日本とオーストラリアで今週末にビッグレースが行われます。オーストラリアはムーニーヴァレー競馬場で22日に開催される「コックスプレート」(海外G1、2040㍍・芝)と、23日に日本の京都競馬場で行われる3歳牡馬三冠最終戦「菊花賞2016」(G1、3000㍍・芝)です。今回は日豪のビッグレースについて優勝展望を見ていきましょう。
コックスプレート2016
オセアニアの競馬シーズン序盤に行われるオセアニア最強ミドルディスタンス決定戦になっているのがこのコックスプレート(海外G1、2040㍍・芝)です。
昨年は、地元の牝馬Winx(ウィンクス)が見事な圧勝劇を見せてくれました。
【コックスプレート2015(優勝馬:ウィンクス)】
コックスプレートの大きな特徴といえば最後の直線が173㍍と非常に短い点。その為、先行力と直線に向いた際のレスポンスが非常に重要となるコース形態です。
ちなみに、この短い直線で行われるコックスプレートは今年で最後。コックスプレート終了後に改装工事を行い、新コースでは直線が317㍍になる予定です。
伝統あるコースで行われるのは今年が最後となる本レース。その栄冠はどの馬の頭上に輝くのか?まずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご紹介いたしましょう。
【コックスプレート2016単勝オッズ】
※オッズは20日午前8時現在
まずはオッズが大きく抜けている2頭をご紹介しましょう。
最も高い評価である1.80倍に推されているのが、ロンジンワールドベストレースホースランキングにおいて、126ポンドと、世界最高の評価を下された名実ともに「世界最強馬」の1頭とも呼べるWinx(ウィンクス)。現在破竹の12連勝を達成しています。
同馬の能力をフルに発揮できる舞台はマイル路線ではあるものの、昨年のコックスプレートも2着以降を4馬身以上突き放しての圧勝劇を見せていることから、距離は全く不安を感じさせません。
鞍上は日本でもお馴染みとなったオーストラリアの名騎手H.ボウマン。人馬ともにオーストラリア最強と言っても過言でないコンビが13連勝、そしてコックスプレートの2連覇へ向けてひた走ります。
連勝、そして連覇をもくろむウィンクス陣営に今年は強力なライバルが立ちはだかることになります。
それが、毎年コックスプレートへつながる大事な一戦として注目されているターンブルステークス(海外G1、2000㍍・芝)において圧倒的なパフォーマンスを見せたHartnell(ハートネル)です。ウィンクス肉薄する3.25倍となっています。
最後の直線200mほどからジョッキーが全く追うことなく勝利。稀にみる圧勝劇は確かに「ウィンクスに通用する」と評されてもおかしくはないレベルのものでした
【ハートブルステークス2016(優勝:ハートネル)】
世界最高峰の1頭と突如現れた期待の超新星。コックスプレートでいよいよ両雄が激突することとなります。
現在のオッズは15.00倍と上記2頭からはやや離されていますが、オーストラリアが誇るスプリンター、ブラックハートバード(Black Heart Bart)も面白い存在と言えます。
前走のコーフィールドステークス(海外G1、2000㍍・芝)ではウィンクスに次ぐ2着入線と、ミドルディスタンスでもその能力が上位であることを示していました。
こういったことから考えると、もっと高い評価をされていてもおかしくなさそうではあるのですが、実は前走のコーフィールドステークスが、ブラックハートバードを含めて3頭立てとなっており、その中での2着という結果にいささか疑問符があるということでしょうか。
ただ、レース内容を見てみると最後は突き放されてしまっているもののブラックハートバードはかなりいい所まで食い下がっているのも事実です。果たして、コックスプレートではウィンクスに一泡吹かせることができるでしょうか。コックスプレート2016は日本時間の22日午後3時発走予定です。
菊花賞2016
最も速い馬が勝つ「皐月賞」
最も運のある馬が勝つ「日本ダービー」
そして、もっとも強い馬が勝つといわれているのが「菊花賞(G1、3000㍍・芝)」です。
皐月賞や日本ダービーに比べて菊花賞の大きな特徴は「出走馬全頭が距離未経験」という点です。どれだけ長距離のレースでも、経験できるのは夏のローカル戦での「2600㍍」まで。そこから2ハロン延長することとなれば、決して一筋縄の結果にはなりません。
【菊花賞2016枠順】※20日午後2時半更新
1-1 カフジプリンス(牡3、岩田康誠・矢作芳人)
1-2 ジョルジュサンク(牡3、幸英明・鮫島一歩)
2-3 サトノダイヤモンド(牡3、C.ルメール・池江泰寿)
2-4 シュペルミエール(牡3、北村宏司・木村哲也)
3-5 ミライヘノツバサ(牡3、藤岡佑介・伊藤大士)
3-6 ディーマジェスティ(牡3、蛯名正義・二ノ宮敬宇)
4-7 レッドエルディスト(牡3、四位洋文・笹田和秀)
4-8 ミッキーロケット(牡3、和田竜二・音無秀孝)
5-9 イモータル(牡3、F.ヴェロン・須貝尚介)
5-10 ウムブルフ(牡3、浜中俊・堀宣行)
6-11 レインボーライン(牡3、福永祐一・浅見秀一)
6-12 コスモジャーベ(牡3、丹内祐次・和田雄二)
7-13 エアスピネル(牡3、武豊・笹田和秀)
7-14 アグネスフォルテ(牡3、松山弘平・長浜博之)
7-15 サトノエトワール(牡3、池添謙一・角居勝彦)
8-16 プロディガルサン(牡3、田辺裕信・国枝栄)
8-17 ジュンヴァルカン(牡3、M.デムーロ・友道康夫)
8-18 マウントロブソン(牡3、川田将雅・堀宣行)
今年のダービー馬マカヒキが凱旋門賞に挑んだことで不在となる菊花賞。果たしてその中でも注目されているのはいったいどの馬なのか、ブックメーカー「bet365」が発表しているオッズをご覧いただきましょう。
やはり注目なのは皐月賞馬ディーマジェスティ(3.25倍)と日本ダービーでは落鉄の影響もありハナ差で涙をのんだサトノダイヤモンド(2.25倍)の2頭でしょう。
「超ハイレベル世代」と言われた今年のクラシックの中でもマカヒキ・ディーマジェスティ・サトノダイヤモンドの3頭はやはり“別格”と言われています。
ディーマジェスティは前哨戦のセントライト記念(G2、2200㍍・芝)、サトノダイヤモンドは神戸新聞杯(G2、2400㍍・芝)をそれぞれ勝利。着差こそなかったものの両頭ともに余裕のある内容で、本番に向けて期待が高まります。
ただし、この両頭には共通するとある“不安材料”が存在します。
それが父であるディープインパクト産駒が未だに「3000㍍以上の重賞レースで未勝利」という点。実績的には確かに抜けている2頭ですが、このジンクスを打ち破ることができるでしょうか。
そのほかの出走馬で注目されているのがレッドエルディスト(9.00倍)とカフジプリンス(11.00倍)といった「距離延長歓迎組」でしょう。
レッドエルディストは今年のダービートライアル青葉賞(G2、2400㍍・芝)で2着に入線。日本ダービーこそ奮いませんでしたが、ひと夏を越して陣営も「さらに成長した」と充実度に目を細めています
前走の神戸新聞杯では「2着馬(ミッキーロケット)に道中ぶつけられたのが痛かった」と話しながらも、その後の状態面、そして距離延長に対しては自信を伺わせています。
神戸新聞杯において4着に敗れながらも見せ場を作ったのがカフジプリンス。
デビュー当初より「この馬の最大の目標は菊花賞」と言われていただけあり、こちらも陣営の期待が非常に高くはありますが、直近3か月でレースでの走破距離が「10000㍍」を超えているのは明らかに“やりすぎ”という声も挙がっています。
思わぬ伏兵の出現もありそうな今年の菊花賞は10月23日15時40分に発走予定です。