テニスの世界4大大会、グランドスラムの年間最後の一つである全米オープンの開催が待直に迫ってきました。2018年の全米オープンは8月27日(月)にスタートし、9月9日(日)に決着の時を迎えます。
シーズンの大きな区切りでもあり、最大のトーナメントでもあるこの全米オープンを制するのはどの選手となるのでしょうか。
ブックメーカー「ピナクル」が優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
世界最大のテニストーナメント、全米オープン
全米オープンは、毎年8月の最終月曜日から、アメリカ・ニューヨーク市に位置するUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターで開催されます。
そのセンターコートであるアーサー・アッシュ・スタジアムは約23000人を収容する世界最大のテニス専用競技場で、2016年には5億5000万ドルもの予算をかけて開閉式屋根が取り付けられるなど、まさに「全米」の名を冠する大会に相応しい威容を誇るコートです。
賞金総額も3425万2000ドルと最大のものとなり、その観客動員数と合わせてまさに世界最大のテニストーナメントと呼ぶことができるでしょう。
昨年はナダルが決勝初進出のアンダーソンを破り、3度目の優勝を果たす
2017年大会を制したのはラファエル・ナダル。2013年以来となる3度目の栄冠に輝いています。
今大会では前年度チャンピオンのスタン・ワウリンカや2012年チャンピオンのアンディ・マリー、2度優勝のノバク・ジョコビッチ、2014年準優勝の錦織圭など多くの実力者が怪我等により欠場しました。
そんな強豪不在の状態で決勝に進出したのはケビン・アンダーソン(南アフリカ)。準々決勝でアメリカのサム・クエリー、準決勝でスペインのパブロ・カエーニョ・ブスタを破り、初のグランドスラム決勝進出を果たしています。
しかし決勝でその実力を見せつけたのはやはりナダルでした。同い年のアンダーソンをストレートで破り、実に16回目のグランドスラム制覇となっています。
怪我から復活を果たしたジョコビッチに最高オッズが付けられる
【全米オープンテニス2018男子シングルス優勝オッズ】
※オッズは24日午前9時現在
<ピナクル登録方法>
2018年の全米オープン優勝候補筆頭に挙げられたのはノバク・ジョコビッチ。2011年と2015年に同大会を制しているBIG4の一角がオッズ3.280倍でトップとなりました。
2番手は昨年度の全米オープン王者ラファエル・ナダルで4.00倍。世界ランキング1位に君臨するナダルが2連覇を狙います。
3番手はロジャー・フェデラーで6.210倍。37歳と大ベテランの域に入りつつも、今年全豪オープン2連覇を達成したフェデラーは、かつて5連覇を果たした全米で再びの優勝となるでしょうか。
4番手はアレクサンダー・ズベレフで11.640倍。21歳の若き俊英がグランドスラム初優勝に挑みます。
なお、日本の錦織圭は15番手の53.590倍となりました。
【全米オープンテニス男子シングルスドロー(組み合わせ)】
<全米オープンテニス公式HP>
完全復活を遂げたジョコビッチが3度目の全米制覇を狙う
ジョコビッチは2017年怪我に苦しみ、7月のウィンブルドンを途中棄権して以降、年内全休という大きな決断を余儀なくされました。
そして1月の全豪オープンで復帰を果たすも、3月のBNPパリバ・オープンの初戦でダニエル太郎に敗れるなど早期敗退が相次ぐ苦しい展開に。
しかし、やはりジョコビッチは超一流の存在でした。
7月のウィンブルドンでは準々決勝で錦織、準決勝でナダル、そして決勝で第8シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)を破り、見事な復活を果たしています。
その後8月のウェスタン・アンド・サザン・オープンを制し、男子シングルス初となるマスターズ9大会全制覇という偉業も成し遂げ、まさに完全復活の様相。
2016年以来となるグランドスラムの年間2冠は目の前かもしれません。
ナダル、フェデラー超えにまた一歩足を進めることができるか
独壇場と化している全仏オープンで前人未到の11連覇を達成したナダル。全米オープンでは2010年、2013年、2017年と3度の優勝経験を持ち、全仏以外でははじめてとなるグランドスラム連覇にも期待がかかります。
ナダルは8月中旬にカナダのトロントで行われたロジャーズ・カップ(ATPマスターズ1000)で5年ぶり4度目の優勝を果たし、ジミー・コナーズ、イワン・レンドル、ロジャー・フェデラーに続いて史上4人目となるキャリア通算80勝を達成しました。
まだまだ通算記録ではフェデラーに及びませんが、フェデラーとは5歳の差がある以上、時間はナダルに味方しています。
まずはこの全米オープンを制し、フェデラーとの優勝回数差(フェデラー5回、ナダル3回)を詰めることができるでしょうか。
錦織は怪我を乗り越え、かつての自分を超える結果を残したい
錦織にとって、全米オープンは2014年に準優勝を果たし自身最高の結果を残すことができたグランドスラムです。
それだけにあと一歩のところで優勝に手が届かなかったのは悔しい思い出として残っていることでしょう。
錦織は2017年、ジョコビッチと同様に怪我に苦しみ、シーズン途中で全休を決断しました。昨年の全米オープンもそのために出場できていません。
ATPツアーに復帰を果たしたのは2月のニューヨーク・オープン。そこでは3回戦でファンマルティン・デルポトロにストレートで敗れたものの、4月のモンテカルロ・マスターズ(ATPマスターズ1000)でトマシュ・ベルディヒ、マリン・チリッチ、アレクサンダー・ズベレフといった強敵を次々と撃破しました。
ウィンブルドンでも苦手のジョコビッチに敗れたものの自身最高となるベスト8進出を達成。復活を印象付けています。
怪我の苦しみを乗り越えた錦織は、過去の自分を超える結果をこの全米オープンで出すことができるでしょうか。