数々のドラマを生み出し続けている世界最高のモータースポーツ「フォーミュラ1」が今年も幕を開けようとしています。オリンピックやFIFAワールドカップと並んで世界を熱狂の渦に巻き込む自動車レースの祭典は3月26日、オーストラリアはメルボルンの地で行われるオーストラリアGPをもってスタートします。
昨シーズン結果
2016年シーズンのF1はまさにメルセデスAMGがレースを席巻した1年となりました。所属選手のニコ・ロズベルグ(ドイツ)が9勝、同じくルイス・ハミルトン(イギリス)が10勝、合わせて21戦中19勝を飾り、モナコGPを除けばポール・ポジションもこの2人で占めました。
ワールドチャンピオンに輝いたのは385ポイントを獲得したロズベルグ。1982年王者である父ケケ・ロズベルグに続き、史上2組目となる親子二代でF1の頂点に立つ偉業を成し遂げました。
2位にはわずか5ポイント差の380ポイントでチームメイトのハミルトンがつけました。これで実に3年連続のワンツーフィニッシュを達成。3位に入ったレッドブル・レーシングのダニエル・リカルド(オーストラリア)のポイントは256と上位2選手とは大きな差をついており、メルセデスの圧倒的な強さを大いに見せつけたと言えるでしょう。
2017年F1概要
ロズベルグの引退
2017年のF1は前年度王者ニコ・ロズベルグの電撃引退という衝撃的なニュースで幕を開けました。それに伴いロズベルグは2018年まで残っていた、最大61億円もの収入を得ることができる契約も放棄しています。ワールドチャンピオンに輝いた選手による同年の引退は1993年のアラン・プロスト以来。まさに驚きの出来事でした。
エクレストン体制の終焉
また、今年1月にはアメリカのメディア企業であるリバティ・メディアがF1の親会社デルタトプコからF1買収を完了し、それまでCEOを務めていた「F1の支配者」バーニー・エクレストンを名誉会長に就任させたことで、その長きに渡る支配に終止符を打ちました。これにより、これからのF1の在り方が大きく変わっていくことが予想されています。
新たな時代が始まったF1。その記念すべき最初の年であり、前年王者がいないという異例の年でもある2017年のチャンピオンの座をつかむのはどのドライバーなのでしょうか。ブックメーカー「10Bet」がF1優勝オッズを発表しているので、ご紹介していきます。
優勝オッズ
【F1 2017シーズン優勝ドライバーオッズ】
※オッズは16日午前8時現在
優勝候補最有力にはオッズ1.95倍でルイス・ハミルトンが挙げられました。続いて引退したロズベルグに代わって今季ハミルトンと同じくメルセデスAMGで走るバルテリ・ボッタスが4.00倍で2番手に挙げられており、今季もメルセデスAMGの時代が続くというのがもっとも主流な見方のようです。
続いて、2010年から2013年まで4年連続で世界チャンピオンに輝いたドイツ人ドライバー、セバスチャン・ベッテル(スクーデリア・フェラーリ)が5.00倍で最有力の対抗馬となっています。
4番手のキミ・ライコネン(スクーデリア・フェラーリ)が9.00倍、5番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が10.00倍、6番手の昨季3位のダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)が11.00倍で、それ以降は3桁以上のオッズが付けられており、上記6選手で優勝が争われることになりそうです。
【F1 2017オーストラリアGP優勝オッズ】
※オッズは16日午前8時現在
優勝候補
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)
昨シーズンはチームメイトのロズベルグに敗れ3連覇を逃したハミルトン。とはいえ1位を獲得した回数はロズベルグの9回に対して10回と上回っており、これまでのチームメイトはフェルナンド・アロンソ、ヘイキ・コバライネン、ジェンソン・バトンら年長者および同年生まれのロズベルグでしたが、新しいチームメイトのボッタスは彼にとってはじめての年下のチームメイトとなります。なにかと騒動を起こしがちで精神的未熟さの垣間見えるハミルトンですが、後輩を持つことによって意識改革が起これば、さらに一皮むけたドライバーに成長することもありうるかもしれません。
いずれにせよ、昨年度王者ロズベルグ無き今、ハミルトンこそが現在のF1における絶対的強者であるといっても過言ではないでしょう。
バルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)
ウィリアムズ・マルティーニ・レーシングから王者ロズベルグに代わる新たなドライバーとしてメルセデスAMGに加入したボッタス。黄金期のチームに前年度王者の代わりとして加入するというプレッシャーは計り知れないものがありますが、しかし本人はインタビューにおいて自身初の優勝に対する自信をのぞかせています。
最大のライバルはチームメイトであるルイス・ハミルトンになるでしょう。かつてハミルトンとロズベルグが衝突してチーム内に混乱を生んだことがありましたが、メルセデスのチーム代表トト・ウルフは、この二人はとてもバランスが取れたコンビであり、うまく機能すると確信しています。
ボッタスはこれまで2014年4位、2015年5位、2016年8位と常に結果を残してきており、その実力がメルセデスAMGの抜群のチーム力と合わされば、昨年のロズベルグのようにハミルトンを超えてチャンピオンに輝くこともできるはずです。
セバスチャン・ベッテル(スクーデリア・フェラーリ)
ドイツの英雄シューマッハの後継者と呼ばれ、史上最年少優勝などを含む数々のF1最年少記録を保持しているセバスチャン・ベッテル。4年連続優勝の偉業も成し遂げていますが2015年に現チームに移籍してからは3位、4位と優勝にはいま一歩届いていません。
そんなベッテルにとって今年はチャンスの一年になるかもしれません。元F1ドライバーで1997年王者のジャック・ヴィルヌーヴは、今年のマシンに彼のドライビングスタイルは完全にマッチしているので、メルセデスAMGやレッドブルといった強力なライバルたちを上回る可能性が高いと見ています。
実績ではハミルトンに勝るとも劣らないベッテル。メルセデスAMGの牙城を打ち破れるのはまず彼を持って他にないでしょう。