いまや、日本競馬界でも年末の一大イベントとなった12月11日に開催される「香港国際競走」が間近に迫ってきました。
日本競馬で開催される年末の古馬G1レースがジャパンカップ(G1、2400㍍・芝)、そして有馬記念(G1、2500㍍・芝)といった中長距離に固まっていることから、近年では香港国際競走へ遠征する有力馬も非常に増えました。
まずは香港カップ、香港マイル、香港スプリント、香港ヴァーズの4つのカテゴリーに日本から参戦する全13頭をご紹介します。
■香港カップ(海外G1、2000㍍・芝)
エイシンヒカリ
モーリス
ステファノス
ラブリーデイ
クイーンズリング
■香港マイル(海外G1、1600㍍・芝)
ロゴタイプ
ネオリアリズム
サトノアラジン
■香港スプリント(海外G1、1200㍍・芝)
ビッグアーサー
レッドファルクス
■香港ヴァーズ(海外G1、2400㍍・芝)
サトノクラウン
ヌーヴォレコルト
スマートレイアー
出走予定馬を眺めていると、もしかすると「4レースすべて日本馬が勝利」そんな可能性も感じさせるような好メンツですが、香港勢の動向も気になるところです。
今回は、エイシンヒカリ、モーリスをはじめとした実力馬ぞろいの「香港カップ」、そして「香港マイル」「香港スプリント」の計3レースをブックメーカー「Paddy Power」(パディー・パワー)のオッズともにご紹介していきましょう。
香港カップ2016
香港国際競走のメインともいえるのが香港カップです。昨年は日本のエイシンヒカリが制しました。
【香港カップ2015(優勝馬:エイシンヒカリ)】
今年も日本を代表する中距離ランナー計5頭が出走することとなりますが、果たしてブックメーカー「Paddy Power」の目には、これらの日本馬たちはどのように映ったのでしょうか。まずはオッズをご覧ください。
【香港カップ2016単勝オッズ】
※オッズは1日午前9時現在
注目するべきはやはり、エイシンヒカリとモーリスの2頭でしょう。
前走の天皇賞・秋(G1、2000㍍・芝)では、モーリスが勝利。対するエイシンヒカリは完敗と、明暗がくっきりと分かれました。
昨年の同レースの覇者であるエイシンヒカリ。今回は連覇を狙うとともに有終の美を飾るべく坂路調教では1番時計をマークし、まさに全身全霊をかけて今回のレースに挑むといったところでしょう。現在は6.00倍のオッズとなっています。
調教にも跨り、エイシンヒカリの主戦騎手を務める武豊騎手も「前走(天皇賞12着)は、イレ込みがキツすぎた。今回もこの点次第」と、やはりキーポイントに“精神面”を挙げていました。
一方で、同馬についてまとっていた「距離不安」を見事に克服し天皇賞秋を制したモーリス。オッズは2番手評価のエイシンヒカリを大きく引き離す2.50倍となっています。
昨年は香港マイルを完勝しましたが、今回は香港カップへ挑み二階級制覇を狙う点については、ファンの中でも賛否両論でしょう。
同馬のこれまでの実績からすれば、香港マイルへ出走するほうが「確勝を期せる」と考えられますが、それでも中距離にこだわったひとつの理由として「種牡馬価値」という観点が考えられます。
少し、こぼれ話にはなってしまいますが、もともとモーリスの父であるスクリーンヒーローは社台グループが所有していた種牡馬でしたが、売却。直後にモーリスや昨年の有馬記念を制したゴールドアクターが活躍しました。
つまりは、スクリーンヒーローの種牡馬価値が高まる直前で社台グループはスクリーンヒーローを手放してしまったことになります。
ディープインパクトに次ぐ「第二の矢」が中々見当たらない社台グループとしては、モーリスには競走馬としてだけでなく“種牡馬”としての期待も非常に高いことでしょう。
今回の香港カップが“種牡馬モーリス”の価値を数億、数十億円単位で変える可能性があるだけに、陣営も並々ならぬ思いでしょう。
その他にも日本からは今年のエリザベス女王杯(G1、2200㍍・芝)を制したクイーンズリング(7.00倍)が出走します。
同馬も昨年以上に充実したシーズンを送っているだけに、期待が集まります。エイシンヒカリとほぼ同等のオッズ評価を考えると、勢いを買われてのことでしょう。
更にはG1レース2勝の実績馬ラブリーデイ(15.00倍)など、日本馬がほぼ人気上位を占めています。
迎え撃つ香港勢の注目馬はLONGINESジョッキークラブカップ(海外G2、2000㍍・芝)を、同レースの歴代2番目となるタイムで制したシークレットウェポン(Secret Weapon)が11.00倍。
2012年度の香港年度代表馬に輝いたミリタリーアタック(Military Attack)が13.00倍と、評価こそ日本馬に劣りますが、いずれも実力馬ぞろいです。
香港スプリント2016
かつて、日本のロードカナロアが2012年、2013年と連覇を達成した香港スプリント。香港で開催されるレースには1000~1400mのレースが多く、強豪馬が多いため「お家芸」とも言えます。
まずは、ブックメーカー「Paddy Power」が発表しているオッズをご覧いただきましょう。
【香港スプリント2016単勝オッズ】
※オッズは1日午前9時現在
香港カップが「日本馬優勢」。香港マイルが「香港馬優勢」だとするならば、香港スプリントは「両国接戦」といえるオッズです。
今年のチェアマンズスプリント(海外G1、1200㍍・芝)において2着に入線するなど、1200m戦においては「10戦6勝2着4回」と、驚異的な成績をたたき出しているのがラッキーバブル(Lucky Bubbles)です。今回は初のG1制覇をもくろみます。
対するのが、今年の高松宮記念(G1、1200㍍・芝)を制した日本のビッグアーサー。
前走のスプリンターズステークス(G1、1200㍍・芝)では、単勝オッズ1.8倍に推されながらも12着と大敗を喫しましたが、実力をフルに発揮できれば日本のスプリント界ではトップレベルであることは間違いないでしょう。
上記2頭は3.75倍と、同率オッズで並んでいます。
もう1頭の日本馬、今年のスプリンターズステークスを見事な末脚で制したレッドファルクスが6.00倍。2015年の高松宮記念を制したエアロベロシティ(Aerovelocity)が7.00倍であとに続きます。
<香港スプリント2016最新単勝オッズ(bet365発表)>
香港マイル2016
日本馬たちが上位評価を占めている香港カップや香港スプリントに対して、香港勢の高評価が目立つのが香港マイルです。まず「Paddy Power」のオッズをご覧いただきましょう。
【香港マイル2016単勝オッズ】
※オッズは1日午前9時現在
4.50倍、5.50倍の評価で3頭が横一線といったところでしょうか。
香港現地において、香港マイルの前哨戦ともいえるBOCHKウェルスマネジメント・ジョッキークラブマイル(海外G2、1600㍍・芝)を制したビューティーオンリー(Beauty only)。
実績的には確かに物足りないものを感じますが、そもそも今年の香港のマイル路線は主要レースの勝ち馬が入れ代わり立ち代わりといった状態。そういった中で、今年は9戦を消化して掲示板圏外は「ゼロ」と、唯一安定していたのがビューティーオンリーでした。
日本の競馬ファンにもなじみ深いのはエイブルフレンド(Able Friend)でしょう。地元香港でG1レース4勝の実績はもちろん、香港マイルでは2014年2着、2015年3着と、常に結果を残しています。
また、サンジュエリー(Sun Jewellery)は11戦7勝と抜群の安定感を誇る、香港マイル路線期待の1頭です。ただし、上位クラスではまだ大きな実績を残せていないことを考えると、いわゆる「クラス慣れ」が必要な面もあります。
対する日本馬は、マイルチャンピオンシップ(G1、1600㍍・芝)3着のネオリアリズムが8.00倍。同レースで1番人気に推されながらも5着に敗れたサトノアラジンが7.00倍。
さらに、今年の安田記念(G1、1600㍍・芝)において、あのモーリスを破ったロゴタイプが11.00倍と、香港勢に肉薄しています。