アメリカのBCシリーズや、オセアニアのメルボルンカップ、更にはJRA史上初となった「同日G1レース複数開催」に沸いたJBCシリーズが終わり、いよいよ今年の競馬も残すところあと2か月を切りました。
そして今週迎えるのが、京都競馬場で開催される秋の牝馬女王決定戦エリザベス女王杯(G1、2200㍍・芝)です。
毎年この時期、クラシックを戦い抜いた3歳牝馬たちと、それを迎え撃つ古牝馬たちの熾烈な戦いが繰り広げられる一戦。
【エリザベス女王杯2018枠順】
1-1 ハッピーユニバンス(牝6、松若風馬・平田修)
1-2 フロンテアクイーン(牝5、蛯名正義・国枝栄)
2-3 レイホーロマンス(牝5、福永祐一・橋田満)
2-4 プリメラアスール(牝6、幸英明・鈴木孝志)
3-5 レッドジェノヴァ(牝4、池添謙一・小島茂之)
3-6 アドマイヤリード(牝5、藤岡康太・須貝尚介)
4-7 モズカッチャン(牝4、M.デムーロ・鮫島一歩)
4-8 カンタービレ(牝3、C.デムーロ・中竹和也)
5-9 クロコスミア(牝5、岩田康誠・西浦勝一)
5-10 ヴァフラーム(牝6、川又賢治・吉村圭司)
6-11 スマートレイアー(牝8、武豊・大久保龍志)
6-12 リスグラシュー(牝4、J.モレイラ・矢作芳人)
7-13 ノームコア(牝3、C.ルメール・萩原清)
7-14 ワンブレスアウェイ(牝5、津村明秀・古賀慎明)
8-15 エテルナミノル(牝5、四位洋文・本田優)
8-16 コルコバード(牝5、浜中俊・木村哲也)
8-17 ミスパンテール(牝4、横山典弘・昆貢)
※9日午後8時更新
ですが、今年は三冠馬の3歳のアーモンドアイがジャパンカップ挑戦。近走で圧倒的なパフォーマンスを見せ続ける古牝馬のディアドラが香港直行など、両サイドの注目ホースが出走しないというやや寂しいこととなりました。
それでも、楽しみであり、見ごたえ十分なメンバーが顔をそろえた今年のエリザベス女王杯。どうやらカギを握るのはこの時期ならではの「騎手動向」となりそうです。
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【エリザベス女王杯2018オッズ】
※オッズは8日午前7時現在
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今年の秋の日本競馬界においてこの騎手が騎乗する馬をご紹介しないわけにはいきません。目下絶好調のC.ルメール騎手が騎乗するのは、3歳牝馬のノームコア(Normcore)。5.00倍は3番手の評価となっています。
春は何とかクラシック戦線に乗ろうとするも、重賞で連続3着。そして迎えた前走、秋華賞(G1、2000㍍・芝)のトライアルレースである紫苑ステークス(G3、2000㍍・芝)においては、これまでのうっ憤を晴らすかのように3馬身差をつけての完勝劇となりました。
好タイムでの圧勝に、騎乗していたC.ルメール騎手も「次も楽しみです、この馬にもチャンスはあると思います」と最大級の賛辞。しかし、その時点でアーモンドアイが居たことからその心中は歯がゆいことだったでしょう。
その後、ノームコアは疲労が抜けきらないことを理由に秋華賞を回避し今回のエリザベス女王杯へ。アーモンドアイがジャパンカップを目指すということもあり、再度コンビを組むことに。
思い返せば今年の秋のC.ルメール騎手の快進撃は、このノームコアの紫苑ステークスがスタートでした。ここもこの馬で勝利を挙げ、年末に向けて弾みをつけることができるでしょうか。
もう一頭、注目を集めているのが昨年の覇者であり、2.50倍と一番手評価のモズカッチャン(Mozu Katchan)。
前走の札幌記念(G2、2000㍍・芝)においても、サングレーザーやマカヒキら牡馬一線級を相手にタイム差なしの3着入線。1週間前追い切り後には軽い熱発というアクシデントもあったモズカッチャンですがその後回復。陣営からも「今年で一番いい状態にある」と、自信のコメントも飛び出し正に「馬は万全」の状態。
気になるのはやや精彩に欠けるM.デムーロ騎手。札幌記念も非常に評価をできる内容ではありましたがその反面「いい時のデムーロ騎手なら勝ち切っていた」ともいえるレースだけに、馬よりも騎手に不安を覚える部分も。
モズカッチャン自身は連覇が、M.デムーロ騎手おととしのクイーンズリングに続く3連覇がかかった一戦だけに、ここは負けられない一戦となります。
この時期の日本競馬といえば「短期免許取得外国人騎手」が、予想の上で大きなポイントとなります。今年のエリザベス女王杯は特にその傾向を強く感じることができる乗り替わりが非常に多く観られました。
G1レースにおいて2着4回の実績を誇るリスグラシュー(Lys Gracieux)も注目の一頭、オッズは4.00倍となっています。
今年、5戦してその内4戦が1600m。前走のアイルランド府中牝馬(G2、1800㍍・芝)が、今年の最長距離レース。確かに、これまで2000mを超えると途端に戦績が悪化している点をみても、距離は懸念材料と言えるでしょう。
それでも、距離的には好走が期待できる来週のマイルチャンピオンシップではなくエリザベス女王杯を選択した陣営には何か策があってのことでしょうか。
そんな陣営の策の内のひとつに入っているかは定かではありませんが、鞍上は先週の天皇賞・秋において、状態面で不安の声も聞かれたサングレーザーを2着入線にまで引き上げたJ.モレイラ騎手を確保。
マジックマンが本領を発揮すれば、実力は確かな馬だけにこの距離でも油断は禁物でしょう。
牝馬三冠を達成したアーモンドアイ。その最後の一冠秋華賞(G1、2000㍍・芝)において「新たな一面」を引き出すことができたのがカンタービレ(Cantabile)。6.00倍となっています。
これまで、番手前後につけ、しぶとく抜け出す競馬で結果を残してきたカンタービレ。しかし秋華賞では一転して「後方待機」最後はアーモンドアイとともに脚をのばしての3着入線となりました。
この騎乗スタイルの変更には「もし先行していれば勝てていたのではないか?」という声と「この騎乗だからこそ3着に来れた」が入り混じり、競馬ファンも騒然としていました。
そして迎える今回は、鞍上にC.デムーロ騎手を配することに。
来日初週となった先週は2勝と勝ち星こそやや残念な結果でしたが、複勝圏率は4割をキープと流石の実力。果たしてC.デムーロ騎手はカンタービレをどのように導くのでしょうか。
短期免許騎手が来日したことによってもっとも「割を食った」と言えるのは、リスグラシューの元主戦騎手にして、前走でカンタービレを3着に導いた武豊騎手。今回は21.00倍と伏兵評価のスマートレイアー(Smart Layer)に騎乗することとなります。
ここ最近はなかなか結果が残していないものの、すべて牡馬混合戦の結果であり、前走の京都大賞典を除けばそのすべてがG1レース。鋭く差し込むこともできれば、先行して前残りも可能な万能スタイル。そんな馬に乗せると日本で最も怖い騎手ともいえる武豊騎手が昨年の香港カップ以来となるコンビ再結成となれば、激走の可能性も無視できない一頭です。
その他、条件戦から初の重賞挑戦でサトノダイヤモンドに0.1秒差まで迫った上り馬レッドジェノバ(Red Genova)が8.00倍。牝馬限定戦ながらにここ4戦で重賞2着3回、3着1回と抜群の安定感を誇るフロンテアクイーン(Frontier Queen)が15.00倍と、ほかにも楽しみな馬たちが出走予定です。
激戦が予想される今年のエリザベス女王杯は、11月11日(日)15時40分発走予定となっています。