断然一番人気に推されていたソウルスターリングがまさかの敗北を喫した桜花賞。早くも波乱の幕開けとなった3歳クラシック路線ですが、今週末は第二弾である皐月賞(G1、2000㍍・芝)が中山競馬場で開催されます。
☆「皐月賞2017を制するのは?」の予想投票・結果は記事後半に!
現4歳のサトノダイヤモンドやマカヒキを筆頭に「超ハイレベル世代」とうたわれていた昨年の皐月賞を制したのは、その中でも伏兵扱いに留まっていたディーマジェスティが制しました。
【皐月賞2016(勝ち馬:ディーマジェスティ)】
ですが今年は昨年とは一転。関係者のみならず競馬ファンの間に流れていた気運が「今年のクラシックは牝馬のほうが豊作」「牡馬は小粒揃い」といったもの。
こういった意見を裏付けるかのように、昨年の朝日杯フューチュリティステークスにおいては「牝馬」のミスエルテが1番人気に推されていました。
結果としてミスエルテは4着。しかしレースそのものの結果もサトノアレス(6番人気)→モンドキャンノ(7番人気)→ボンセルヴィーソ(12番人気)と、大荒れでした。
それだけに今回の皐月賞も一筋縄では行かないということは、まず間違いないと考えておいた方が良いでしょう。
【皐月賞2017枠順】※13日午後3時更新
1-1 マイスタイル(牡3、横山典弘・昆貢)
1-2 スワーヴリチャード(牡3、四位洋文・庄野靖志)
2-3 コマノインパルス(牡3、江田照男・菊川正達)
2-4 カデナ(牡3、福永祐一・中竹和也)
3-5 レイデオロ(牡3、C.ルメール・藤沢和雄)
3-6 アウトライアーズ(牡3、田辺裕信・小島茂之)
4-7 ペルシアンナイト(牡3、M.デムーロ・池江泰寿)
4-8 ファンディーナ(牝3、岩田康誠・高野友和)
5-9 プラチナヴォイス(牡3、和田竜二・鮫島一歩)
5-10 ダンビュライト(牡3、武豊・音無秀孝)
6-11 アルアイン(牡3、松山弘平・池江泰寿)
6-12 アメリカズカップ(牡3、松若風馬・音無秀孝)
7-13 サトノアレス(牡3、戸崎圭太・藤沢和雄)
7-14 キングズラッシュ(牡3、柴田善臣・久保田貴士)
7-15 アダムバローズ(牡3、池添謙一・角田晃一)
8-16 クリンチャー(牡3、藤岡佑介・宮本博)
8-17 ウインブライト(牡3、松岡正海・畠山吉宏)
8-18 トラスト(牡3、柴田大知・中村均)
今回は、トライアルレースである弥生賞(G2、2000㍍・芝)、スプリングステークス(G2、1800㍍・芝)、若葉ステークス(OP、2000㍍・芝)以上3レースから挑む出走馬たちの動向と、その他の注目馬についてお伝えしたいと思います。
また、混戦模様の際は「ブックメーカーの評価」も大きな指標の一つになります。まずは「bet365」から発表されているオッズを確認しましょう。
皐月賞に最も直結するトライアルレースといえば、同じ中山2000mという条件で行われている弥生賞。今年制したのはディープインパクト産駒のカデナ(5.50倍)でした。
これまで出走したレースはすべて上がり最速。それでいてしっかりと勝ちきれるだけの決め手を持っているのは最大の強みと言えます。
また、カデナはこれまで中山・東京・阪神・京都の計4場でレースをし、どれも安定した成績を残しているだけに精神面や対応力も高く総合力の高い1頭です。
2着入線のマイスタイル(67.00倍)は、それまでの先行策からハナを奪って最後2着に粘りこみという競馬。その際の鞍上は思い切った策を取ることで有名な横山典弘騎手でした。
ある意味、マイスタイルが皐月賞でどういった競馬をするかによって、結果を大きく左右する可能性もあります。
スプリングステークスの1着馬ウインブライト(8.00倍)と2着馬アウトライアーズ(10.00倍)。実はこの2頭は今回の皐月賞で3度目の対戦となります。
2016年12月末の500万下戦の中山マイル戦ひいらぎ賞においてはアウトライアーズが勝利、2着がウインブライト。
そして1800m戦のスプリングステークスではウインブライトが勝利し、アウトライアーズが2着となりました。
この結果だけを見ると、ウインブライトのほうがやや格上に感じますが、ウインブライトは1800mまでしか経験していないのに対し、アウトライアーズは中山2000mを経験済。しかも勝利しています。
果たして、3度目の対戦はどんな結果になるのでしょうか。
若葉ステークスを制したのはアダムバローズ。注目はやはり桜花賞を制した鞍上の池添謙一騎手がどんな競馬を見せてくれるのかというところでしょう。成績が安定しなかった同馬が、池添騎手が鞍上に代わってからは2連勝中と、息もぴったりです。
トライアル勢以外の注目馬もご紹介しましょう。昨年の時点で「牡馬では1番の逸材」とまで言われていたのが、2歳時にホープフルステークス(G1、2000㍍・芝)を制した3戦3勝のレイデオロ(5.50倍)。
これまでのレースぶりを鑑みても実力はやはり目を見張るものがありますが、問題はその臨戦過程です。
今回、ホープフルステークスから直行で皐月賞へ挑むことになってしまった理由が、決して戦略上のモノではなく、馬にソエが出てしまい順調に調整を行えなかった為という点が気がかりではあります。
もうひとつ、いやなモノが頭をよぎると言えば「藤沢厩舎-C.ルメール騎手」のコンビは、先週末の桜花賞で圧倒的1番人気ながらも3着に敗れたソウルスターリングと全く同じ。
先週末の悪夢の再現か、それともその悪夢を払拭出来るのか、楽しみなところでもあります。
69年ぶりの「牝馬による快挙」を目指すのがフラワーカップ(G3、1800㍍・芝)を制したファンディーナ(3.25倍)。ブックメーカー「bet365」の中では混戦模様ながら一番手の評価となっています。
クラシック開始前、牝馬路線において唯一ソウルスターリングに対抗できるのはこの馬しかいないだろうと言われていた1頭です。
その破格のパフォーマンスは新馬戦を見てもらうのが一番早いでしょう。正に他の馬とはモノが違うという言葉がピッタリなレース内容でした。
【2歳新馬(勝ち馬:ファンディーナ)】
前走のフラワーカップも0.8秒差を付けての圧勝劇。調教師も「順調そのもの」と目を細める仕上がりにあることを考えれば、皐月賞を戴冠する可能性が最も高い馬の一頭に挙げられるのも、何ら不思議はありません。
ですが、挑んだ頭数が少ないとはいえ「69年間皐月賞を制した牝馬が居ない」ということもまた事実。精神的にも未熟な3歳牝馬が、多くの牡馬に交じってレースをすることの難しさを物語っています。
ファンディーナとは違った意味で期待を背負うのが、2014年セレクトセール(当歳馬)において、ディープインパクト産駒以外で最も高値となる1億5500万円で落札されたスワーヴリチャード(3.50倍)。
実はトライアルレースではないものの、ここ5年間で4頭もの皐月賞馬を輩出しているのが、スワーヴリチャードが制した共同通信杯組。血統的なバックボーンも、臨戦過程的にも大きな期待が集まります。
その他にも、朝日杯フューチュリティステークスを制したサトノアレス(17.00倍)、きさらぎ賞を制したアメリカズカップ(11.00倍)、毎日杯を制したアルアイン(19.00倍)など。
今年の皐月賞へ登録をしているメンバー19頭中、重賞勝ち馬自体は11頭とかなり多いのですが、その中で重賞を2勝しているのはカデナのみ。この事実が何よりも今年の出走馬たちが「横並び」であることを示していると言えます。
どの出走馬が勝利したとしても何ら不思議のない今年の皐月賞。発走時刻は4月9日(日)15:40を予定しています。