今週末からが春競馬の本格化と、考える競馬ファンも多いのではないでしょうか。いよいよ三歳のクラシックレースがスタート。まずその口火を切るのが阪神競馬場で開催される三歳牝馬第一冠目桜花賞（G1、1600㍍・芝）です。
昨年の勝利馬であるアーモンドアイは、先日のドバイターフで圧巻の競馬を見せましたが、今年の桜花賞でもそんな世界に羽ばたくような女王が誕生するのでしょうか。そして今年の桜花賞は「フレッシュな顔ぶれ」に注目が集まります。
【桜花賞2019枠順】
1-1 シェーングランツ(牝3、武豊・藤沢和雄)
1-2 エールヴォア(牝3、松山弘平・橋口慎介)
2-3 ノーブルスコア(牝3、岩田康誠・藤原英昭)
2-4 クロノジェネシス(牝3、北村友一・斉藤崇史)
3-5 ルガールカルム(牝3、三浦皇成・田村康仁)
3-6 ホウオウカトリーヌ(牝3、大野拓弥・栗田徹)
4-7 アウィルアウェイ(牝3、石橋脩・高野友和)
4-8 グランアレグリア(牝3、C.ルメール・藤沢和雄)
5-9 アクアミラビリス(牝3、M.デムーロ・吉村圭司)
5-10 フィリアプーラ(牝3、丸山元気・菊沢隆徳)
6-11 メイショウケイメイ(牝3、古川吉洋・南井克巳)
6-12 ノーワン(牝3、坂井瑠星・笹田和秀)
7-13 ジュランビル(牝3、松若風馬・寺島良)
7-14 ビーチサンバ(牝3、福永祐一・友道康夫)
7-15 ダノンファンタジー(牝3、川田将雅・中内田充正)
8-16 シゲルピンクダイヤ(牝3、和田竜二・渡辺薫彦)
8-17 レッドアステル(牝3、戸崎圭太・国枝栄)
8-18 プールヴィル(牝3、秋山真一郎・庄野靖志)
※4日午後3時更新
出走各馬のご紹介へ移る前に、まずはブックメーカー「bet365」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【桜花賞2019オッズ】
※オッズは４日午前７時現在
＜桜花賞2019最新オッズ情報＞
2.25倍と一番手評価に推されているのは昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ（G1、1600㍍・芝）の覇者にして前哨戦であるチューリップ賞（G2、1600㍍・芝）を制したダノンファンタジー（Danon Fantasy）です。
5戦4勝、重賞3勝という成績は言わずもがなですが、ダノンファンタジーで注目したいのはその自在性と安定感。
チューリップ賞は番手からの抜け出し、阪神ジュベナイルフィリーズは最高峰付近からの怒涛の追い上げ。ファンタジーステークス（G3、1400㍍・芝）では好位からの差し込みと、これまで見せてきた脚質は非常に多彩。更に注目したいのが馬体重も未勝利戦から一貫して「460キロ」で出走している点。ナーバスになりがちな3歳牝馬ということを思えば、精神的にかなり成熟している馬であるといえます。
管理する中内田充正調教師は開業6年目にして現在並みいる名伯楽たちを抑えて堂々の調教師リーディング1位。
中内田厩舎といえば昨年、大本命視されながらもクラシック未冠に終わったダノンプレミアムを管理していた厩舎としてもお馴染み。昨年果たせなかった夢を、ダノンファンタジーで叶えたいところです。
フレッシュな調教師が管理し、旬な騎手が騎乗する馬と言えばこちらにも注目。阪神ジュベナイルフィリーズ2着馬にして、クイーンカップ（G3、1600㍍・芝）を制したクロノジェネシス（Chorono Genesis）。オッズは4.00倍。
鋭くスパっと切れる脚が持ち味のクロノジェネシス。阪神ジュベナイルフィリーズでの好成績や、前走の重賞制覇もお見事でしたが更に注目したいのは1800m戦をこなすスタミナを既に実証しているという点。タフなレースや馬場になりがちな阪神コースにおいてこの実績はダノンファンタジーや後述のグランアレグリアはない強調点でもあります。
やや気がかりなのはクイーンカップからのローテーションで好成績を残している馬がいないという点。思い起こされるのは2016年に同じローテーションで単勝1.5倍に支持されながらも敗れたメジャーエンブレムではないでしょうか。
ただし、その時と大きく違うのがメジャーエンブレムは美浦所属であったのに対しクロノジェネシスは栗東所属であるという点。本来ならば阪神がホームともいえるだけに、この違いがどう出るでしょうか。
管理するのは中内田厩舎よりも開業年数の浅い4年目の斉藤崇史調教師。
重賞初勝利をプレゼントしてくれたクロノジェネシス。阪神ジュベナイルフィリーズでは本当にあと少しのところまで手が届いたG1勝利だけに、ダノンファンタジーへの雪辱と悲願のG1勝利に気合が入ります。
そして鞍上は先週の大阪杯で悲願のG1勝利を手にした北村友一騎手。
斎藤調教師より一足先にG1勝利を手にすることにはなりましたが、今年はリーディング10位ながらに重賞勝利は4勝。これまで『年間』で2勝を挙げるに留まっていた北村騎手としては正に大躍進。馬、厩舎、騎手、すべてが勢いある陣営だけに要注意でしょう。
ダノンファンタジーと新馬戦からの評価がすっかりと逆転してしまったグランアレグリア（Grab Alegria）。オッズはクロノジェネシスと同じ4.00倍です。
新馬戦ではめったにお目にかかることのできない好タイム。しかもその際に2馬身差をつけた相手が先にご紹介したダノンファンタジーでした。その後、サウジアラビアロイヤルカップ（G3、1600㍍・芝）でも、牡馬を相手にしながらも一蹴。それまでのパフォーマンスから牝馬にして朝日杯フューチュリティステークス（G1、1600㍍・芝）では1.5倍と圧倒的な人気を集めました。
しかし、当時牡馬の筆頭格とも言えたアドマイヤマーズの前に3着。この結果と桜花賞への直行ローテーションを受けてこの評価といったところでしょう。
休み明けは新馬戦（6月）→サウジアラビアロイヤルカップ（10月）というローテーションで結果を残していることや、阪神1600mの走破時計もダノンファンタジーと0.2秒差。順調に成長を促し、調教を積んで桜の舞台に挑んでくることとなれば、新馬戦の再現は十二分に考えられるでしょう。
母の思いを背に出走をする一頭。ビーチサンバ（Beach Samba）も高評価の一角。重賞未勝利ながら8.00倍となっています。
勝利こそデビュー戦の1勝のみですが、それ以降は重賞のみに出走し2着2回、3着1回と安定した成績。特に出遅れ気味にスタートすることとなってしまった前走のクイーンカップは着差を考えても勝ちに等しい2着。それだけに能力は上位レベルという見方が根強い一頭です。
母であるフサイチエアデールは3歳クラシックから牝馬一線級で活躍し重賞を4勝。しかしG1は惜しくも手が届かず2着が3回まで。そしてその中の一回が桜花賞でした。
そんな、母の桜花賞からちょうど20年。節目の桜花賞で打倒三強を目指します。
2017年の勝利馬レーヌミノルを輩出し、今年同着となって話題を呼んだフィリーズレビュー（G2、1400㍍・芝）の2頭もご紹介しましょう。
未勝利戦を勝ち上がるまで5戦を費やしながら、初出走となった重賞で上がり最速、そして勝利を手にしたノーワン（No One）は51.00倍。G1挑戦二度目となる坂井瑠星騎手を背に、前走がフロックではないことを証明したいところ。
1400m戦で3勝を挙げている同着のプールヴィル（Pourville）。1600m戦ではやや距離が長い印象を受けますが、阪神ジュベナイルフィリーズでは15番人気ながらに5着と好走。今の充実度をもってすれば一撃を秘めています。こちらは61.00倍となっています。
その他、近走こそ結果を残せていないものの未だ能力に対して評価の高いシェーングランツ（Schon Glanz）が11.00倍。M.デムーロ騎手が騎乗するアクアミラビリス（Aqua Mirabilis）が13.00倍。
牡馬路線で活躍するファンタジストと同等のレースを見せたアウィルアウェイ（A Will A Way）が10.00倍で続くなど、ダノンファンタジーを中心視する声は大きいものの、ブックメーカー上のオッズ的には多くの伏兵が居ることを表しているといえるでしょう。
今年の桜の女王はいったいどの馬か。桜花賞は4月7日（日）、15時40分発走予定です。
