日本のクラシック戦線の興奮覚めやらぬ中、欧州でも大注目の第237回イギリスダービー(海外G1、約2423㍍、芝)および第238回イギリスオークス(海外G1、約2410㍍、芝)がそれぞれエプソム競馬場で開催されます。伝統ある両レースではありますが、今年はそれぞれがまったく違った楽しみを持つこととなりました。両レースは開催される競馬場の名を取って「Epsom Derby」(エプソムダービー)、「Epsom Oaks」(エプソムオークス)とも呼ばれています。
イギリスダービー2016(日本時間5日午前0時30分発走)
先日、東京競馬場で行われた日本ダービー(G1、2400㍍・芝)もかなりの混戦模様ではありましたが、競馬の母国イギリスで行われる「本家ダービー」である、に関しても、負けず劣らずの大混戦。昨年はゴールデンホーン(Golden Horn)が勝利。無敗のイギリスダービー馬に輝きました。
昨年のゴールデンホーンのような中心視されるべき1頭がいれば話は早いのですが、現地のファン、関係者含め今年はどの馬にも「勝機がある」と考えられているイギリスダービー。早速競馬でお馴染みのブックメーカー「Paddy Power」(パディーパワー)が単勝オッズを発表していますので確認してみましょう。
【イギリスダービー2016単勝オッズ】
※オッズは22日午後8時現在
6.00倍のオッズとなっているユーエスアーミーレンジャー(US Army Ranger)は、ここまでキャリアわずか2戦。前走はイギリスダービーの前哨戦として知られる、チェスター競馬場で行われたチェスターヴェース(海外G3、約2474㍍・芝)において、2着のポートダグラス(Port Douglas)を短首差で退け勝利を挙げました。
元々、デビュー直後から一部で高評価を得ていたユーエスアーミーレンジャーではありますが、そもそも同馬のオッズが高いことに加え、前走2着のポートダグラスのオッズを見てみてもそこまで高評価をなされていない事実を考えれば、実績面以上にその潜在能力を買われての人気といったところでしょう。
ユーエスアーミーレンジャーよりも高評価をされているのが、ヨーク競馬場で行われたダンテステークス(海外G2、約2092㍍、芝)を制し、現在1番人気(5.00倍)に支持されているウィングスオブデザイア(Wings of Desire)。昨年の同レースの覇者にしてダービー馬となったゴールデンホーンと同じく管理するJ.ゴスデンと鞍上のF.デットーリコンビでの制覇となりました。
前走のダンテステークスでは、昨年の段階で多くのブックメーカーが「ダービー候補」として名を挙げていたファウンデーションではなくウィングスオブデザイアを選択したデットーリ騎手の動向に大きな注目が集まりましたが、満を持して勝利。追加登録料を支払い念願のダービー出走となりました。
日本ダービーではデムーロ騎手の連覇達成には至りませんでしたが、果たしてデットーリ騎手は達成なるか。この点にも注目です。
もう1頭、日本の競馬関係者がある意味注目していた一戦を制し、ダービーの舞台へ駒を進めてきたのが3番人気の8.00倍のオッズが付いているユリシーズ(Ulysses)。
ユリシーズが5月13日に勝利したメイドン競走では、2014年に日本で行われたセレクトセールにおいて2億6000万円の超高額取引をなされた父:ディープインパクト、母:リッスンの仔であるニューワールドパワーが出走していたことから、日本でも大変な注目を集めました。全姉には昨年のローズSを制し、現在も重賞戦線で活躍するタッチングスピーチがいます。
しかし、結果はユリシーズが2着入線のニューワールドパワーに8馬身差をつけての圧勝。果たして日本が誇る超良血馬に勝利したその実力はどれほどものなのか、楽しみな一戦です。
イギリスオークス2016(日本時間4日午前0時30分発走)
大混戦の英ダービーに打って変わって、実績的にも抜けた存在がいるのが本年のイギリスオークス。昨年はクオリファイ(Qualify)が最低人気にもかかわらず、2冠のかかっていたレガティッシモ(Legatissimo)をゴール寸前でとらえる劇的な勝利。大波乱の一戦となりました。
果たして、今年は人気サイドの決着なのか、それとも昨年に引き続きの大波乱決着となるのか?まずはブックメーカー「Paddy Power」(パディーパワー)が単勝オッズを発表していますので確認してみましょう。
【イギリスオークス2016単勝オッズ】
※オッズは2日午後10時現在
本年の英オークスにおいて単勝オッズ圧倒的1番人気(2.00倍)に支持されているのが今年の英1000ギニー(海外G1、約1609㍍、芝)を勝利したマインディング(Minding)。2歳時には牝馬として過去10年で最高のレーティングをマークしていたように、活躍が約束されている1頭と言えるでしょう。
相手馬筆頭と目されていたバリードイル(Ballydoyle)が「体調がまだ完全ではない」と回避を発表し、不在となればやはりマインディングを中心視するのが妥当といったところでしょうか。
昨年、最低人気ながら英オークスを制したクオリファイは直近の結果こそ伴っていなかったものの、2歳時には重賞勝ちの実績もあった1頭。今年の英オークスに目を向けてみると、マインディングの次に支持され、6.50倍のオッズが付いているスキッフル(Skiffle)が未勝利を勝ち上がったばかりの馬であることを考えれば、さすがに今年は抜けた人気の1頭とその他の実績差が目立つ一戦です。
マインディングに次ぐ実績を持つ馬といえばロンシャン競馬場で行われた昨年のマルセルブサック賞(海外G1、1600㍍・芝)において2着入線を果たしたターレットロックス(Turret Rocks)といったところでしょうか。3番人気となる8.00倍のオッズが付いています。
一筋縄ではいかない空気が漂っている伝統の英ダービー、オークスの両レース。英オークスは現地時間の3日、英ダービーは4日にそれぞれ発走予定となっています。