日本のオークス、ダービーが終了し、いよいよ本場イギリスダービー(海外G1、2400㍍・芝)、そしてイギリスオークス(海外G1、2400㍍)を迎えることとなります。
イギリスダービー2017
最大の注目馬として目されていた、イギリス三冠の一冠目である英国2000ギニー(海外G1、1600㍍・芝)を制したチャーチル(Churchill)がマイル路線を進むことを表明し、5月27日に行われたアイルランド2000ギニーへと出走し、快勝しました。
もう1頭、面白い存在として英国民の注目を集めていたのがコールトゥマインドという馬がダービーに出走できるか否かという点。
実はこの馬、エリザベス女王が生産し、所有していた1頭。残念ながら出走はかないませんでしたが、今年は大一番前からかなりの盛り上がりを見せていました。
そんな大盛り上がりの英国ダービー。今年はオッズ上で2強の様相を呈することとなります。まずは、老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただきたいと思います。
【英ダービー2017単勝オッズ】
※オッズは1日午前9時現在
まず1頭は、デビュー戦から2戦2勝の成績で臨むこととなったフランケル産駒のクラックスマン(Cracksman)です。現在5.00倍となっています。4月26日にダービーと同じ舞台で行われた、日本の青葉賞のような存在であるダービートライアルステークスを快勝。
この事実だけならば、勢いのある3歳馬という評価に終わりますが、ダービートライアルステークスにおいて2着に入線したパーミアン(Permian)がその後、こちらも英国ダービーへの前哨戦としてかなり重要視されているダンテステークス(海外G2、約2092㍍・芝)を制したため、更にクラックスマンの評価を上げる要因となりました。
とはいえ、ダービートアライアルステークスにおけるクラックスマンとパーミアンの着差は僅かに「クビひとつ」。
ローテーション的に余裕のあるクラックスマンと、ダンテステークスを含めてトライアル後に2戦を消化し、大一番前に使い込んでいるパーミアン。どちらが良い状態で本番を迎えることが出来るでしょうか。
オッズ上での判断だと、パーミアンは10.00倍と、やや低い評価です。
もう1頭、今年の英国ダービーにおいて注目されているのがLRディーステークスを制したクリスオブモハー(Cliffs of Moher)。こちらは現在5.00倍。
実績こそ3戦2勝、そして重賞勝利経験があるわけではないですが、注目されるべきは馬自身ではなく、むしろ管理している厩舎にあると言えます。
今年のエイダン・オブライエン厩舎はここまでイギリス1000ギニー・アイルランド1000ギニー・イギリス2000ギニー・アイルランド2000ギニーと、両国間のクラシックレースを目下4連勝中。
後々でご紹介させていただくイギリスオークスの中心的存在もオブライエン厩舎の管理馬。前代未聞の「同一年クラシックレース6連勝」という偉業達成なるかという点にも、大きな関心が寄せられています。
ちなみに日本のダービーにおいても、今年池江厩舎と音無厩舎がそれぞれ3頭ずつ送り込むことをお伝えしましたが、今年のオブライエン厩舎はイギリスダービーになんとすべてで7頭もの出走を予定。
まさに「ダービーを獲りに来ている」といった熱気が、これだけのことからも伝わってきます。
そんなオブライエン厩舎の中からもう1頭ご紹介するとすれば、カプリ(Capri)でしょうか。12.00倍のオッズとなっています。
今年に入ってはG3グレードにおいて4着、3着と結果を残し切れていませんが、2歳時にはベレスフォードステークス(海外G2、1600㍍・芝)を制するなど、今年のイギリスダービー出走馬の中では高い実績を持っていると言えます。
2強、そして先ほどその中でご紹介させていただいたパーミアンの他にご紹介しておきたいのは、ベストソリューション(Best Solution)、そしてエミネント(Eminent)の2頭。
13.00倍となっているベストソリューションはここまでデビューから9戦を消化。しかし2歳時には重賞勝利やクリテリウムドサンクルー(海外G1、2000㍍・芝)において2着に入線。
3歳になっても前哨戦であるイギリスダービートライアルステークスにおいて3馬身差以上を付ける快勝。距離適性という部分に関しては出走馬屈指です。
もう1頭、7.00倍となっているエミネント。
こちらは1冠目であるイギリス2000ギニーからの出走となります。残念ながら同レースでは6着と敗れましたが、その前哨戦であるクレイヴァンステークス(海外G3、1600㍍・芝)においては勝利。
クラックスマンと同じくフランケル産駒であることから、距離延長に対して期待を込めてこの評価といったところでしょう。
イギリスオークス2017
ダービーのみならず、今年のクラシック戦線で大きな注目を集めるエイダン・オブライエン厩舎がやはりイギリスオークスでも中心的存在となっています。
まずは、こちらも老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただきたいと思います。
【英オークス2017単勝オッズ】
※オッズは1日午前9時現在
中心視されているのがロードデンドロン(Rhododendron)。2歳時にはフィリーズマイル(海外G1、1600㍍・芝)を制するなど、5戦3勝。今年の初戦となったイギリス1000ギニーでも1番人気に推されていましたが、ここは勝ちきれずに2着。
それでも、過去の実績や父ガリレオという血統面も含めて、今年のオークスはこの馬で決まりではないかという空気が、1.91倍という高い評価の既にオッズ上からも現れています。
ロードデンドロンに対抗しうる可能性が最も高いとされているのは、サンタラリ賞(海外G1、2000㍍・芝)を制したソベツ(Sobetsu)でしょうか。
2000mをこなせたことは、2400mで行われるオークスを迎えるにあたって非常に大きなアドバンテージ。
しかし、サンタラリ賞の2着馬が未勝利馬だったことなどを考えると、決して高い評価を下すまでには至らないからこそ、9.00倍というオッズと、ここまでロードデンドロンが高い評価になっているとも考えられます。
ご紹介しているブックメーカーでは11.00倍。各社4番手評価に挙げる馬が、サンタラリ賞で3着だったコロネット(Coronet)であることを考えても、やはり今年はロードデントロンがやや抜けていると考えるのが妥当かもしれません。
オブライエン厩舎の偉業達成なるか、それとも他厩舎が意地を見せるのか。
イギリスオークスは日本時間の6月3日(土)午前0時30分に、イギリスダービーは6月4日(日)午前0時30分にそれぞれ発走します。