日本中に衝撃が走った日馬富士の暴行事件が発覚したのは九州場所3日目のことでした。それから早1年。再び大相撲が九州・福岡の地に戻ってきます。
今年の九州場所は暗い話題ではなく、力強い力士たちが神聖な土俵の上で真摯な戦いを繰り広げ、観衆を熱く沸かせる場所となるのでしょうか。
ブックメーカー「888sport」が11月11日(日)に初日を迎える九州場所のオッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
【大相撲九州場所2018初日オッズ】
※「888sport」がオッズが発表、11日午前0時更新更新。
<「大相撲九州場所2018最新オッズ情報」by Marathonbet>
前場所は白鵬が復活の全勝優勝!鶴竜、稀勢の里もそれぞれ10勝を挙げる
平成30年9月場所を制したのは横綱・白鵬。7月場所で途中休場、さらには夏巡業でも膝にたまった水を注射器4本分も抜かなければならない重傷ぶりから出場が危ぶまれていたものの、そんな懸念の声をはねのける見事な全勝優勝を達成しています。
この勝利で白鵬は大砲の記録を超える14年連続優勝、さらに史上初めてとなる幕内1000勝という快挙を達成。史上最強の名にさらに一歩近づく結果となりました。
横綱・鶴竜は10日目まで白鵬と並ぶ破竹の10連勝を飾ったものの、11日目から続いた大関・横綱戦では全敗し、10勝5敗。格下相手にはその強さを見せたものの、同格以上相手には勝てないという非情な現実を見せつけられています。
8場所連続の休場、さらに直近3場所連続の全休とあって、引退をかけて臨んだ横綱・稀勢の里は久しぶりに15日間を全うした場所となりました。
鶴竜や御嶽海、栃ノ心といった上位勢相手にも勝ち星を挙げており、まだまだ本来の強さは戻り切ってはいないものの、ひとまず横綱としての面目は保つことができたといったところでしょう。
先場所13勝2敗で初優勝を果たし、大関昇格が期待された御嶽海は9勝6敗と振るわず。昇格ラインだった11勝を超えることができず、来場所に持ち越しとなっています。
昨年の九州場所は暗い話題の多い場所となる
昨年の九州場所は日馬富士の暴行事件が明るみに出て、土俵の外が非常に騒がしい中行われた場所となりました。
4人いた横綱のうち、鶴竜は腰部挫傷、右足根骨剥離骨により9月場所に続いて全休。日馬富士は阿武咲、貴景勝に連敗したのち3日目に事件が発覚し休場、そのまま引退となりました。さらには稀勢の里も黒星先行となった10日目から休場し、1人残った白鵬が14勝1敗で横綱の威信を守る優勝を成し遂げています。
その白鵬も、唯一の黒星となった嘉風戦では敗戦を認められず物言いをつけて厳重注意を受けたり(取り組みを行った力士には物言いを付ける権利がない)、優勝インタビューで越権行為ともとれる発言をして炎上したりと、暗い話題の多い場所となってしまいました。
前場所全勝優勝も右ひざの状態は悪化。白鵬、九州場所出場なるか
前場所は見事な全勝優勝を遂げ、復活をアピールした白鵬。鶴竜、稀勢の里の2横綱も途中休場せず、最後まで完走した場所での全勝優勝はやはり白鵬が横綱の中でも一歩抜きんでた存在であることを知らしめるものとなりました。
とはいえ、今回の九州場所には黄信号が灯っています。
10月18日には右ひざの骨片摘出の内視鏡手術を受け、11月2日の福岡市博多区の住吉神社で奉納土俵入りでもサポーターを付けた状態で登場。不知火型を披露した際も右ひざをかばう動きを見せるなど、実戦復帰のめどはたっていません。
大相撲を象徴する偉大な横綱なだけに、ぜひともその姿を見せてほしいところですが、現状ではかなり厳しいのかもしれません。
鶴竜、初の年間3冠へ。白鵬不在となれば大チャンスも自身も怪我のリスクを抱える
名古屋場所こそ途中休場したものの、今年は3月場所と5月場所で優勝、1月場所11勝、9月場所10勝と他の横綱に比べれば悪くない結果を残している鶴竜。
それでもやはりその肉体には大きなダメージを負っており、怪我と付き合いながらの戦いとなっています。
特に今の懸念は右足首の負傷。直線的な動きはなんとかなるものの、横の動きはあまりできない様子を見せており、怪我の状態によってはまた球場に追い込まれることもないとはいえないでしょう。
11月4日に時津風部屋に出向いて行った出稽古では平幕の正代と豊山を相手に21番を行い、19勝2敗とそれなりの数字を残しました。
白鵬の出場が危ぶまれる今、鶴竜にはなんとしても活躍を見せてほしいところ。自身初となる年間3冠達成となるでしょうか。
復活の兆候を見せる稀勢の里、ついに日本中の期待に応える姿を見せるか
9場所ぶりの復帰となった前場所では10勝5敗と、ひとまずは合格点といった成績を残した稀勢の里。もちろん横綱として満足できる成績ではなく、さらなる復活に大きな期待がかかっています。
3横綱の中では唯一といっていいほど状態がよく、自身の体のキレの良さに自信を持ったコメントを残しているほど。長く休場の憂き目にあいましたが、そこで無理をしすぎなかったことが現在の好調につながっているのかもしれません。
11月2日の二所ノ関一門連合稽古では幕内最重量227kgの関脇逸ノ城を指名し、三番稽古で11番取り9勝2敗と大きく勝ち越すなどその好調ぶりを結果でも示しました。
かつて日本中を大相撲フィーバーに巻き込んだスーパースターが、再びその強さを見せる日も近いのかもしれません。