いよいよ、欧州競馬のビッグイベント「凱旋門賞」まであと1ヶ月を切りました。今年は日本馬も数多く参戦予定であり、その中の1頭、キセキ号はすでにフランス入り。9月15日に開催される前哨戦のフォワ賞に向けて調整を行っています。
凱旋門賞に向けてあわただしくなるのは日本競馬界だけではありません。今回はアイルランドのレパーズタウン競馬場にて開催される、凱旋門賞の重要な前哨戦にしてアイルランドの中距離王決定戦的位置づけであるアイリッシュチャンピオンステークス(海外G1、2000㍍・芝)。そして、イギリスのドンカスター競馬場で開催されるイギリスクラシック三冠、最後の一冠であるイギリスセントレジャー(海外G1、2900㍍・芝)の両レースについてお伝えいたします。
アイリッシュチャンピオンステークス2019
凱旋門賞の前哨戦にして一流の中距離馬たちが顔をそろえるアイリッシュチャンピオンステークス。昨年の覇者であるロアリングライオンは、種牡馬として期待されながらも残念ながらアクシデントにより安楽死処分が下されたことが、悲しいニュースながら最近話題となりました。
果たして今年のアイリッシュチャンピオンステークスを制するのはどの馬か、まずはブックメーカー「10Bet」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【アイリッシュチャンピオンステークス2019オッズ】
※オッズは9日午前8時現在
<10Bet 登録方法>
上位オッズの馬たちはもはや欧州のディスタフレースでは見慣れたメンバーと言えるでしょう。
3.00倍のオッズで1番手評価を付されたのは今シーズン安定して力を発揮し続けているマジカル(Magical)。
前走はインターナショナルステークスへの出走が有力視されていた中であえて「打倒・エネイブル」とでも言わんばかりにヨークシャーオークス(海外G1、2370㍍・芝)を選択。
エネイブル、そしてマジカルが出走していたこともあり4頭立て行われたレースでしたが、結果は3馬身近い差を付けられて敗北。とはいえ、そこから10馬身離した3着馬ラーティダーも重賞ホースであることを考えると、やはり実力と状態面の良さはうかがえます。
今年すでに6戦をこなし、かなりタフなローテーションを組んでいるマジカル。凱旋門賞へ向かうか否かはチャンピオンステークス後の状態を見ての判断とのことですが、チャンピオンステークスに出走すること自体は予定通りとのことで、ここもきっちり仕上げてくるでしょう。
4.33倍のオッズで続くのが、もっか3連勝中の3歳牡馬ジャパン(Japan)。
前走のインターナショナルステークスでは、現在のワールドベストレースホースランキング1位であるクリスタルオーシャンをクビ差下しての勝利。古馬との初対決にして最上位を撃破したことからもわかるように、成績が安定しなかった春先からは比べ物にならないほどのレースぶりで「このひと夏で最も成長した3歳馬」と言っても過言ではないかもしれません。
ただ、マジカルとは違いこちらの狙いはあくまで凱旋門賞。場合によっては直行もあり得るとのことであり、出走した際の仕上げの度合いには注意が必要でしょう。
上位人気2頭を送り出す予定のA.オブライエン厩舎。凱旋門賞制覇に向けて着々と準備を進めています。
「世界ランク1位」の名をかけて、意地を見せたいのはクリスタルオーシャン(Crystal Ocean)。オッズ6.00倍となっています。
オッズ面こそ上位2頭に後れを取りましたが、マジカルにはプリンスオブウェールズ(海外G1、2000㍍・芝)にて勝利。前走のインターナショナルステークスではジャパンに敗れたものの、その差もわずか「アタマ」。前々走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(海外G1、2400㍍・芝)においても、エネイブルに「クビ差」と、これまでの戦績は全くひけを取らないだけに、オッズほどの差はないでしょう。
ジャパンと同じく3歳勢でもう1頭注目なのがマッドムーン(Madhmoon)。オッズは7.50倍となっています。
今年のイギリスダービー(海外G1、2400㍍・芝)において2着入線、その後のアイルランドダービーでも4着と、今年のクラシック路線で主役レベルの1頭として活躍していました。
とはいえ陣営的にクラシックディスタンスはやや長いと判断したのか、休み明け初戦に選択したのは1600m戦のデズモンドステークス。ここを快勝したことで陣営的には「中距離路線」へとスイッチしていく方針を打ち立てることとなりました。初の2000m、どんなレースを見せるのでしょうか。
ちなみに、前走のナッソーステークスで見事に海外G1制覇を成し遂げた日本から参戦のディアドラ(Deirdre)は12.00倍と中穴的評価。それでも、前走で力は見せただけに一流馬相手ではありますが好走に期待がかかります。
セントレジャーステークス2019
日本の菊花賞の元ともなった、イギリスクラシック三冠最後のレースであるセントレジャーステークス。近年では凱旋門賞やその他中距離レースを目標にする馬が増加したものの、それでも3歳勢屈指のロングディスタンスレースとしての立ち位置を確固たるものとしています。
まずはこちらもブックメーカー「10Bet」のオッズをご確認いただきましょう。
【セントレジャーステークス2019オッズ】
※オッズは9日午前8時現在
1番手評価は4連勝でこの舞台に挑むロジシャン(Logician)。オッズは2.25倍となっています。
前走、初の重賞レースとなったグレートヴォルティジュールステークス(海外G2、2400㍍・芝)においては、重賞ウィナーであり、今回のセントレジャーにおいて15.00倍のオッズが付されたコンスタンティノープル(Constantinople)相手に危なげない勝利。素質の高さをうかがわせました。正に「遅れてきた主役」といったところでしょうか。
オッズ4.33倍で続くのがサードラゴネット(Sir Dragonet)。
今年のイギリスダービーにおいて1番人気に推されていたのがこのサードラゴネット。しかしながら結果は振るわず5着に。また、休養を挟んだ8月のロイヤルウィップステークス(海外G3、2000㍍・芝)も、圧倒的1番人気に推されながら4着。期待に対して結果を残せていない印象を受けます。
その一方で、サードラゴネットがこれまで勝利したレースは2500m以上。そういったことを考えると、今回のセントレジャーのような長距離レースに対しての適性が高い可能性は大いにあるとも考えられます。春の期待値通りのレースを見せ、最後の一冠を手にできるでしょうか。
怖い存在なのが7.50倍の三番手評価となっているイルパラディソ(Il Paradiso)。
前走のロンスデールカップステークス(海外G2、3300㍍・芝)では『現役最強長距離馬』であるストラディヴァリウス、そしてそのライバル的存在であるディーエックスビーに最後まで食い下がる好レースを見せていました。
斤量差があったのも確かですが、実力面でも、距離への対応力も陣営としては手ごたえをつかめたのではないでしょうか。注目の1頭です。
イギリス、アイルランドの注目両レースは、共に日本時間9月14日、発走予定です。