)で勝利を挙げたことにくわえ、重賞レースで8戦連続掲示板圏内をキープしている安定感抜群のケイティブレイブ。
2016年以来勝利に見放されながらも、こちらも掲示板圏内はキープし続ける堅実さを見せているアウォーディー。重賞6勝を挙げているインカンテーションは、8歳馬ながらその内3勝を昨年挙げたように、まさに今が最盛期と言えるでしょう。
また、いろいろな意味で注目を集めるのが桜花賞馬にして初のダート挑戦となるレッツゴードンキ。こちらも未知数ではありますが芝レースでの実績は確かなだけに怖い存在となっています。
今年初の中央G1レースを勝利し、ダート路線の新たな主役となるのは一体どの馬か?フェブラリーステークスは2月18日(日)15時40分発走予定です。