新旧「怪物対決」が大きな注目を集めた天皇賞・秋。現役最強女王、アーモンドアイ。それに対するは3歳素質ナンバーワンと言われた良血の大物、サートゥルナーリア。この2頭の激突に心躍った競馬ファンも多かったかと思いますが、ふたを開けてみればアーモンドアイがサートゥルナーリアはおろか、他馬も全く寄せ付けない強さで完勝。正に「次元が違う」という言葉を思い知らされた1戦でした。
若馬と古馬の対決が楽しみなのは日本だけではありません。11月1日、11月2日にかけてアメリカはサンタアニタパーク競馬場では「ブリーダーズカップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップ」が開催されます。
2日間で13レース、延べ12ものG1レースが組まれた、アメリカ競馬におけるフェスティバル的存在のブリーダーズカップ。どのレースもご紹介したいところですが本日はその中からメイン的2レースであるブリーダーズカップターフ(海外G1、2400㍍・芝)そしてブリーダーズカップクラシックの2レースをご紹介します。
この2レースも、天皇賞・秋と同じように、注目ポイントは「3歳馬VS古馬」です。
ブリーダーズカップターフ2019
アメリカ競馬というとダートのイメージが先行しますが、ブリーダーズカップターフも世界的に見れば非常に重要な1戦と言ってよいでしょう。そのことを表すかのように、ここ5年間でアメリカ勢の勝利は1回のみと、国際色強いレースとなっています。
果たして今年のブリーダーズカップターフは地元勢の逆襲なるのか、それともこのレースにめっぽう強い「あの名伯楽」の独壇場となってしまうのか。ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただいてから、有力出走馬のご紹介へ移りましょう。
【ブリーダーズカップターフ2019オッズ】
※オッズは1日午後9時現在。上記オッズをクリックすると最新オッズが確認できます。
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今年のアメリカの総大将はこの馬でしょう。現在6連勝中のブリックスアンドモルタル(Bricks and Mortar)。オッズは3.00倍となっています。
デビューから無傷の4連勝で重賞制覇を果たすも、跛行が悪化してしまい、その後は精彩を欠く結果に。ここから、陣営は成功確率が約50%と言われる手術へ踏み切り見事成功。1年間の休養を経てからは先ほどもお伝えしたようにG1レース4勝を含む6連勝と完全復活を果たしました。
前走の、夏のアメリカミドルディスタンスターフのキングを決定する、アーリントンミリオンカップ(海外G1、2000㍍・芝)においても、欧州からの遠征組を見事に退けて勝利。ここも負けられませんが、2400mは初挑戦だけに、距離に一抹の不安を残してはいます。
対する対抗馬的存在は2頭の「遠征組」。
3歳馬のアンソニーヴァンダイク(Anthony Van Dyck)。今年のイギリスダービー馬です。オッズも3.25倍と、ほぼ差がありません。
キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(海外G1、2390㍍・芝)において10着と大敗は喫したものの、続くアイリッシュチャンピオンステークス(海外G1、2000㍍・芝)では骨っぽいメンツ相手に3着と復調の兆し。2019年の戦績を見れば、5戦2勝、2着1回3着1回と、順当に結果を残しています。
アンソニーヴァンダイクの場合、2歳時にもブリーダーズカップへ遠征を敢行するなど元々海外遠征へ非常に積極的。となればお察しの通り管理するのはアイルランドの雄、A.オブライエン調教師。ここ5年でブリーダーズカップターフ2勝を挙げています。
ブリックスアンドモルタルにアーリントンカップで敗れた遠征組が何を隠そうこのオブライエン調教師。もう1頭の管理馬、マウントエベレスト(Mount Everest)とともに、ブリックスアンドモルタルへのリベンジを誓います。
もう1頭が、前走、カナダのノーザンダンサーターフステークス(海外G1、2400㍍・芝)を制し手挑むのは、日本でもおなじみゴドルフィンの所有馬、イギリスのオールドペルシアン(Old Persian)。オッズは4.50倍です。
オールドペルシアンの名前、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。日本馬3頭が遠征した今年のドバイシーマクラシックを勝利したあのオールドペルシアンです。
3歳の秋からほぼ中長距離に路線を定めて活躍してきたオールドペルシアン。戦績的にはややムラがありあますが、ドバイやカナダで結果を残しているように遠征競馬は慣れたもの。実力を発揮すればブリックスアンドモルタル陣営にとってかなりの強敵となるでしょう。
ブリーダーズカップクラシック
ブリーダーズカップターフも注目レースですが、ブリーダーズカップと言えばやはりこのレースでしょう。3歳馬と古馬の対決が非常に楽しみな1戦です。
こちらもまずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」のオッズをご確認いただきましょう。
【ブリーダーズカップクラシック2019オッズ】
※オッズは1日午後9時現在。上記オッズをクリックすると最新オッズが確認できます。
3.75倍と最も注目を集めるのは4歳馬のマッキンジー(Mckinzie)。13戦して7勝2着5回と驚異的な連対率を誇っています。
2着の内容もほとんどが僅差であり「展開ひとつ」でもっと勝鞍が増えていたともいえる一頭ですが、圧倒的な戦績な中で唯一大敗を喫したのが何を隠そう昨年のブリーダーズカップクラシック。その嫌な記憶を払拭するようなレースを期待したいところです。
3歳勢で大注目なのはコードオブオナー(Code Of Honor)でしょう。今年のケンタッキーダービー2着馬にして、ミッドサマーダービーことトラヴァーズステークス(海外G1、2000㍍・ダート)を完勝と言える内容で制しています。オッズは5.00倍で2番手評価です。
前走は、今回のブリーダーズカップクラシックと同じ条件で開催されたジョッキークラブゴールドカップ招待に出走。レース自体は激しい競り合いの末、ハナ差で敗れたかのように見えましたが、勝ち馬のヴィーノロッソが最後の直線走路における妨害が認められ、降着の結果、1着となりました。
ただ、レース内容を見る限り「ラッキーな勝利」ではなく「どちらが勝ってもおかしくはなかった」というレースだっただけに、十分価値ある1勝と言えるでしょう。
しかしながらそのヴィーノロッソ(Vino Rosso)も、妨害行為こそしてしまったものの最後まで抜かせなかった勝負根性はお見事。こちらも注目の1頭であり、オッズ的にも5.50倍と2頭に肉薄しています。
芝・ダートの両方でG1勝利の経験がある日本のノーザンファーム生産馬ヨシダ(Yoshida)も面白い1頭。オッズは8.0倍となっています。
日本競馬ではお馴染みのハーツクライ産駒であるヨシダ。切れ味鋭い末脚が武器ではありますが、スピード競馬+前々で押し切るのが主流であるアメリカ競馬においてはやや苦戦を強いられている印象。それでもG1を勝利した経験があるのは、この馬に確かな実力が備わっているからに他ならないかと思います。
今回の鞍上はアメリカが誇る名手、M.スミス騎手。
50歳を超えた今もその実力は超一品。2018年にも20個以上の重賞を制し、ブリーダーズカップクラシックも過去に4回制覇。「勝たせ方」を知っているジョッキーといえるでしょう。
正に見どころ満載のブリーダーズカップターフ、ブリーダーズカップクラシックは、両レース共に11月2日(日本時間3日)に開催されます。