11月場所中に発覚した傷害事件を皮切りに混迷を極め、日々メディアを賑わせている大相撲。土俵の外での問題ばかりが取りざたされてしまっていますが、ようやく力士たちがその戦いの場に戻ってくる時がやってきました。
新年最初の本場所となる初場所は1月14日(日)に始まり、1月28日(日)に千秋楽を迎えます。その優勝オッズをブックメーカー「Marathonbet」(マラソンベット)が発表していますので、それを参考に今場所の優勝展望をご紹介していきます。
昨年1月場所では稀勢の里が初優勝を飾る
毎年1月に行われることから1月場所とも呼ばれるこの初場所。1年の始まりを飾るこの場所は両国国技館で開催されます。2017年には名作少女漫画「ベルサイユのばら」が懸賞を掲出し話題となりました。
前回2017年の1月場所では先場所優勝の横綱・鶴竜と横綱・日馬富士が休場し、残る横綱の白鵬も貴乃花部屋の貴ノ岩に敗れるなど11勝4敗とふるわず、当時大関だった稀勢の里が14勝1敗の記録を残し、初土俵から89場所目にして初の優勝を遂げています。これにより、稀勢の里は貴乃花以降14年間途絶えていた日本人横綱への昇進を果たしました。
先場所は土俵の外が大混乱に
福岡県の福岡国際センターで行われた大相撲11月場所はトラブル続きの場所となりました。横綱・日馬富士は10月の鳥取巡業中に起こしていた傷害事件を組織ぐるみで隠して出場するも途中で発覚し、3日目から休場。横綱・鶴竜は腰部の挫傷などにより4場所連続で欠場。横綱・稀勢の里もけがの影響が強く、4勝5敗(5敗は全て金星配給)とまったくふるわず途中休場しています。
唯一横綱として残った白鵬が14勝1敗とその強さを発揮し、見事2場所ぶり40回目の優勝を達成。しかし優勝インタビューで日馬富士の事件に関して発したコメントが問題視され、相撲協会から後に叱責処分を受けるなど、最後まで取り組み内容以外のことが目立つ場所となってしまいました。
暴力事件の混乱の影響が心配される
現在、大相撲を大きく揺るがせているのが日馬富士による傷害事件です。鳥取巡業が開催されていた10月に、モンゴル人力士たちが集まるモンゴル会の席において日馬富士が鈍器などで貴乃花部屋の貴ノ岩の頭部を殴り、大けがを負わせたとしてその師匠の貴乃花が警察に被害届を提出。日馬富士は大相撲を引退し、さらに1月4日には罰金50万円の略式命令が下りました。
この問題は、全てを内々で済ませようとした相撲協会と徹底的な改革を志す貴乃花親方との抗争に発展し、被害者側であるはずの貴乃花親方が理事解任の処分を受けるなど、八百長問題やかわいがりによる力士の死亡事件、野球賭博事件、大麻問題など、多くの問題を起こしてきた体質が変わっていないのではないかと物議をかもしています。さらに1月には白鵬と同じ宮城野部屋に所属する立行司の式守伊之助が若手行司にセクハラしたことが明るみになるなど、解決すべき問題が相撲協会の前には山積みです。
大相撲初場所2018幕内オッズ
【2018年初場所初日(14日)対戦オッズ】
※「Marathonbet」発表。オッズは13日午後9時現在、同時刻更新
<大相撲初場所2018最新オッズ情報(Marathonbet発表)>
白鵬の敵は土俵の外の声となりそう
日馬富士の暴行事件の場にも居合わせ、暴れる日馬富士を抑えるどころかむしろ煽ったとのうわさもあり、批判の声が上がっている横綱・白鵬。それもあってか、昨年12月の横綱審議委員会で注意を受けた取り口の改善に力を注いでいるようです。横綱として堂々たる取り組みをするべきであるところを、白鵬は張り手、かち上げ、ひじ打ち、ダメ押しなどをたびたび行う悪癖がありました。
日馬富士が引退、鶴竜や稀勢の里も怪我に苦しんでいる現状、実力で白鵬を脅かす存在はほぼないといってもいい状態です。41回目の優勝が強く有力視される中、それを脅かすのは土俵の外からの声となるでしょう。白鵬は今場所横綱に求められる品格も兼ね備えることで、外部の声を抑えてさらに優勝記録を伸ばすことができるでしょうか。
稀勢の里は復活して相撲界に明るい話題を届けたい
久しぶりに日本人として綱取りを果たすも、怪我の影響で4場所連続休場と横綱の役割を果たせていない稀勢の里。綱取り時には日本中を相撲フィーバーで沸かせたものの、本人の不在に加えて相次ぐ不祥事の数々ですっかり沈んでしまった格好です。暗い話題ばかりの相撲界を再び明るくさせるには、やはり稀勢の里が復活して優勝することが一番でしょう。相撲界の期待が稀勢の里にかかっているといっても過言ではないはずです。
鶴竜は進退のかかった場所に望む
稀勢の里同様4場所続けて休場し、今場所の結果次第では進退を問われかねない状態に陥っている鶴竜。10月の鳥取巡業における日馬富士の暴力事件に際してはその場に同席していたとされ、白鵬と並んで暴走する日馬富士を止めることができなったことの責任を問われて1月の給与不支給の処分も受けています。この初場所はもはや鶴竜に与えられた最後のチャンス。第71代横綱としての務めを見事果たすことができるでしょうか。