8月末のこの時期、日本、欧州共にややレースが落ち着く中、逆に大盛り上がりを見せるのが「アメリカ競馬」。というのも、この時期のレースは10月末に開催されるアメリカ競馬の祭典「ブリーダーズカップ」に直結するレースが多い為です。
本日はそんなアメリカ競馬から「ミッドサマーダービー」と呼ばれる3歳戦トラヴァーズステークス(海外G1、2012メートル・ダート)。そしてブリーダーズカップターフのフリップレースであるソードダンサーインビテーショナルステークス2018(海外G1、2400㍍・芝)の2レースをご紹介いたします。
トラヴァーズステークス2018
開催時期から「ミッドサマーダービー」と呼ばれるトラヴァーズステークス。アメリカ3歳三冠を経由した馬たちと、そういったクラシック路線には乗れなかったものの一気に頭角を現してきた上り馬がぶつかり合う為、毎年レベルが高くクラシックに次ぐ「価値あるレース」と言われています。
今年はジャスティファイが3冠を達成。そして電撃引退と、確たる主役が退場してしまうというアクシデントも。それだけに今回のトラヴァーズステークスが持つ「意味」は例年以上のものとなるでしょう。
先々のブリーダーズカップクラシックにもつながる一戦、今年のミッドサマーダービーを制するのはどの馬か、まずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただいてから、有力馬をご紹介いたします。
【トラヴァーズステークス2018オッズ】
※オッズは23日午前10時現在
<ウィリアムヒル 登録方法>
2.37倍とかなり抜けたオッズを付されているのが、2歳王者グッドマジック(Good Magic)です。
クラシックにはケンタッキーダービーとプリークネスステークスに出走。共に2着、4着と好走を果たしました。ジャスティファイとの着差を見ても、そこまで大きく引き離されている訳ではないところを考えれば、やはり高い実力を誇っていたことの裏付けとなります。
そのことを裏付けたのは前走のハスケル招待ステークス(海外G1、1800㍍・ダート)。確かにそこまでメンバーが揃ったレースではありませんでしたが、それでも楽々と勝利。ジャスティファイが居なくなった今、やはり注目3歳馬の一角として無視できない存在です。
グッドマジック以下のオッズはかなり混戦模様。
ベルモントステークス2着の実績を持つグロンコウスキー(Gronkowski)は、レース面以外でも話題になった一頭。
じつは同馬にはNFLに同名の選手、ロブ・グロンコウスキー選手がおり「同名のよしみ」で所有権を一部購入していたことが大きな話題となりました。
結果としてクラシック路線はベルモントステークスのみの出走に留まりましたが、トラヴァーズステークスを勝利すればミッドサマー『ダービー』馬となれるだけに、期待がかかります。
何やら不気味な存在に映るのが、イギリスから遠征の遠征馬。厩舎は海外遠征と言えばおなじみのこの方、A.オブライエン調教師です。
今年のUAEダービー(海外G2、1800㍍・ダート)において20馬身以上をつけて勝利、しかしケンタッキーダービーではまさかの最下位に敗れたメンデルスソーン(Mendelssohn)。
アメリカ復帰初戦となったドワイヤーステークスでは3着と上々の結果。
13.00倍というオッズは、一見中穴どまりですが、プリークネスステークスやハスケル招待ステークスにおいて2着の実績を持つブラヴァーゾ(Bravazo)と同じオッズ。やはり一定以上の評価をブックメーカー側も下したとみるべきでしょう。
絶対王者亡き後の3歳アメリカダート路線。果たして新王者はどの馬となるのか、大注目の1戦です。
ソードダンサーインビテーショナルステークス2018
アメリカ競馬においてはそう多くないクラシックディスタンスの芝G1レース。そのひとつがサラトガ競馬場で開催されるソードダンサーインビテーショナルステークス(ソートダンサー招待、海外G1、2400㍍・芝)です。
今でこそ「夏のアメリカクラシックディスタンス王者決定戦」という位置づけのレースとなりましたが、レース設立当初は「ダート1200m」という距離で開催されていました。
この距離のレースの開催数が少ない、ということは、やはり注目馬、実力馬共にこのレースを目指すということでもあります。今年も、オッズ上は大接戦。ブックメーカー「Paddy Power」のオッズと共にご紹介していきます。
【ソートダンサー招待2018オッズ】
※オッズは23日午前10時現在
<Poddy Power 登録方法>
今年のソードダンサーインビテーショナルステークスをご紹介するにあたって、是非とも見ておきたいレースが7月末に開催されたG2レース、ボウリンググリーンステークスです。
【ボウリンググリーンステークス2018(勝ち馬:チャンネルメーカー)】
このレースを同着ながらに勝利し、今回ソードダンサーインビテーショナルステークスにおいて一番手評価となったのがチャンネルメーカー(Channel Maker)。現在のオッズは5.0倍となっています。
当初、このボウリンググリーンステークスは後にご紹介するハイハッピー(Hi Happy)そしてサドラーズジョイ(Sadlers Joy)の2頭に注目が集まっていました。
しかし終わってみれば最後は離れた3番人気となっていたチャンネルメーカーと、伏兵扱いであり今回は8.0倍のオッズを付されているグロリアスエンパイア(Glorious Empire)の2頭が勝利、波乱の結果となりました。
逆に奮わない結果となってしまったのは、現在のアメリカ芝中距離路線をけん引していた2頭。
3着となったサドラーズジョイは、昨年のソードダンサーを勝利し連覇をもくろむ1頭。
海外からの手ごわい遠征馬も混在するブリーダーズカップターフ(海外G1、2400㍍・芝)においても4着と健闘。実力、実績共にアメリカでは現役屈指と呼べます。しかし2018年シーズンは取りこぼしもやや多く、ピーク的には下がり目という見方もあります。
そのサドラーズジョイに今年5月マンノウォーステークス(海外G1、2200㍍・芝)にて勝利したのがハイハッピー。
重賞連勝中ということもあり高い評価を受けて臨んだボウリンググリーンステークスでは、1番人気に推されたにもかかわらず、勝馬からは4馬身半離された6着。不安が残る結果となりました。
夏の上り馬VS実績馬という構図となった今年のソードダンサーインビテーショナルステークス。逆に言えば、ここで勝利を挙げた馬が今後の注目馬になりうるといえるでしょう。
10月に控えるアメリカ競馬の祭典、ブリーダーズカップターフへと繋がる1戦。こちらもお見逃しなく。