3歳牝馬路線最後の一冠をディアドラが制し、ハービンジャー産駒初のG1勝利となった秋華賞。その裏では「3冠すべてでディープインパクト産駒がほとんど活躍しなかった」という、意外な結果となりました。
そして今週末迎えるのが、3歳クラシック路線最後の一冠となる菊花賞(G1、3000㍍・芝)。こちらもかなりの混戦模様が予想されます。
☆菊花賞2017優勝馬予想アンケートは記事最後に!
【菊花賞2017枠順】
1-1 ブレスジャーニー(牡3、柴田善臣・佐々木晶三)
1-2 ウインガナドル(牡3、津村明秀・上原博之)
2-3 スティッフェリオ(牡3、松若風馬・音無秀孝)
2-4 クリンチャー(牡3、藤岡佑介・宮本博)
3-5 トリコロールブルー(牡3、戸崎圭太・友道康夫)
3-6 マイネルヴンシュ(牡3、柴田大知・水野貴広)
4-7 アダムバローズ(牡3、池添謙一・角田晃一)
4-8 サトノアーサー(牡3、川田将雅・池江泰寿)
5-9 クリノヤマトノオー(牡3、幸英明・高橋義忠)
5-10 ベストアプローチ(牡3、岩田康誠・藤原英昭)
6-11 サトノクロニクル(牡3、福永祐一・池江泰寿)
6-12 ミッキースワロー(牡3、横山典弘・菊沢隆徳)
7-13 キセキ(牡3、M.デムーロ・角居勝彦)
7-14 ポポカテペトル(牡3、和田竜二・友道康夫)
7-15 ダンビュライト(牡3、武豊・音無秀孝)
8-16 アルアイン(牡3、C.ルメール・池江泰寿)
8-17 プラチナヴォイス(牡3、田辺裕信・鮫島一歩)
8-18 マイスタイル(牡3、四位洋文・昆貢)
まずは有力出走各馬をご紹介する前に、3歳クラシックを振り返ってみましょう。
一冠目『最も速い馬が勝つ』皐月賞(G1、2000㍍・芝)。
牝馬路線にはソウルスターリングのような圧倒的実績を誇っていた馬が居た中で、牡馬路線はまさに「主役不在」の状態。そのことは、最終的に牝馬ながらに出走を決めたファンディーナが1番人気に推されていたことからもおわかりいただけたでしょう。
そんな中、勝利を収めたのが松山弘平騎手鞍上のアルアインでした。
道中好位の3番手につけながら、最後の上りは3番目のタイム。正に優等生と呼べる競馬を見せ、松山騎手にとっても嬉しいG1初勝利となりました。
続く二冠目『最も運のある馬が勝つ』日本ダービー(G1、2400㍍・芝)。
皐月賞勝利馬アルアインが4番人気。2着だったペルシアンナイトはM.デムーロ騎手の乗り替わりもあって6番人気と、皐月賞組が軽視され気味なオッズに。
そんな中、1番人気には3連勝でトライアルレース青葉賞(G2、2400㍍・芝)を完勝したM.デムーロ騎手鞍上のアドミラブルが推されていました。
結果として、勝利したのは2歳時にホープフルステークス(G2、2000㍍・芝)を制した実績馬、レイデオロでした。
休み明け直行で挑んだ皐月賞は5着から見事に立て直しての勝利。大荒れとなった皐月賞とはうって変わり、上位入線の3頭は人気上位3頭という結果になりました。
そして迎える3冠目の菊花賞。
牝馬路線のソウルスターリングと同様に、ダービー馬レイデオロはトライアルレースを介しながらも菊花賞には出走せずにジャパンカップへ直行。
更に、皐月賞2着のペルシアンナイトや日本ダービー2着のスワーヴリチャードなども不在と、春の主役組はほぼ出走を回避することとなりました。
距離が3000mと全頭未体験なレースだけに、色々な可能性を探っていかなくてはならない菊花賞。まずはブックメーカー「bet365」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
まずはオッズ上位で横並びの3頭からご紹介しましょう。
一番手評価となったのはルーラーシップ産駒のキセキ(3.50倍)。前走は神戸新聞杯(G2、2400㍍・芝)へ出走しレイデオロの2着入線となりました。
3歳春シーズンにおいても一定以上の評価は得ながら重賞で3着になるなど、なかなか賞金を積み重ねることのできなかったキセキ。そこから夏のローカル開催で連勝を挙げ、見事に3冠最後のレースに主役級として参戦することになりました。
すさまじい切れ味が持ち味の同馬、鞍上にはそう言った馬を得意とするM.デムーロ騎手が前走、前々走に引き続き手綱を取ることになるのは陣営としても心強いことでしょう。
しかし、父であるルーラーシップは今年の3歳世代が初世代となる為「距離的な不安」が付きまとう点や、前走で-12キロと大幅に馬体を絞った影響で、中間調教がかなり軽めに終始しているなど、血統面や状態面が懸念されています。
ルーラーシップ産駒初の重賞勝利を、この大舞台で決めることが出来るでしょうか。
二番手評価に挙がっているのがトライアルレースであるセントライト記念(G2、2200㍍・芝)において皐月賞馬アルアインを封じたミッキースワロー(4.50倍)。
前走の鮮やかな勝利の裏側には、デビュー時からコンビを組んでいた2年目の新人・菊沢騎手から乗り替わった名手、横山典弘騎手のおかげも大きいでしょう。
菊沢騎手がG1レースへ騎乗するための要件を満たしていないことからも、このタイミングでの乗り替わり、陣営としては「菊花賞を見据えているから」こそのモノだったのかもしれません。
トリッキーな騎乗を得意とする横山騎手だけに、どういったレースを組み立てるのかに注目が集まります。
また、父であるトーセンホマレボシも、先ほどのルーラーシップと同じく今年が最初の3歳世代。ディープインパクト産駒にとって鬼門と呼ばれる菊花賞ですが、果たしてディープインパクトを祖父に持つ子たちはどんな走りを見せてくれるのでしょうか。
レース前から波紋を呼んでいるのは皐月賞馬アルアイン(4.50倍)。
同馬を皐月賞勝利に導いた松山騎手を下す形で、前走のセントライト記念からC.ルメール騎手が騎乗することに。この乗り替わりについては当時大きな波紋を呼びました。
一部では、社台側がルメール騎手を重用するためにレイデオロがジャパンカップへ、ソウルスターリングが天皇賞秋へと向かうプランを立て、アルアインを含めた3頭の出走レースを被らないようにしているという話も出たほど。
セントライト記念では明らかに重め残りの馬体だっただけに、キッチリと仕上げてくれば実績は最上位。やはり怖い存在です。
上位3頭はすべて「騎手」がポイントとなっていると言えるでしょう。名手3人それぞれのレースぶりが楽しみです。
こちらも大きな注目を集めるのがおよそ11か月ぶりのレースとなるブレスジャーニー(17.00倍)。
長期休み明けで長距離レースである菊花賞という部分は決して強調できる部分ではありませんが、2歳時に勝利した相手はスワーヴリチャードやダンビュライトといった3歳クラシックの一線級レベル。
今回のメンバー構成を見てもしっかりと仕上がっていれば可能性は十分にあるといえます。
穴目の注目馬で言えば、マイスタイル(51.00倍)。
実は今回の菊花賞において日本ダービー最先着馬(4着)がこのマイスタイル。
前走の神戸新聞杯では自分の競馬に持ち込めず7着となりましたが、菊花賞では確たる逃げ馬も見当たらない為、日本ダービーの際見せた粘り腰を見せることが出来れば面白い存在です。
その他、キセキと同じくルーラーシップ産駒で皐月賞3着のダンビュライト(6.50倍)や、ともに重賞好走実績を持つサトノアーサー(8.00倍)とサトノクロニクル(12.00倍)の両サトノ冠名馬などが出走予定です。
長い戦いだった3歳路線を締めくくるのはどの馬か?
注目の菊花賞は、10月22日(日)15時40分発走予定となっています。