いよいよ6月11日(現地時間6月10日)からEURO2016(UEFA EURO2016・欧州選手権2016)が開幕します。4年に一度行われるこの大会は、UEFAに加盟する53の国と地域の頂点を決めるヨーロッパ最大級のサッカーイベントです。レベルの高いヨーロッパの国々のみが参加するため、そのレベルはワールドカップ以上ともいわれています。
今大会から本選への出場枠が16か国から24か国に拡大され、より多くの熱戦が期待されます。予選を勝ち抜いた23か国に開催国フランスを加えた24チームが、AからFのグループに分かれ、決勝トーナメント進出を争います。決勝トーナメントには各組の上位2チーム、各組の3位チームの中から成績上位4チームが進出。7月11日の決勝でヨーロッパ王者が決定します。
【EURO 2012 決勝ハイライト(スペイン対イタリア)】
6月11日のフランスとルーマニアによる開幕戦から6月23日までグループリーグを戦い、6月25日から7月11日にかけて決勝トーナメントが行われます。日本のスポーツ報道などでお馴染みの、イギリスの老舗ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が優勝オッズとグループリーグの勝者オッズを発表しているので見ていきましょう。
【EURO 2016 優勝オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
優勝本命は開催国でグループAに入ったフランスでオッズは4.00倍となっています。フランスは1984年の自国開催の時にも優勝しています。対抗となるのはブラジル・ワールドカップ王者でグループCのドイツでオッズは5.00倍。3番手は前回、前々大会の覇者であるグループDに入っているスペインが6.00倍になっています。
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3チームに続くのが、若手の成長が著しいイングランドで9.00倍、FIFAランキング2位ベルギーの12.00倍となります。実力的にはこの5チームに19.00倍のイタリア、21.00倍のポルトガルが優勝争いに絡んでくると思われます。波乱が多いことで知られるこの大会。ダークホース的な存在として、9勝1分の無敗で予選を通過した34.00倍のオーストリアも面白いチームとなるのではないでしょうか。
グループA
【EURO 2016 グループA首位オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
グループAには開催国のフランス、スイス、ルーマニア、アルバニアが入りました。実力者が揃い、ホームアドバンテージのあるフランスの首位突破は、ほぼ間違いないでしょう。フランスに対して実力のある若手がいるスイス、予選最少失点のルーマニアがどこまで健闘できるか見ものです。グループA首位オッズは本命のフランスが1.28倍、スイスが5.00倍となっており、ルーマニアが10.00倍、アルバニアは26.00倍となっています。
2000年大会以来、そして1984年から32年ぶりの自国開催大会での優勝を目指すフランスの注目選手はポール・ポグバです。テクニック、スピード、フィジカルを高い次元で兼ね備えている選手で、セリエAの5連覇を達成したユベントスの中心選手です。ポグバの他にもアトレティコ・マドリードに所属のアントワーヌ・グリーズマン、マンチェスター・ユナイテッドの新星アントニー・マルシャル、スピードのあるドリブルが持ち味のキングスレイ・コマン、正確無比のFKが武器のディミトリ・パイエ、その他にも人材は豊富。若手とベテランが融合したフランスは6月11日のオープニングマッチでルーマニアと対戦します。
グループB
【EURO 2016 グループB首位オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
グループBにはイングランド、ロシア、ウェールズ、スロバキアが入りました。予選全勝で勝ち上がったイングランドの首位突破が有力です。若手、中堅、ベテランが融合したイングランドを軸に、監督交代後に調子を上げてきているロシア、圧倒的な個の力を擁するウェールズが首位争いに絡んでくるでしょう。グループリーグ首位オッズはイングランドが1.83倍、ロシアが3.50倍で続き、ウェールズが6.00倍、スロバキアが8.50倍となっています。
有力選手の揃ったイングランドの中でも注目の選手はジェイミー・ヴァーディーです。プレミアリーグでの勢いのまま代表に選出。ドイツ、オランダ、トルコといった強豪国から得点を挙げています。ヴァーディー以外にもトッテナム・ホットスパーのエース、ハリー・ケインやデレ・アリ、マンチェスター・ユナイテッドの超新星、18歳のマーカス・ラッシュフォードなど、若手だけでもタレントは豊富。ウェイン・ルーニー、リヴァプールのジェームズ・ミルナーら経験豊富な選手が支柱となってチームをまとめます。イングランドは日本時間の6月12日にロシアとの初戦を戦います。
グループC
【EURO 2016 グループC首位オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
グループCにはブラジル・ワールドカップ優勝のドイツ、ウクライナ、ポーランド、北アイルランドが入りました。このグループはドイツの首位通過は間違いないでしょう。予選ではやや不安定さが目に付きましたが、各ポジションにワールドクラスのタレントを揃えているドイツの優位は揺るがないと思います。予選でそのドイツを破り、最多の33得点を挙げたポーランドが対抗馬と目されます。グループリーグ首位オッズは、本命のドイツが1.33倍、ポーランドが5.50倍となっており、ウクライナが7.00倍、北アイルランドは26.00倍となっています。
ワールドカップとEUROのメジャータイトル連覇を目指すドイツの注目選手はバイエルン・ミュンヘンのトーマス・ミュラーでしょう。絶対的なFWが不在のドイツにおいて、予選でチームトップの9得点を挙げた彼の存在は大きいと思います。ミュラー以外にも、同じくバイエルンのマリオ・ゲッツェ、アーセナルのメスト・エジルといった攻撃の核となる選手、ヨーロッパNo.1キーパーの呼び声高い、バイエルンのマヌエル・ノイアーといった世界的名手が揃っています。ドイツは6月13日にウクライナとの初戦を迎えます。
グループD
【EURO 2016 グループD首位オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
グループDには前回大会の覇者のスペイン、チェコ、クロアチア、トルコが入りました。このグループは2連覇中のスペインが首位突破の有力候補とされています。絶対的なエースとなるFWはいませんが、中盤にはビッグクラブで活躍するワールドクラスの選手が揃っています。このスペインの対抗として、挙げられるのがクロアチア。同じく中盤に優秀なタレントを抱え、前線にも決定力のあるFWがいるクロアチアは侮れません。グループリーグ首位オッズはスペインが1.57倍、クロアチアが4.50倍で、チェコとトルコがともに8.00倍となっています。
人材豊富なスペインの中盤で最も注目なのはアンドレス・イニエスタです。1対1でのドリブル突破、味方を生かし自らも生きる動き、敵の守備を切り崩すパスで、チェルシー所属のセスク・ファブレガスやマンチェスター・シティのダビド・シルバといったタレント揃いのスペインの攻撃を活性化させていくでしょう。スペインは6月13日にチェコとの初戦を戦います。
グループE
【EURO 2016 グループE首位オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
グループEにはベルギー、イタリア、スウェーデン、アイルランドが入りました。このグループは今大会の“死のグループ”と目されており、絶対的な本命がいません。FIFAランク2位で各ポジションに質の高い選手を揃えるベルギーが軸となりますが、組織としての成熟度や国際大会での実績の乏しさに不安が残ります。イタリアは実績十分なのですが、故障者を多く抱え、特に攻撃陣のタレントの少なさは深刻です。今大会は人材不足のまま臨むことになります。絶対的なエースを擁するスウェーデンは不気味な存在で、一波乱を起こす可能性も十分にあります。グループEの首位オッズはベルギーが2.00倍、イタリアが2.62倍となっており、スウェーデンが6.50倍、アイルランドが11.00倍で続いています。
今季、絶不調だったチェルシーのエデン・アザールとは対照的に、所属するマンチェスター・シティで印象的な活躍を見せたケヴィン・デ・ブライネ。怪我で一時チームを離れましたが、復帰戦でゴールを決め、UEFAチャンピオンズリーグでもチームを初のベスト4に導く決勝ゴールを決めています。デ・ブライネがアザール、ヤニック・フェレイラ・カラスコといった名手たちとどんな攻撃を見せるのか。ベルギーは6月14日にイタリアとの初戦を迎えます。
グループF
【EURO 2016 グループF首位オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
グループFはポルトガル、オーストリア、ハンガリー、アイスランドが入っています。このグループはポルトガルが大本命。鉄板といっても良いのではないでしょうか。選手の質、量、国際大会での実績のすべてにおいて他の3チームを圧倒しています。対抗を挙げるとすれば、ロシア、スウェーデンと同組だった予選を9勝1分の好成績で勝ち上がったオーストリアとなると思います。グループリーグ首位オッズは大本命ポルトガルが1.91倍、オーストリアが2.87倍で続き、アイスランドが6.50倍、ハンガリーが11.00倍となっています。
グループFの大本命、ポルトガルの注目選手は何といってもクリスティアーノ・ロナウドでしょう。その年の最も優れた選手に贈られるFIFAバロンドールを3度受賞、チャンピオンズリーグを3度制覇。アルゼンチンのリオネル・メッシと共に世界最高のフットボーラーと称される選手です。クラブチームでは数々の栄冠をつかみ取ってきたロナウドですが、ポルトガル代表でのタイトルは手にしていません。そんなロナウドがまさに大黒柱としてチームを優勝に導けるのか。ポルトガルの初戦は6月15日にアイスランドと対戦します。
EURO2016 得点王は?
EUROには予選を勝ち抜いてきたヨーロッパの強豪国が集まります。そんなサッカー強国には必ずと言っていいほど優秀な点取り屋の存在があります。チームを救い、勝利に導いた者に与えられる名誉。それが得点王です。「William Hill(ウィリアムヒル)」からEURO2016の得点王(最多得点者)のオッズも出ているので、こちらも見ていきましょう。
【EURO 2016 得点王オッズ】
※オッズは5日午後10時現在
本命は優勝候補の一角、ドイツのミュラーでオッズは8.00倍となっています。優勝候補ドイツの選手ということもあり、試合数が多く見込めることから本命に推されていると思われます。ミュラーは今シーズンのブンデスリーガで20得点、チャンピオンズリーグで8得点といった成績を収めています。
対抗にはポルトガルのロナウドでオッズは9.00倍になります。優勝候補ではないものの、彼のサッカー選手としての桁違いの能力を見込まれてのオッズでしょう。ロナウドの今シーズンの成績はリーガエスパニョーラで35得点、チャンピオンズリーグで16得点となっていて、チャンピオンズリーグでは得点王に輝いています。
ロナウドに続くのは、優勝候補であるフランスのグリーズマンで10.00倍です。彼も優勝候補のフランスの選手ということもあって3番手に推されているのではないでしょうか。もちろん、得点感覚にも優れておりリーガエスパニョーラで22得点、チャンピオンズリーグで7得点という成績を残しています。
4番手にはスペインのアルバロ・モラタ、フランスのオリヴィエ・ジルー、イングランドのケイン、ポーランドのロベルト・レヴァンドフスキの4人が17.00倍で並びます。モラタはセリエAで7得点、チャンピオンズリーグで2得点となっています。ジルーはプレミアリーグ16得点、チャンピオンズリーグ5得点といった成績。ケインはチャンピオンズリーグの出場はありませんが、プレミアリーグでは25得点を決めています。レヴァンドフスキはブンデスリーガ30得点、チャンピオンズリーグで9得点の活躍を残しています。レヴァンドフスキがチーム力で劣るポーランドにいながら4番手に推されるのは、昨年の9月に打ち立てた9分間で5得点というギネス記録によるものでしょう。
この7名によって得点王が争われるのか?それとも新たなスター、ストライカーが現れるのか?優勝争いと共に、こちらも楽しみです。
4年に一度のヨーロッパチャンピオンを決める大会が6月11日、ついにスタートします。ブラジル・ワールドカップを制した現世界王者のドイツがEUROも制するのでしょうか?3連覇を目指すスペインが世界王者の野望を阻むのでしょうか?それとも自国開催のフランスが4大会ぶり3度目のヨーロッパチャンピオンに輝くのでしょうか?また、大会得点王の称号を得るのは誰になるのでしょうか?日本時間の7月11日、私たちはその結末を知ることとなります。