世間は10連休と超大型ゴールデンウィーク。春の海外G1、ラッシュを迎えた日本競馬も4月4週には天皇賞・春が、5月1週目は3歳マイル王決定戦NHKマイルカップが開催され、さらなる盛り上がりを見せますが、盛り上がっているのは日本の競馬だけではありません。
アメリカのチャーチルダウンズ競馬場では、アメリカクラシック三冠の一冠目ケンタッキーダービー(海外G1、2000㍍・ダート)そしてその前日に開催されるアメリカ3歳牝馬の重要な一戦となるケンタッキーオークス(海外G1、1800㍍・ダート)が開催されます。
今年のアメリカクラシックを、そして今後のアメリカ競馬を占う重要なこの2レースを、しっかりとご紹介していきます。
ケンタッキーダービー2019
絶対的な人気馬が存在した日本のクラシックとは打って変わって主役不在のアメリカ牡馬クラシック戦線。それはオッズをご覧いただくとよくわかることかと思います。まずは、ブックメーカー「NetBet」が発表しているオッズをご確認ください。
【ケンタッキーダービー2019オッズ】
※オッズは28日午前8時現在
<NetBet 登録方法>
かなり割れたオッズではありますが、そんな中から押し出された一番手評価がオマハビーチ(Omaha Beach)。オッズは7.00倍となっています。
初の重賞勝利であり大本命のゲームウィナーを破った前々走のレベルステークス(海外G2、1700㍍・ダート)。そして前走のアーカンソーダービー(海外G1、1800㍍・ダート)と、連勝。アーカンソーダービーにて2着に退けたインプロバブルはG1勝利もある実績馬であることや、2着には5馬身以上の差をつけていたレース内容も相まっての一番手評価といえます。
またこのレベルステークス→アーカンソーダービーのローテーションは、2015年に三冠を達成してアメリカンファラオや2017年に2着入線を果たしたルッキンアットリーなどと同じローテーション。臨戦過程もひとつの高評価対象の要因とも言えます。
そんなオマハビーチに対抗するのは、アメリカの名伯楽B.バファート調教師が送り込む2頭の素質馬。
昨年のブリーダーズカップジュヴェナイル(海外G1、1700㍍・ダート)の勝利馬であるゲームウィナー(Game Winner)。
これまで2歳海外G1、を3連勝という圧倒的な実績。当然のようにクラシック戦線でも注目の一頭となるであろうといわれていましたが、レベルステークスにてハナ差でオマハビーチに敗れる結果に。
続くサンタアニタダービー(海外G1、1800㍍・ダート)においても、同厩舎のロードスターに差し切られて2着。正直なところ近走は2歳時の圧倒的な強さが鳴りを潜めている感が否めませんが、実力をいかんなく発揮すれば最も怖い存在であることは実績が物語っているでしょう。
前走でゲームウィナーを破ったのは同じくバファート厩舎のロードスター(Roadster)。
勝利した相手のレベルもさることながら、注目したいのはその勝ち方。まさに「溜めれば切れる」という形容がふさわしいレース内容でした。
今回のケンタッキーダービーのメンバーを見渡すと、有力どころにハナを奪いたいタイプが少なく基本的に好位でマークするような馬が多い印象を受けます。ペースが緩み、直線で固まった追い比べのような形になれば、一気のキレ味でまとめて他馬を差し切るような展開も考えられます。
2頭のレベルを考えれば、昨年のジャスティファイに引き続き、サンタアニタダービー組から勝利が出る可能性も十二分といったところでしょうか。
4連勝で臨むフロリダダービー馬、マキシマムセキュリティ(Maximum Security)。このレースも出世レースのひとつですが、オッズは12.00倍とやや低評価。
その理由としてはやはりレースレベルでしょう。マキシマムセキュリティ自体は4連勝でこのレースを制することとなりましたが、2着に入線したのは未勝利戦でも未だ勝ち星を挙げていなかったボディエクスプレス(Bodexpress)。どうしても先に紹介した3頭のレースレベルを考えると、強気な評価を下すのは難しいといったところでしょうか。
その他、アーカンソーダービーにてオマハビーチと接戦を繰り広げたこちらもバファート厩舎所属のインプロバブル(Improbable)が9.50倍。自身の父であるタピットを含め、名馬を数多く送り出してきたウッドメモリアルステークス(海外G2、1800㍍・ダート)を制したタシトゥス(Tacitus)が11.00倍と上位評価になっています。
また、日本から参戦予定のマスターフェンサー(Master Fencer)は67.00倍と残念ながら最低評価。そんな評価を覆す好走を期待したいところです。
ケンタッキーオークス2019
ダービーに比べると一頭図抜けた存在が居るのがケンタッキーオークス。こちらもまずは「NetBet」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【ケンタッキーオークス2019オッズ】
※オッズは28日午前8時現在
2.88倍の一番手評価となったのはベラフィナ(Bellafina)。2番手以降の評価が10.00倍以上となっていることを考えても、ダントツの評価を得たと言えるでしょう。
ここまで8戦6勝。2歳時はデビュー戦で敗れたことを含め取りこぼしが目立ったものの、3歳になってからは重賞を連勝。前走のサンタアニタオークス(海外G1、1700㍍・ダート)においても、2着以下に5馬身差以上をつける圧倒的な強さを見せつけました。
実績、充実度。その両方を考えれば、これだけ抜けたオッズになってしまうのも致し方ないところでしょう。
ただ、ベラフィナが重賞戦線において唯一敗れてしまったレースがあります。それが昨年末の2歳女王決定戦、ブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズ(海外G1、1700㍍・ダート)です。
そのレースからの対抗評価として挙がっているのは、昨年のブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズにおいて2着入線のレストレスライダー(Restless Rider)。
レストレスライダー自身、海外G1、レースを勝利していることやブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズではベラフィナと並ぶ一番手評価を付されていた素質馬。前走のアッシュランドステークスでは2着に入線。勝利こそなりませんでしたが調整順調といったところでしょうか。
そしてもう一頭がブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズにおいて圧巻の逃走劇を見せ、レストレスライダーに5馬身差をつけて勝利したジェイウォーク(Jaywalk)。オッズは13.00倍となっています。
ただそのレースも決してフロックなどではなく、元々海外G1、勝利を挙げて堂々上位評価での勝利。逃げる馬だけにその日の馬場や展開に左右されることもありますが、ハマれば当時の再現も十二分にあり得ることでしょう。
2歳時にスターレットステークス(海外G1、1700㍍・ダート)を制した実績だけでなく、血統面からも注目したいのはチェイシングイエスタデイ(Chasing Yesterday)。半兄にあの三冠馬アメリカンファラオがいる、超良血馬です。
しかし、血統的な魅力はかなりあるものの、対戦成績的にみればサンタアニタオークスにてベラフィナに8馬身以上付けられての3着。大本番での逆転はやや難しくも感じ、オッズ上も12.00倍と厳しい評価となっています。
アメリカ3歳馬たちの大舞台、ケンタッキーオークスは5月3日に。ケンタッキーダービーはその翌日、5月4日にそれぞれ開催予定です。