全英リコー女子オープンゴルフ（以下全英）は女子ゴルフの五大メジャー大会の一つに数えられる、世界最高峰の大会で、男子における全英オープンに相当します。1976年に創設され、2001年にアメリカ国外で初めて女子のメジャー大会として認定されました。今大会はスコットランドの名門コース、キングスバーンズ・ゴルフリンクスで8月3日（木）から6日（日）にかけて開催されます。
日本人選手の参加者はアメリカツアーから野村敏京と上原彩子、国内ツアーから鈴木愛、川岸史果、堀琴音、西山ゆかり。そして今大会で引退となる宮里藍が特別承認枠で出場となりました。
2016年女王は20歳の新星
ウォーバンゴルフクラブで開催された2016年大会を制したのは20歳の新星アリヤ・ジュタヌガーン。2位に3打差の通算16アンダーを記録し、タイ人として、男女を通じて初めてのメジャー大会制覇者となりました。
同組となった韓国のイ・ミリムが3連続バーディーを取るなど猛烈な追い上げに合うも、パーで最終日をまとめ上げ、見事栄冠をつかみ取っています。
日本人選手は野村敏京が5アンダーの17位、宮里美香が3オーバーの58位、西山ゆかりが4オーバーの60位、鈴木愛が5オーバーの65位となりました。
宮里藍、ラストゲーム
7月中旬に行われた全米女子オープンでは通算4オーバーの41位となった宮里藍。最後の晴れ舞台となる全英に向け、調整が急がれるところです。これまでメジャー大会では2006年、2010年のPGA選手権と2009年の全英で3位タイとなったのが最高順位。エビアン・マスターズは2009年と2011年に制していますが、2013年に同大会がメジャー大会に昇格する前のことでした。
メジャー大会制覇最後のチャンスでもある今大会には、特別承認枠で出場します。かつて世界ランキング1位にもなり、海外ツアーで9勝を挙げたその功績を称えての名誉となりました。宮里は全英の前哨戦となるスコットランド・オープン（7月27日～30日）に参加し、今季最高成績となる13位でフィニッシュしました。
日本の女子プロゴルフに改革をもたらし、その人気を大きく引き上げた立役者である宮里。32歳での引退表明に世間は驚きをもって迎えました。日本女子ゴルフ史上最も「特別」な選手である彼女は、その功績に見合った「特別」な終わりを迎えることができるのでしょうか。宮里の最後の戦いが始まろうとしています。
全英リコー女子オープン2017優勝オッズ
【全英女子オープン2017優勝オッズ】
※オッズは３１日午後１０時現在
＜全英女子オープン2017最新オッズ情報（bet365発表）＞
ブックメーカー「bet365」が発表した優勝オッズによると、優勝候補筆頭にはレキシー・トンプソンで11.00倍となっています。２番手にはユ・ソヨンで12.00倍、3番手にはパク・ソンヒョンで13.00倍と続いています。また、昨年の王者・アリヤ・ジュタヌガーンは46.00倍のオッズと厳しい評価となっています。
日本勢では、野村敏京と鈴木愛、そして堀琴音が126.00倍で最上位に。ラストシーズンとなる宮里藍は川岸史果と並んで251.00倍、西山ゆかりが401.00倍となっています。予選から突破して3年ぶりの出場となる上原彩子は501.00倍のオッズがついています。
世界女王の地位を確立したいユ・ソヨン
4月にメジャー大会の1つANAインスピレーションをレキシー・トンプソンとのプレーオフの末に制し、2011年の全米女子オープン以来となるメジャー2勝目をマーク。6月にはウォルマートNWアーカンソー選手権で優勝し、自身初、韓国人としては3人目となる世界ランキング1位に輝きました。7月中旬の全米女子オープンでも3位タイと好成績を収めており、今一番勢いのある選手です。
全英女子では過去2年3位タイと8位タイ。今一歩のところに留まっています。キャリアグランドスラムを目標に掲げており、全英制覇は決して避けられない難所。シン・ジエやパク・インビら同胞の先輩を超える選手となるためにも、全力でメジャー制覇を目指してくるはずです。
超新星ジュタヌガーンの快進撃は続くか？
アマチュア時代の2007年に、アメリカ女子ツアー史上最年少予選通過記録となる11歳11か月2日を打ち立て、大きな注目を浴びたジュタヌガーン。その後も順調に成長し、2013年にプロ転向して初戦のアメリカツアーでいきなりの2位、そして4戦目で早くもプロ1勝目を挙げました。弱冠21歳にしてすでにアメリカ6勝、メジャー1勝と圧倒的な成績を残している同選手。前年度王者として臨む今大会では、初の連覇が期待されます。
一時は世界ランキング1位に輝くも、2週間でユ・ソヨンにその座を奪われてしまったことも、彼女のモチベーションとなっていることでしょう。全英の王座死守、そして世界ランキングの王座奪還。今大会を制すれば、それがかなうはず。最強のヤングスタの進撃をとどめるものは何もありません。
トンプソン、ジュタヌガーン超えなるか？
ジュタヌガーンに負けない天才少女として名を馳せた選手、それがレキシー・トンプソンです。ジュタヌガーンより1つ年上、22歳のトンプソンは12歳と4カ月で全米オープンの予選会を突破、さらには15歳と126日でプロ転向し、ミシェル・ウィーの記録を200日以上更新する新記録を達成しました。
その一番の武器は180㎝の大きな体と、そこから生み出される圧倒的な飛距離。それは平均飛距離3位、パーオン率2位、バーディー率3位という数字にも表れています。2014年にはメジャー大会であるクラフト・ナビスコ杯（現ANAインスピレーション）を制しており、今一番欲しいものは世界ランキング1位の座でしょう。トンプソンはジュタヌガーン、ユ・ソヨンらライバルを打ち破り、頂点に達することができるでしょうか。
