日本では三歳クラシック路線が終了し、ここからは古馬と三歳馬たちの激戦が繰り広げられることとなります。そんな中、三歳馬も古馬も、牡馬も牝馬も打ち破り続けてきたとある一頭の偉業達成に注目が集まっています。
それが、中距離レースの最上位格に値するのがムーニーヴァレー競馬場で開催されるコックスプレート(海外G1、2040㍍・芝)です。日本時間27日午後3時発走予定です。
近年、一気に日本競馬界との距離が近づいているのがオーストラリア競馬界。
その要因としては、日本からの遠征もありますが、これまであまり活発的でなかった「日本馬の移籍」がオーストラリアに数多く見られる点でしょう。昨年の芝最高賞金レース「ジ・エベレスト」においては、日本の重賞馬ブレイブスマッシュが3着に入線するなど大いに活躍馬も出てきています。実はコックスプレートにも当初は日本馬の遠征プランがありましたが、頓挫。やや残念なこととなってしまいました。
ちなみに、メルボルンカップやジ・エベレストに代表されるように高額賞金レースの多いオーストラリアですが、コックスプレートも中距離レースとしては世界屈指の1着賞金は約2億4000万円。その格に恥じない金額となっています。
そんなコックスプレートですが、ここ3年間はいまや「世界で最も現役最強馬」とも呼べるとある一頭が完全制圧。今年前人未踏の四連覇を達成するべくコックスプレートに挑むこととなります。
そんな「ある一頭」の動向、更にそのライバル馬の情報をお伝えする前に、まずはブックメーカー「888sport」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
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オーストラリアの一線級や、世界中からコックスプレート奪還を目指すライバルたちをしり目に1.40倍の圧倒的オッズを付されているのが、文字通り「現役最強」の名を欲しいがままにしているウィンクス(Winx)です。
今年の8月には、同じくオーストラリアの伝説的な一頭、ブラックキャビアの連勝記録である「26」を軽々と抜き去り、更に勝ち星を重ねて28連勝でコックスプレートに臨むことになります。
そんな彼女の偉業を記念してオーストラリア国内では1ドル切手が発売されることに。オーストラリアにとって競馬がいかに特別であるのと同時に、身近なものであることを表す一幕でもあります。
本来、牝馬であることも考えれば今年7歳であるウィンクスにはもっと以前より「引退して繁殖入り」という選択肢もあったはずでしょう。それでも現役をつづけたのはやはりこの馬が「世界最強である」と、証明し続けるためでもあるのでしょう。
管理するC.ウォーラー調教師からも「彼女がいつ衰えるのか、力をなくすのか、いつもドキドキしているが、そんな心配は全く必要なくむしろ進化さえ見られる。本当に圧倒されます」と、もはやある意味で「未知の存在」ともとれるような発言。
あっけなく四連覇を達成し、その名をさらに世界中にとどろかせることとなるのでしょうか。
しかし、今年はそんなウィンクスに手ごわいライバルが立ちはだかることとなります。その名は「ゴドルフィンブルー」。
それが遠征馬ベンバトル(Benbatl)です。オッズは現在7.00倍となっています。
今年、日本のヴィブロスやリアルスティールを破ってドバイターフ(海外G1、1800㍍・芝)を制したことで、記憶に残っている方もいらっしゃるでしょう。
その後も、世界中を転戦し、ドイツで1勝を挙げ、オーストラリア競馬にも挑戦。そして前走ではコックスプレートのステップレース的存在でもあるラドブロークスステークス(海外G1、2000㍍・芝)を勝利し、一気に「打倒ウィンクス筆頭」として名を挙げられることとなりました。
「ウィンクスは確かに強大な存在、でもこちらもイギリスから素晴らしい馬を連れて行くよ」とは、ベンバトルを管理するビン・スルール調教師の言葉。
勝てば、ウィンクスの連勝記録とは違う意味で「偉業達成」となるだけに、陣営にも気合が満ちています。
上記2頭からはかなり離された15.00倍のオッズとなっているブレアハウス(Blair House)。こちらも実はゴドルフィンブルーの一頭です。
オッズ的にも、前走の結果的にも、注目を集めているのは確かにベンバトルのほうですが、実は前走ベンバトルの2着に短頭差で入線したのがブレアハウス。
さらに、UAE時代にはドバイターフの前哨戦であるゼベルハッタステークス(海外G1、1800㍍・芝)においてベンバトルを破っているなど、実はこちらも中々の実力馬。オッズ以上の、そしてベンバトルとそこまでの差がない実力を秘めていると考えてもおかしな話ではないでしょう。
逆に、地元のオセアニア勢からの出走馬はやや寂しい限りではありますが、その中でも注目が15.00倍となっているヒュミドール(Humidor)。
昨年のコックスプレートで2着に入線。最近は結果が出せていなかっただけにピークは過ぎ去ったかと思われていた中で9月のメムジーステークス(海外G1、1400㍍・芝)を勝利。中距離からスプリントまで対応できるスピード能力はやはり非凡なものを感じます。
前走は先にお伝えしたベンバトルやブレアハウスに離されての3着。それでも、地元の地の利を生かしてウィンクス越えに挑みます。
偉業達成か、それともゴドルフィンブルーが打ち破るのか。全世界注目の一戦が始まります。