エリザベス女王杯では、ラッキーライラックが劇的な復活勝利。その一端を担ったのはやはり、手綱を取った短期免許で来日中のC.スミヨン騎手のエスコートがあったからこそ。そして同時にやはりこの時期「外国人騎手」には要注意という印象を、競馬ファンに強く認識させた1戦でもありました。
その一方で、今年の来日騎手の中でも目玉的存在であったL.デットーリ騎手は今週末も来日を見合わせることに。今後の来日自体もいったん未定と発表されました。その影響は、これからご紹介する秋のマイル王決定戦、マイルチャンピオンシップ(G1、1600㍍・芝)においても現れることとなりました。
【マイルチャンピオンシップ2019枠順】
1-1 ダノンキングリー(牡3、横山典弘・萩原清)
1-2 グァンチャーレ(牡7、松岡正海・北出成人)
2-3 マイスタイル(牡5、田中勝春・昆貢)
2-4 レッドオルガ(牝5、岩田望来・藤原英昭)
3-5 インディチャンプ(牡4、池添謙一・音無秀孝)
3-6 フィアーノロマーノ(牡5、藤岡康太・高野友和)
4-7 ペルシアンナイト(牡5、O.マーフィー・池江泰寿)
4-8 プリモシーン(牝4、W.ビュイック・木村哲也)
5-9 クリノガウディー(牡3、藤岡佑介・藤沢則雄)
5-10 アルアイン(牡5、R.ムーア・池江泰寿)
6-11 カテドラル(牡3、武豊・池添学)
6-12 モズアスコット(牡5、和田竜二・矢作芳人)
7-13 タイムトリップ(牡5、幸英明・菊川正達)
7-14 ダノンプレミアム(牡4、川田将雅・中内田充正)
8-15 ダイアトニック(牡4、C.スミヨン・安田隆行)
8-16 エメラルファイト(牡3、石川裕紀人・相沢郁)
8-17 レイエンダ(牡4、C.ルメール・藤沢和雄)
※15日午前9時半更新
このデットーリ騎手の流れのほかにも、今回騎手がカギを握る部分の大きそうなマイルチャンピオンシップ。まずは、ブックメーカー「bet365」が発表しているオッズをご確認いただいてから、詳細な紹介へ移らせていただきましょう。
【マイルチャンピオンシップ2019オッズ】
※オッズは14日午前9時現在
<マイルチャンピオンシップ2019最新オッズ情報>
人気の中心となっているのは「ダノン」の冠名でおなじみ、野田順広オーナー所有の2頭。
まずは、前走の天皇賞・秋(G1、2000㍍・芝)において2着入線を果たした未完の大器、ダノンプレミアム(Danon Premium)。オッズ2.50倍は一番手の評価となっています。
春のマイル王決定戦、安田記念(G1、1600㍍・芝)では、絶対女王アーモンドアイに次ぐ2番人気に推されるも、スタート直後からふりを受けるアクシデントの影響もあってか16着と大敗。
しかし、前走の天皇賞・秋ではその際の精神的ダメージなどは一切感じさせない競馬ぶりで2着入線。勝利したアーモンドアイがあまりにも強すぎたことを考えれば、やはり力を出し切れば現役最上位の実力馬であることに異論はないでしょう。
4月には同条件のマイラーズカップ(G2、1600㍍・芝)を完勝しているだけに、2000mから1600mへの短縮にも対応可能。むしろ、今回の舞台への適性は十分だといえることでしょう。2歳時の朝日杯フューチュリティステークス以来、2つ目のG1勝利をものにしたいところです。
対抗馬筆頭が、同じくダノン冠名のダノンキングリー(Danon Kingly)。オッズは3.25倍を付されることとなりました。
今年のクラシック戦線では、皐月賞で3着、日本ダービーで2着と、常に上位に食い込み続けてきたダノンキングリー。そしてこの秋は三冠目の菊花賞へは向かわず、マイル路線を選択。その1戦目となった前走の毎日王冠(G2、1800㍍・芝)においては、アエロリットや後程ご紹介するインディチャンプなどの名だたる強豪古馬を相手に1馬身以上の差をつけて、最後方からごぼう抜き。衝撃的ともいえる勝利を挙げました。
ただし今回、カギとなるのは「騎手」の部分。これまで手綱を取り続けてきた戸崎圭太騎手が、落馬負傷により離脱中。代わりに白羽の矢が立ったのは関東の大ベテラン、横山典弘騎手。
手慣れた騎手が鞍上でないことに不安を覚える面もある一方で、今年ここまで36勝のうち5勝が重賞レースで挙げたものという「勝負師」としての嗅覚の鋭さには、ベテランになってなお流石のものを感じる横山騎手だけに、これがプラスと出るかマイナスと出るかの判断がやや難しいところです。
騎手にひと騒動があったのはダノンキングリーだけではありません。安田記念においてあのアーモンドアイを打ち破った春のマイル王、6.50倍のオッズが付されたインディチャンプ(Indy Champ)陣営にもアクシデントが発生しました。
毎日王冠では、ダノンキングリーの3着に敗れはしたものの、これまでの良績がすべて1600mに集中していることを考えれば、そこまで悲観的になることはないでしょう。むしろ問題なのはこちらも「騎手」にまつわる動き。
ここ最近、7戦連続で手綱を取り続けてきた主戦騎手の福永祐一騎手が、先週の競馬開催で2週間の騎乗停止処分。これによってインディチャンプ陣営は代役を立てなくてはならなくなりました。そして今回その役目を務めるのは初騎乗となる池添謙一騎手。
こちらも、先ほどの横山騎手同様「勝負強さ」が光る騎手だけに、むしろプラスに転じる可能性も。池添騎手自身も3月から重賞勝利がないだけに、転がり込んできた幸運をしっかりモノにしたいところでしょう。
逆に、人馬共に勢いづくのはダイアトニック(Diatonic)陣営。オッズは10.00倍となっています。
前走のスワンステークス(G2、1400㍍・芝)では末脚を伸ばし見事に勝利。その手綱を取っていたのは、冒頭のエリザベス女王杯の話題でご紹介したC.スミヨン騎手でした。
ダイアトニック陣営も重賞初勝利にして、C.スミヨン騎手も今年の来日重賞初勝利。先週はG1もその手中に収めただけに、縁起のいいダイアトニックで、2週連続G1勝利を狙います。
その他、天皇賞・秋こそ14着と精彩を欠いたものの、これまでの実績、更には今回R.ムーア騎手が騎乗することとなったアルアイン(Alain)が11.00倍。本格的にマイラー路線への転向を敢行したレイエンダ(Leyenda)が15.00倍に。
また、L.デットーリ騎手の来日取りやめによって、和田騎手とのコンビとなったモズアスコット(Mozu Ascot)は、17.00倍となっています。
どうも戦前から一筋縄ではいかなそうな空気が漂うマイルチャンピオンシップ。果たして勝利を手にするのはどの馬か、発走は11月17日(日)15時40分を予定しています。