今年の東京競馬場のフィナーレを飾るジャパンカップ(G1、2400㍍・芝)がいよいよ11月27日(午後3時40分)に開催されます。
日本のG1の中でも最高峰に位置するジャパンカップではありますが、実は「東京2400m」という条件で施行されているOPクラス以上のレースは、ジャパンカップを含めて5レースしか存在しません。
【ジャパンカップ2016枠順】※24日午後2時45分更新
1-1 キタサンブラック(牡4、武豊・清水久詞)
1-2 ビッシュ(牝3、幸英明・鹿戸雄一)
2-3 ゴールドアクター(牡5、吉田隼人・中川公成)
2-4 ルージュバック(牝4、戸崎圭太・大竹正博)
3-5 イキートス(牡4、I.ファーガソン・H.グリューシェル)
3-6 ラストインパクト(牡6、川田将雅・角居勝彦)
4-7 ワンアンドオンリー(牡5、田辺裕信・橋口慎介)
4-8 イラプト(牡4、P.ブドー・F.グラファール)
5-9 ディーマジェスティ(牡3、蛯名正義・二ノ宮敬宇)
5-10 トーセンバジル(牡4、内田博幸・藤原英昭)
6-11 フェイムゲーム(セ6、北村宏司・宗像義忠)
6-12 サウンズオブアース(牡5、M.デムーロ・藤岡健一)
7-13 ヒットザターゲット(牡8、小牧太・加藤敬二)
7-14 レインボーライン(牡3、C.ルメール・浅見秀一)
8-15 ナイトフラワー(牝4、A.シュタルケ・P.シールゲン)
8-16 リアルスティール(牡4、R.ムーア・矢作芳人)
8-17 シュヴァルグラン(牡4、福永祐一・友道康夫)
そしてその内の3レースは、3歳限定戦です(青葉賞・オークス・日本ダービー)。残る1レースも、オープン特別のメトロポリタンステークスのみです。
つまり、競馬の予想をする上で重要な要素である「コース適性」という部分が測りにくいレースであるといえます。その為、ジャパンカップにおいては「何を重要視して予想を組み立てるか」が非常に重要といえるでしょう。
マカヒキやドゥラメンテ(今年の宝塚記念後に引退)といった、日本競馬の上半期を大いに沸かせた馬たちこそ参戦しないものの、古馬を中心に確かな実力・実績を兼ねそろえた出走馬が名を連ねている今年のジャパンカップ。
今回は、ブックメーカー「Paddy Power」(パディー・パワー)と「William Hill(ウィリアムヒル)」、2つのブックメーカーのオッズを見比べながら、出走各馬をご紹介していきましょう。
【ジャパンカップ2016単勝オッズ(Paddy Power発表)】
※オッズは23日午後10時現在
ご覧いただくとわかるように、人気上位3頭は「キタサンブラック・ゴールドアクター・リアルスティール」と、同じ名前が挙がっているのですが、「Paddy Power」と「William Hill」では、その“順序付け”が違います。
昨年の菊花賞(G1、3000㍍・芝)そして、今年の天皇賞春(G1、3200㍍・芝)を制した名ステイヤー、キタサンブラック。「Paddy Power」では4.50倍で単独の1番手。一方で「William Hill」ではゴールドアクターと並んでの1番手評価となっています。
【ジャパンカップ2016単勝オッズ(ウィリアムヒル発表)】
※オッズは23日午後10時現在
<ジャパンカップ2016最新単勝オッズ(bet365発表)>
キタサンブラックは実績的には今回の出走馬の中でもトップクラス。ですが、ひとつ気がかりなのは3歳時の日本ダービーにおいて14着と大敗を喫している点でしょうか。
敗因としては逃げたミュゼエイリアンが作り出したハイペースに飲まれてしまいそのまま失速という、先行馬には厳しいペースだったことが挙げられます。
その一方で、前走の京都大賞典(G2、2400㍍・芝)での勝利や、デビュー戦・2戦目と共に東京コースで勝利していることから、距離やコース適性に不安はないと考えられます。
「今回は確たる先行馬も居ないため、日本ダービーの二の舞にはならずむしろキタサンブラックに有利なペースで展開する」と考えているメディアが非常に多い印象ですが、ほかの陣営もこの展開通りになればキタサンブラックがしぶといことはわかりきっているはずです。
「もくろみ通りの競馬ができるかどうか」ここがキタサンブラックの取捨選択におけるキーポイントと言えるでしょう。
「William Hill」において、キタサンブラックと同じ1番手評価を受けているのが昨年の有馬記念(G1、2500㍍・芝)を制したゴールドアクターです。一方で「Paddy Power」では5.50倍で3番手評価になっています。
こちらも、前走のオールカマー(G2、2200㍍・芝)を制し、余裕を持ったローテーションでジャパンカップ制覇を目指します。
関係者からも「オールカマーの時と比べ毛ヅヤが良くなってきた。展開に左右されないのでここも楽しみ」と、コメントを寄せているように状態面においては確実に上向いているようです。
ゴールドアクターにおいて評価が別れるのが「これまでの相手関係のレベル」でしょう。昨年の有馬記念以外では「一線級がズラリと顔を揃える」といったレースには参戦していないことから、レベルを疑問視する声もあります。
また、春も2戦で終えたように、あまり使い詰めるのが良いタイプではないようであることを考えると「ジャパンカップではなく有馬記念が本命」と、陣営が考えている可能性も無きにしもあらずといったところでしょうか。
ゴールドアクターの真価が問われる一戦となりそうです。
「Paddy Power」では5.00倍の2番手評価。一方「William Hill」では上記の2頭から離れた7.00倍の3番手評価を付されているのが、今年のドバイターフ(海外G1、1800㍍・芝)を制したリアルスティールです。
「Paddy Power」においてここまで高評価な理由はやはりドバイターフを制したことや、今年の天皇賞秋(G1、2000㍍・芝)において2着に入線した実績面を考えてのことでしょう。
逆に、「William Hill」では2400mという距離に対しての不安面を考慮してやや控えめなオッズになっていると考えられます。
リアルスティールにおいていえることは、ここ10年間で6頭もの勝ち馬を輩出している「勝ち組ローテーション」である天皇賞秋を経由してジャパンカップに挑むローテーションであるという点。ローテーション的にはもっとも期待できるといっても良いでしょう。
実は、今年の「勝ち組ローテーション」の出走予定馬はリアルスティールの他にもう一頭のみとなっています。それが両ブックメーカーにおいても15.00倍の評価となっている、牝馬のルージュバックです。
前走は最後の直線で蓋をされてしまう厳しい展開であり、不完全燃焼な一戦。昨年のオークスにおいて2着に入線しているように、コース適性も問題はありません。昨年の勝ち馬、ショウナンパンドラの再現の可能性も…といったところでしょうか。
上位3頭に追随するのは、シュヴァルグランとディーマジェスティの2頭です。
「Paddy Power」では6.50倍、「William Hill」では8.00倍のオッズとなっているシュヴァルグラン。2400㍍戦は4戦3勝2着1回と無類の強さを見せている点は魅力的です。
ただやはり、戦績から考えてもG2レベルから上では勝ちきるまでに至るイメージがわかないというのも本音でしょう。ひと夏越えた成長分に期待したいところです。
超ハイレベル世代との呼び声高い今年の3歳クラシック勢からは皐月賞馬ディーマジェスティが参戦します。「Paddy Power」では9.00倍。「William Hill」では7.50倍のオッズとなっています。
古馬との初対決であることや、この秋3戦目、くわえて前走は長距離レースの菊花賞(G1、3000㍍・芝)と、かなりタフなローテーションで挑む辺りがポイントでしょうか。
ひょっとすると、今年の3歳クラシック世代が凄まじいレベルの高さであることを見せつける快勝の可能性もあるのが、ディーマジェスティの魅力ともいえるでしょう。
最後に、海外からの遠征組の注目馬もご紹介しておきましょう。
昨年のジャパンカップで6着と好走したことから、世界的に見ても独特とされる「日本の芝」にしっかりとアジャスト可能であることを証明した、フランスのイラプトは非常に怖い存在と言えるでしょう。
昨年とは違い、東京コースと同じ左回りに狙いを絞った前哨戦を経由したことや、コンビを組むのは今年フランスの年間最多勝記録となる228勝を軽く更新した新時代の名手ブドー・ピエール・シャルル騎手とデビュー戦以来となるコンビを組むなど、昨年以上に陣営が勝機を期して挑んできていることは明らかです。
「William Hill」では10.00倍、「Paddy Power」では12.00倍と、海外参戦馬の中では非常に高い評価を得ています。