先週の桜花賞では、単勝オッズ1倍台に推されていた圧倒的本命ラッキーライラックが敗れる波乱の幕開けとなった春の三歳クラシック路線。今週末は牡馬の第一冠目である皐月賞(G1、2000㍍・芝)が中山競馬場にて開催されます。
今年の皐月賞はレース前から残念な一報が。朝日杯フューチュリティステークス(G1、1600㍍・芝)を勝利し、今年の弥生賞(G2、2000㍍・芝)においても並み居るライバルを尻目に楽勝をみせたダノンプレミアムがアクシデントの為、皐月賞を直前になって回避。
圧倒的一番人気も予想されていた同馬だけに、残念な競馬ファンも多いかもしれませんが、この回避の結果、一気に今年の皐月賞は大混戦という見方となりました。
【皐月賞2018枠順】
1-1 タイムフライヤー(牡3、内田博幸・松田国英)
1-2 ワグネリアン(牡3、福永祐一・友道康夫)
2-3 ジャンダルム(牡3、武豊・池江泰寿)
2-4 スリーヘリオス(牡3、柴田善臣・村山明)
3-5 キタノコマンドール(牡3、M.デムーロ・池江泰寿)
3-6 アイトーン(牡3、国分恭介・五十嵐忠男)
4-7 エポカドーロ(牡3、戸崎圭太・藤原英昭)
4-8 ケイティクレバー(牡3、浜中俊・安田翔伍)
5-9 オウケンムーン(牡3、北村宏司・国枝栄)
5-10 ジェネラーレウーノ(牡3、田辺裕信・矢野英一)
6-11 マイネルファンロン(牡3、柴田大知・手塚貴久)
6-12 グレイル(牡3、岩田康誠・野中賢二)
7-13 ダブルシャープ(牡3、和田竜二・渡辺薫彦)
7-14 サンリヴァル(牡3、藤岡佑介・藤岡健一)
8-15 ステルヴィオ(牡3、C.ルメール・木村哲也)
8-16 ジュンヴァルロ(牡3、大野拓弥・友道康夫)
※12日午後4時30分更新
圧倒的な主役候補がいなくなった今、果たしてどの馬が栄冠を手にするのか。トライアル組や、様々な意味で注目される馬たちをご紹介する前に、まずは老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」のオッズをご確認いただきましょう。
【皐月賞2018オッズ】
※「ウィリアムヒル」がオッズを発表次第、更新します。
<「bet365」発表の皐月賞2018オッズ>
ダノンプレミアムが不参加になったことにより、また主役候補として名を挙げられることになったのが弥生賞において2着入線を果たしたワグネリアン。
東京スポーツ杯2歳ステークス(G3、1800㍍・芝)においての圧勝劇や、同じ勝負服ということもあり、父である「ディープインパクトの再来」と一部のファンからは呼ばれています。
迎えた弥生賞。ダノンプレミアムとの直接対決は、最後良く追い込むも届かずの2着。それでも、決して同馬に向いている展開であった訳ではないものの、持ち味の鋭い脚を繰り出して上り最速をマークした競馬ぶりは、確かな成長を感じさせるものでした。
ちなみにこのワグネリアン、父ディープインパクトは元より、母のミスアンコール、母母のブロードアピール、母父のキングカメハメハに至るまですべてが金子真人オーナーの元所有馬。
ワグネリアンにかける思いも、ひとしおと言ったところでしょう。
弥生賞3着に入線を果たしたのが、デイリー杯2歳ステークス(G2、1600㍍・芝)を制したジャンダルム。
こちらもダノンプレミアムには及びませんでしたが、ワグネリアンとの着差を考えればわずか半馬身。やはり力のあるところを見せていました。
同馬における最大の武器はやはりスピード能力の高さ。短距離G1界の一線級で活躍していた母のビリーヴ、そしてジャンダルムの兄弟であるファリダットやフィドゥーシアはともに1200m戦のオープン勝利経験のある快速馬。
こういった血統的観点からみると「最も速い馬が勝つ」とまで呼ばれる皐月賞は、まさにジャンダルムの為にあるのかもしれません。ただ、逆に血統的観点で言えば2000mはやや長い…そんな可能性も秘めています。
弥生賞と同じくトライアルレースのフジTVスプリングステークス。このローテーション組にも楽しみな馬が勢ぞろいです。
ハナ差で勝利をモノにしたのが、朝日杯フューチュリティステークスにおいて2着入線の実績を誇っていたステルヴィオ。
着差こそありませんが、上でご紹介したワグネリアンにも負けず劣らずの豪脚を披露してキッチリ差し切ったレースは改めて強さを感じさせる内容。ここに先週の桜花賞を同じく差し脚鋭いアーモンドアイで制したC.ルメールが騎乗するとなれば一気に怖い存在となります。
ただし、ここまで62勝を挙げているロードカナロア産駒ではありますが、その内2000m以上での勝利はわずかひとつのみ。その豪脚で血統の壁を一気に乗り越えることが出来るのか、この点をどう見るかが同馬の予想をする上で大事なポイントとなるでしょう。
そんなステルヴィオと接戦を演じたのがエポカドーロ。
先行前付けの同馬にとって、同タイプで圧倒的な実力を誇っていたダノンプレミアムが回避したという点は、大きなプラス材料と言えるでしょう。とはいえ、かなり同型馬が多く散見される今年の皐月賞。「番手争い」が激化することは必至であり、位置取りがカギを握ります。
トライアル組以外にもいろいろな意味で注目を集める出走馬がいます。
新規クラブであるDMMドリームクラブからはキタノコマンドールが出走予定。クラシック初年度から新規クラブが出走を果たすのはかなりの快挙と言えるでしょう。
馬名の名付け親はあの世界のキタノこと、ビートたけし氏ということで大きな話題を呼びましたが、競走馬としても姉にG1で好走を続けたデニムアンドルビーを持つ、ディープインパクト産駒であり、2016年のセレクトセールで2億円を超える価格で取引された超一流馬。
ここに厩舎は池江厩舎、鞍上はM.デムーロと、まさにクラブ名の「ドリーム」にふさわしい顔ぶれとなっています。新たにG1の称号を獲得し、更に箔をつけることができるでしょうか。
一方で、日本競馬における一大血脈、サンデーサイレンスの血を持たない珍しい一頭がオウケンムーン。今や3歳クラシック路線の出世レースとなった共同通信杯(G3、1800㍍・芝)を制して皐月賞に挑みます。
競走馬自身の能力ももちろん注目したいところですが、やはり同馬においてポイントとなるのは管理する国枝厩舎。桜花賞にてアーモンドアイを見事に勝利へ導きましたが、陣営は当然「2連勝」を狙っていることでしょう。
その他にも、OPトライアルレースである若葉ステークスを逃げ切って勝利したアイトーンや、同レースでは5着に敗れたものの昨年のホープフルステークス(G1、2000㍍・芝)を制したタイムフライヤーなどにも注目が集まります。
主役は不在でも楽しみな若駒たちが多数出走する皐月賞は、4月15日15時40分発走予定です。