相次ぐスキャンダルに強豪力士の不在など、数々のトラブルに見舞われてきた大相撲。それでも7月場所では若い日本人力士の御嶽海が優勝を果たすなど、人気回復に向けた好材料も出てきつつあります。
怪我で休場を繰り返す横綱たちが再びそろえば、さらに大相撲は盛り上がりを見せることでしょう。人気復活へ期待のかかる9月場所のオッズをブックメーカー「Marathonbet」および「888sport」が発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
横綱不在の7月場所は御嶽海が初の幕内優勝を達成
2018年の7月場所は実に横綱不在の場所となりました。
稀勢の里は全休で連続休場は8連続と貴乃花の記録を超える歴代ワースト記録を更新。鶴竜は6日目に右肘関節炎のため、白鵬は4日目に右膝痛のため途中休場し、1999年春場所に貴乃花、若乃花、曙の3横綱が休場した時以来19年ぶりの事態となっています。
そんな異常事態に見舞われた7月場所を制したのは関脇・御嶽海。自身初の幕内最高優勝となりました。長野県出身者としての初めての優勝であるほか、所属する出羽海部屋にとっても1980年1月場所で横綱・三重ノ海依頼38年ぶりの優勝となるなど、歴史的な勝利といえるものでした。
昨年9月場所は日馬富士が現役最後の優勝を遂げる
2017年の9月場所を制したのは横綱・日馬富士。11勝4敗と際立った成績ではありませんでしたが、横綱・白鵬、横綱・鶴竜、横綱・稀勢の里の3横綱がそろって全休。
大関も11勝4敗で優勝同点となった豪栄道を除き、高安が12休、照ノ富士が9休と実力者がほとんど不在という異例の事態による優勝でした。3横綱2大関の休場は1918年の夏場所以来99年ぶりとなっています。
日馬富士にとってはこれが現役最後の優勝となりました。この場所後の10月25日に貴乃花部屋の幕内・貴ノ岩に対して暴行を働き、傷害容疑で書類送検される事態に。
11月場所3日目から途中休場となり、そのまま引退に追い込まれています。
ブックメーカー発表のオッズ
【平成30年9月場所幕内初日オッズ(888sport発表)】
※ブックメーカー「888sport」発表。9日午後4時20分更新。
<大相撲九月場所2018最新オッズ情報>※Marathonbet発表
引退か、復活か?横綱・稀勢の里はもはや崖っぷちに立つ
史上最悪となる8連続休場という不名誉な記録を樹立してしまった稀勢の里。このままでは引退勧告を受けることも充分に考えられるだけに、なんとしても今場所復帰を果たしたいところでしょう。
全休となった7月場所後に行われた夏巡業では、2017年の秋巡業以来となる皆勤を達成。遅ればせながらも調子が整いつつある様子を見せました。
9月3日(月)、4日(火)に行われた二所ノ関一門の連合稽古では、前場所8勝7敗の成績を残した小結・玉鷲を相手に10番勝負を行い、9勝1敗と圧倒。
出稽古で参加した大関・豪栄道を相手には3勝8敗と大きく負け越し、親方勢からも厳しい意見が見られたものの、以前のまともに相撲を取ることさえできないような状態からは脱却できたことが見て取れます。
再び横綱に相応しい姿を土俵の上で見せることができるのか、それとも、このまま現役を退くことになるのか。稀勢の里の審判の時は近づきつつあります。
満身創痍の白鵬、最強時代継続へ期待がかかる
白鵬は7月場所では右膝痛のため途中休場。その状態はまだ思わしくなく、夏巡業においても8月1日の小松場所では膝にたまった水を注射器4本分も抜かなければならないほどの状態となり、8月9日から2日間離脱したほか、小田原で巡業を行っていた24日にも再び離脱し、9月場所への不安を残しました。
そんな状態から一時は手術を行うことも検討したものの、投薬治療で様子を見ることを決心しています。
33歳という年齢は肉体的にも長年の疲労や怪我が蓄積し、厳しい戦いを強いられる時期ですが、8月31日の横綱審議委員会による稽古総見では前場所優勝した関脇・御嶽海を筆頭に前頭3枚目・正代、前頭10枚目・大栄翔、前頭11枚目・佐田の海と幕内力士を指名し、合計9戦取って9連勝。貫録を見せたといえるでしょう。
怪我さえなければ最強の力士であることに異論はない白鵬だけに、復活に大きな期待がかかります。この9月場所で優勝を逃せば、2005年以来となる年間無冠にリーチとなる事態。白鵬はかつての姿を相撲ファンの前に見せることができるでしょうか。
前場所を制した御嶽海は世代交代を果たせるか
前場所で初優勝を果たし、今場所では大関昇進の期待がかかる御嶽海。
9月3日には出稽古に来た大関・栃ノ心を相手に7番相撲を取り、3勝4敗。剛力で知られる先輩大関に勝るとも劣らない実力を見せました。
過去に関脇として優勝を果たした17力士のうち、御嶽海と昭和47年3月場所の長谷川を除く15力士が後に大関に昇進、しかも全員優勝から3場所以内に達成しています。
現在25歳の御嶽海は大卒4年目、近年は大卒力士の活躍が少なく、シビアに見られている点はありますが、その分怪我や疲労の蓄積も少なく、過去の休場もインフルエンザによる2日間のみです。
御嶽海にまだまだ伸びしろが多く残っていることは間違いないでしょう。幕下付出からわずか2場所で十両に昇進したエリートが勢いそのまま2連覇と大関昇進を手にするのでしょうか。