夏競馬といえば、日本ではオフシーズンのイメージが強いかもしれませんが、逆に海外競馬に視線を向けてみるとほぼ毎週のようにビッグレースが目白押し。いよいよ、3歳クラシック路線を戦い抜いた若馬たちが、古馬に挑むシーズンが始まります。
そんな海外夏競馬、最初の山場といえるのが、イギリスはサンダウン競馬場で行われるエクリプスステークス(海外G1、約2018㍍・芝)、そしてニューマケット競馬場で行われるジュライカップ(海外G1、1200㍍・芝)の2レースです。
エクリプスステークスは1886年に第一回が開催。これまでの優勝馬を眺めていくと、ダイアモンドジュビリー、ミルリーフ、サドラーズウェルズ、オペラハウス、ダンシングブレーヴ、シーザスターズと、数えきれない程の名馬が名を連ねます。イギリス競馬中距離界における、上半期の総決算的レースです。
一方のジュライカップも1876年に第一回が開催と長い歴史を誇ります。こちらは2000年に武豊騎手とアグネスワールドが制した一戦だけに、レース名を覚えている競馬ファンも多いのではないでしょうか。
両レースとも100年を越す歴史を持った世界的名レースだけに、制した陣営に与えられる栄誉は非常に高いものです。今年はどの馬が制するのか、注目馬をご紹介していきましょう。
エクリプスステークス2017
エクリプスステークスには「勝利した3歳馬は出世する」といわれており、年々3歳馬の出走が多いレースではあるのですが、今年は混戦模様だったクラシック路線の『延長戦』と考えているのか、注目の3歳馬が数多く登場します。
まずはブックメーカー「bet365」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【エクリプスステークス2017単勝オッズ】
※オッズは5日午前10時現在
3.25倍と1番手評価に推されているのは、重賞未勝利ながら今年のイギリスダービー(海外G1、2400㍍・芝)において2番人気、2着に入線したクリフスオブモハー(Cliffs Of Moher)です。
イギリスダービーにおいては、最後の最後で18頭立て16番人気だったウイングオブイーグル(Wings of Eagle)の強襲に遭ってしまう形に。実力こそありながらも運のない一戦となってしまいました。
【イギリスダービー2017(勝ち馬:ウイングオブイーグル)】
エイダン・オブライエン厩舎の秘蔵っ子として、高い期待を集め厩舎の主戦であるR.ムーア騎手を配していただけに残念な結果に……。
と言いたいところですが、実はウイングオブイーグルスもオブライエン厩舎の管理馬。イギリスオークスこそ取り損ね『英国3歳クラシック完全制覇』とはならなかったものの、やはり今年のオブライエン厩舎の3歳馬を中心視しない訳にはいかないでしょう。
同じく、イギリスダービー組から出走予定の3歳馬としては、クレイヴァンステークス(海外G3、1600㍍・芝)を制し、イギリスダービーでは4着となったエミネント(Eminent)が5.50倍。
イギリスダービーの重要ステップレースであるダンテステークス(海外G2、約2092㍍・芝)を制しながら10着と敗れたパーミアン(Permian)が17.00倍となっています。
そしてもう1頭、忘れてはならないのが今年のロイヤルアスコットにおいて激戦と謳われたセントジェイムズパレスステークス(海外G1、1600㍍・芝)を制したバーニーロイ(Barney Roy)でしょう。
今年の3歳マイル路線において絶対的王者であったチャーチル(Churchill)を破って手にした1勝の価値は推して図るべきものがありますが、今回が中距離レース初挑戦という未知数な部分もあり、評価は4.33倍と2番手に留まっています。
一方の古馬組はというと、多くの有力馬がプリンスオブウェールズステークス(海外G1、2000㍍・芝)からのローテーションで挑むこととなります。
優勝馬のハイランドリール(Highland Reel)こそ出走しないものの、2着入線のデコレイテッドナイト(Decorated Knight)と、3着入線のユリシーズ(Ulysses)がともに8.00倍のオッズとなっています。
一方で、ドバイシーマクラシック(海外G1、2400㍍・芝)などを制した実力馬ジャックホッブス(Jack Hobbs)は8着と大敗を喫したことが影響し、上記2頭に後れを取る11.00倍。しかし前走は休み明けであったことを考えると、前進が期待できます。
ジュライカップ2017
激戦が予想されるエクリプスステークスとはまた違った注目馬3歳馬が登場するジュライカップ。無敗の3歳スプリント王が本格的に古馬と初対決となります。
まずはこちらも「bet365」のオッズをご覧いただきましょう。
【ジュライカップ2017単勝オッズ】
※オッズは5日午前10時現在
<ジュライカップ2017最新オッズ情報(bet365発表)>
2.00倍と抜けた1番手評価を得ているのが、デビューから無敗の6連勝をマークしている3歳馬カラヴァッジョ(Caravaggio)です。
ちなみにこの馬もエイダン・オブライエン厩舎の管理馬。正に世界一の名門と言えるでしょう。
前走のコモンウェルスカップ(海外G1、1200㍍・芝)においても、ライバル馬を封じてキッチリと勝利を収めました。
少々不安に感じる材料と言えば、前走も強い競馬ではありましたが余裕のある競馬ではなかったことや、一流古馬との初対決となる点。果たして勢いそのままに新旧スプリントホースをまとめ上げる王となることが出来るでしょうか。
そんなカラヴァッジョにコモンウェルスカップで最後まで食い下がったのがハリーエンジェル(Harry Angel)で、7.00倍は3番手の評価です。
こちらもここまでG2を2勝。5戦2勝2着3回と堅実な走りを見せていることに加え、何よりもカラヴァッジョに食い下がれたレースぶりから逆転の可能性も十二分にあり得るでしょう。
対する古馬勢からは2016年、秋のスプリント王決定戦であるスプリントステークス(海外G1、1200㍍・芝)や、今年のダイアモンドジュビリーステークス(海外G1、1200㍍・芝)を制したザティンマン(The Tin Man)が6.50倍。
2着入線のタスリート(Tasleet)が9.00倍。更に、昨年のジュライカップを制し、今年のダイアモンドジュビリーでは3着に入線したリマト(Limato)が7.00倍となっています。
エクリプスステークス、ジュライカップともにオッズ上では3歳馬たちが優勢。ですが、迎え撃つ古馬たちも一線級ばかり。
今年も夏シーズンの始まりにふさわしい熱戦が期待できそうです。