天皇賞秋2016
3歳クラシックが終了すると同時に訪れるのが「秋古馬三冠」。
その第一戦となる天皇賞・秋(G1、2000㍍・芝)が目前に迫ってきました(30日午後3時40分発走)。近年では本レースを制するか否かで「引退後の価値が大きく変わる」と言われているだけに、今年も日本を代表する実力馬が顔をそろえました。
【天皇賞秋2016枠順】※27日午後3時更新
1-1 エイシンヒカリ(牡5、武豊・坂口正則)
2-2 クラレント(牡7、内田博幸・橋口慎介)
2-3 アンビシャス(牡4、横山典弘・音無秀孝)
3-4 サトノクラウン(牡4、福永祐一・堀宣行)
3-5 ロゴタイプ(牡6、田辺裕信・田中剛)
4-6 アドマイヤデウス(牡5、岩田康誠・橋田満)
4-7 サトノノブレス(牡6、A.シュタルケ・池江泰寿)
5-8 モーリス(牡5、R.ムーア・堀宣行)
5-9 ルージュバック(牝4、戸崎圭太・大竹正博)
6-10 カムフィー(牡7、蛯名正義・池上昌和)
6-11 ヒストリカル(牡7、田中勝春・音無秀孝)
7-12 リアルスティール(牡4、M.デムーロ・矢作芳人)
7-13 ヤマカツエース(牡4、池添謙一・池添兼雄)
8-14 ステファノス(牡5、川田将雅・藤原英昭)
8-15 ラブリーデイ(牡6、C.ルメール・池江泰寿)
特に上位勢は実力も人気も拮抗状態。まずはブックメーカーの「bet365」で発表されている単勝オッズをご紹介しましょう。
【天皇賞秋2016単勝オッズ】
※オッズは27日午前8時現在
最も高い3.25倍の評価を得ているのは、日本が世界に誇る名マイラーであるモーリスです。
のちに控えるマイルチャンピオンシップ(G1、1600㍍・芝)ではなく、敢えて天皇賞に駒を進めてきた理由としては、前走の札幌記念(G2、2000㍍・芝)において手綱を取ったモレイラ騎手より「折り合いはスムーズだったし、距離も問題なかった」とのコメントにより決断したとのこと。
また、今回は昨年モーリスに騎乗し、G1を2連勝したムーア騎手が手綱を取ることとなり、その点も陣営にとっては非常に心強いでしょう。ここ2戦は連続2着。次の12月に行われる香港競走で引退が決まっているだけに、このレースが国内有終の美を飾ることができるでしょうか。
相手筆頭といえるのは今年海外G1を2勝しているエイシンヒカリ。現在は4.50倍のオッズとなっています。
非凡なスピードを持っているエイシンヒカリ。能力をフルに発揮できれば、10馬身差の圧勝劇を見せたイスパーン賞(海外G1、1850㍍・芝)のようなパフォーマンスを見せてくれることでしょう。
一方で、ひとたびスイッチが入ってしまうと、昨年の天皇賞・秋(9着)や、今年のプリンスオブウェールズ(海外G1、2000㍍・芝)でも最下位に敗れたように途端に凡走をしてしまう可能性もあります。
強さの中に脆さを持ち合わせているエイシンヒカリですが、こちらも天皇賞・秋が国内最終戦。国内G1初制覇を成し遂げたい気持ちはより強いことでしょう。
もう一頭、高い評価を得ているのが紅一点のルージュバック。上記2頭に次ぐ5.00倍となっていますが、実績面から考えればかなり高いといえるでしょう。
これまで挙げた5勝はすべて“牡馬相手”ということからも、まさに男勝りな一頭ですが、54キロから56キロへ斤量が増えることや、東京2000mという条件が枠に左右されることなどを理由に、陣営は意外にも慎重な姿勢です。
そのほかにも、戦法一変で大阪杯(G2、2000㍍・芝)制覇へ導いた横山典弘騎手が再び騎乗するアンビシャス(6.50倍)や、今年のドバイターフ(海外G1、1800㍍・芝)を制したリアルスティール(11.00倍)など、実力・実績馬がズラリと勢ぞろい。
今年控えるG1レースの人気を左右する1戦だけに大きな注目が集まります。
メルボルンカップ2016
ステイヤー世界一を決めるといっても過言ではないメルボルンカップ(海外G1、3200㍍・芝)が11月1日にオーストラリアのフレミントン競馬場で行われます。日本では目にすることのできないフルゲート24頭立ての圧巻の一戦です。
今年JRAでも馬券が発売されることや、2006年にはデルタブルースとポップロックの日本馬2頭がワンツーフィニッシュを決めたこと、2014年にはアドマイヤラクティが予後不良と悲しい結末を迎えてしまうなど、日本にとっても縁の深い一戦です。
日本からもフェイムゲームやホッコーブレーブといったスタミナ自慢が参戦した昨年の本レース。勝利したのは、なんと単勝オッズ101倍の最低人気だったプリンスオブペンザンス(Prince of Penzance)でした。
【メルボルンカップ2015(勝利馬:プリンスオブペンザンス)】
中距離で好結果を残し続けた馬が思わぬ凡走をしてしまう可能性も十二分に含んでいるメルボルンカップ。さらに今年は抜けた馬がいない為に、混戦に拍車がかかりそうです。
気になる日本馬カレンミロティックの現在の評価を含め、まずはブックメーカー「Paddy Power」が発表しているオッズをご覧ください。
【メルボルンカップ2016単勝オッズ】
※オッズは27日午前8時現在
今年のコックスプレート(海外G1、2000㍍・芝)を同レース史上最大着差(8馬身)で勝利したウィンクス。
そのウィンクスへ「唯一肉薄できるだろう」と評され、各ブックメーカーがコックスプレートの際に高い評価を下していたのが、現在5.00倍と最も高い評価のハートネル(Hartnell)です。
また、昨年のメルボルンカップは15着と大敗。距離適性に疑問が残る結果ではありますが、当時よりも現在のほうが断然充実期にあるのは明白でしょう。
日本馬がメルボルンカップへ出走する際のステップアップレースとしてよく用いられるコーフィールドカップ(海外G1、2400㍍・芝)。今年の本レースを制したのは4歳牝馬のジャメカ(Jameka)でした。
【コーフィールドカップ2016(勝利馬:ジャメカ)】
この勝利により、メルボルンカップでも有力馬に挙げられることとなりましたが、同時に斤量が2キロ増加。ロングディスタンスではかなりつらい条件になってしまったと言えます。こういった背景もあってか、オッズも7.00倍とやや高めです。
日本から参戦するカレンミロティック(Curren Mirotic)にも期待が高まります。今年の天皇賞・春(G1、3200㍍・芝)では、キタサンブラックとハナ差の大接戦を演じ、惜しくも2着に敗れました。
現地の競馬場での調整も、軽く気合をつけられた後、僚馬を5馬身軽く突き放す充実ぶりをみせています。
日本国内でもロングディスタンスでは屈指の実力を誇るカレンミロティック。上位陣が軒並み距離に不安を残すのであれば、26.00倍という評価はやや低いものとも考えられます。
欧州からもカレンミロティックと同じようにスタミナ自慢の刺客がやってきます。イギリスのグッドウッドカップ(海外G2、3200㍍・芝)を連覇したビッグオレンジ(Big Orange)も、現在13.00倍に推されています。
ミドルディスタンスの実力馬か、ロングディスタンス巧者が意地を見せるのか?予想の際もこのどちらを重視するかがカギを握るといえるでしょう。