カレッジフットボールのレギュラーシーズンもいよいよ第14週(最終週)に突入し、各カンファレンスのチャンピオンシップ、そして今シーズンから採用された上位4チームによる「カレッジフットボール・プレイオフ」(CFP)進出に向けて全米が過熱しています。
今シーズンから採用されたCFPですが、これはこれまでランキングによって自動的に決まっていたBCSチャンピオンズシップシリーズを、CFP選考委員会を設けてその委員会が10月末よりランキングを発表し、12月のレギュラーシーズン終了時点で上位4大学にプレイオフ進出の権利を与えるというものです。
<参考記事>
NCAAカレッジフットボール2014シーズン開幕!昨季全米王者に輝いたフロリダ州立大が優勝候補筆頭、アラバマ大、オレゴン大があとを追う
このプレイオフは、フットボールファンのみならずカレッジフットボール関係者たちの長年の想いが体現されたと言える“画期的”な出来事として歓迎されました。しかし、早くも4チームによるプレイオフに対してクレームも出始めています。
アメリカのスポーツ専門チャンネル「ESPN」が、カレッジフットボールのコーチに対して「プレイオフは何チームで争うのがよいか?」というアンケートを実施しました。103人のコーチが回答に応じ、そのうち44%が8チームによるプレイオフが良いと回答しました。現行の4チームが良いと答えたのは29%でした。
まだプレイオフはスタートしていないので何とも言えませんが、この4チームを選ぶCFP選考委員会の様々なデータを基に決定が、果たして全米1となるべく4チームに収まり切れるのか疑問はあります。かといって、8チームにすれば最大3試合プレイオフを戦うことになるため、選手たちのケガや体調面も含めた健康面の問題も出てくるでしょう。
何かをランキングするというのは非常に難しいなとNCAAフットボールを見ていて感じますね。実際、APトップ25のランキングでもプレシーズンのランキングと最新のランキングではやはり違っています。
【CFB、AP Top25、USA Todayランキング】
※「Yahoo Sports」より抜粋。CFBは18日、他は23日発表(現地時間)
最新のAPトップ25ランキングを見てみると、戦前の予想通りフロリダ州立大(11-0、1458ポイント)、アラバマ大(10-1、1445ポイント)、そしてオレゴン大(10-1、1393ポイント)と3強がしっかりトップ3に入っています。しかし、4位を見てください。プレシーズンのランキングではトップ25位にも入っていなかったミシシッピ州立大(10-1、1301ポイント)が食い込んでいます。長年カレッジフットボールを取材してきた記者たちですら、そのチームの真の強さを測り知ることは出来ないこともあるのです。
また、プレイオフ進出チームを決める「CFB選考委員会ランキング」(CFB Selection Committee)とAPトップ25のランキングを比較しても、フロリダ州立大を1位に推すAPトップ25と、アラバマ大を選ぶCFBは違いますね。アラバマ大は近年で最も全米No.1チームを輩出しているカンファレンスであるSEC所属のチームということが、大きく影響していると思われます。昨シーズンの全米No.1のフロリダ州立大はまだ無敗であるのに、1敗を喫しているアラバマ大やオレゴン大の下というのはどうも不可解です。
主観を取り除きすべてを客観的に順位づけするのは難しいでしょうが、チームの強さの尺度をもっと明確にすることも必要なのではないでしょうか。12月31日、1月1日に行われるセミファイナル、そして1月12日に行われるファイナルに進出するチームの顔ぶれを楽しみにしましょう。
さて、今週末は第14週ということでレギュラーシーズン最後の試合となります。カンファレンスファイナル進出チーム、そしてプレイオフ進出へと大きく舵を切ることが出来るチームはどこなのでしょうか?第14週の勝敗オッズを日本語対応しているブックメーカー(スポーツブック)「Pinnacle Sports(ピナクルスポーツ)」が発表していますので見てみましょう。
【NCAAカレッジフットボール第14週勝敗オッズ】
※オッズは25日午後10時現在
まずは、CFBでトップに支持されているアラバマ大は15位のオーバーン大(8-3)と対戦します。「MONEY LINE」(マネーライン=勝敗オッズ)ではアラバマ大が優位との見方が強いようです。今回、注目してもらいたいのが「HANDICAP」(ハンディキャップ)のオッズです。
ハンディキャップとは、最終スコアに示された数字をプラスマイナスしたスコアで勝敗を決めるベッティングのことです。オッズの左横に+9.5、-9.5とありますね。この数値を最終スコアにプラスもしくはマイナスすることで勝敗を決めます。したがって、ハンディキャップの数値が「マイナス」のチームは「プラス」のチームよりも力が上であるという見方が出来ます。そして、その数値が大きければ大きいほど実力差が大きいということになります。
ハンディキャップについて詳しく知りたい方は、清崎民喜の公式ブログを読んでみてください。
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アラバマ大とオーバーン大のハンディキャップを読み解くと、「アラバマ大はオーバーン大に10点差以上(-9.5なので)つけて勝たないと“勝ち”にならないし、オーバーン大は9点差以内(+9.5なので)であれば試合に負けてもベッティングでは勝利になる」ということになります。
2位のオレゴン大はオレゴン州立大(5-6)との対戦です。勝敗オッズでは圧倒的優位で、ハンディキャップオッズでも20点の差がありますね。つまり、実力差が大きいということになります。このように圧倒的な力の差がある対戦でも、20点というハンディキャップを付けることで同じくらいのオッズ(1.9倍前後)で戦えるという面白さがあります。
無敗のフロリダ州立大学は、ライバル・フロリダ大(6-4)との対戦が組まれています。上記2つの対戦ほど勝敗オッズの差はありませんし、ハンディも7.5点と小さ目です。ということは、両者の力はフロリダ州立大が上ではあるものの、1TDの差程度であるということがわかります。今シーズンはランク外のフロリダ大ですが、2度の全米チャンピオン(2006、2008年シーズン)になっている強豪ですので油断なりません。
4位のミシシッピ州立大は18位のミシシッピ大(8-3)と対戦です。「大学対州立大」のライバル対決でシーズンを終えるのが、日本の大学野球「早慶戦」やラグビーの「早明戦」のような感じと似ていますね。両者の対戦はハンディキャップオッズしか発表されていませんが、ハンディはわずかに2でほぼ互角の戦いと見ていいでしょう。
第14週のレギュラーシーズン最終戦および12月6日に行われるカンファレンスチャンピオンシップのゲームで、プレイオフ進出チームもすべて決定します。まだまだ最後まで何が起こるかわからない予感を強く感じるのは私だけでしょうか?