凱旋門賞、エネイブル敗れる―。
あれだけの強さを見せ続けていたエネイブルでさえ、三連覇の壁は厚かったようで、改めて「競馬に絶対はない」という言葉を感じた週末。日本勢の果敢なチャレンジも、当日のかなり渋った馬場に悪戦苦闘。結果を残すには至りませんでした。
とはいえ、凱旋門賞が終ってもこの秋冬の競馬はまだまだ見どころが目白押しです。今週、来週は牡馬、牝馬のクラシック三冠路線最後の一冠が開催。今週末は牝馬クラシック最後の一冠、秋華賞(G1、2000㍍・芝)が、京都競馬場で行われます。
【秋華賞2019枠順】
1-1 ダノンファンタジー(牝3、川田将雅・中内田充正)
1-2 メイショウショウブ(牝3、池添謙一・池添兼雄)
2-3 ブランノワール(牝3、浜中俊・須貝尚介)
2-4 トゥーフラッシー(牝3、幸英明・高市圭二)
3-5 クロノジェネシス(牝3、北村友一・斉藤崇史)
3-6 ローズテソーロ(牝3、横山典弘・金成貴史)
4-7 ビーチサンバ(牝3、福永祐一・友道康夫)
4-8 カレンブーケドール(牝3、津村明秀・国枝栄)
5-9 シャドウディーヴァ(牝3、松山弘平・斎藤誠)
5-10 シェーングランツ(牝3、武豊・藤沢和雄)
6-11 フェアリーポルカ(牝3、三浦皇成・西村真幸)
6-12 レッドアネモス(牝3、藤岡康太・友道康夫)
7-13 サトノダムゼル(牝3、M.デムーロ・堀宣行)
7-14 シゲルピンクダイヤ(牝3、和田竜二・渡辺薫彦)
7-15 コントラチェック(牝3、C.ルメール・藤沢和雄)
8-16 パッシングスルー(牝3、戸崎圭太・黒岩陽一)
8-17 エスポワール(牝3、A.シュタルケ・角居勝彦)
8-18 シングフォーユー(牝3、藤岡佑介・牧光二)
※11日午後5時更新
とはいえ、今年は桜花賞馬グランアレグリアが当初から短距離路線へ進むことを発表。優駿牝馬を制したラヴズオンリーユーは、秋華賞を使わずに11月のエリザベス女王杯へ直行する予定を発表するなど「春の主役2頭不在」にて、最後の一冠を奪い合うこととなります。
果たして、新女王はどの馬になるのか、まずはブックメーカー「bet365」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【秋華賞2019オッズ】
※オッズは9日午後6時現在
<秋華賞2019最新オッズ情報>
一番手評価の2.50倍を付されたのは、昨年の2歳牝馬女王にしてトライアルレースであるローズステークス(G2、1800㍍・芝)を制したダノンファンタジー(Danon Fantasy)。
デビュー戦こそ敗れたものの、その後重賞3連勝を含む、4連勝。1番人気で迎えた桜花賞(G1、1600㍍・芝)では、その唯一敗北を喫したデビュー戦の相手、グランアレグリアの前に4着。更に2冠目となる優駿牝馬(G1、2400㍍・芝)も、戦前からささやかれていた距離不安が現実となってか、5着に敗れるなど、不本意なレースが続いています。
しかし前走のローズステークスでは、春先のうっ憤を晴らすかのような強烈な末脚で勝利。ダノンファンタジー以外の上位入線馬がすべてレース中にダノンファンタジーより前に位置付けていた馬たちであることを考えると、やはり世代の中でも確固たる力を持っていることを見せつける結果となりました。
しかし気になるのはやはり「距離」。ローズステークスから1ハロン延びる秋華賞、スタミナ面をどう克服するかが注目でしょう。しかしながらグランアレグリアも、ラヴズオンリーミーもいない中で雪辱とはなりませんが、2歳女王の輝きを今一度見せるだけの実力も勢いも備えています。
しかし、春の二冠を分け合った馬たちが居ないからと言って、ライバルたちも決して楽な相手とは言えません。対抗馬筆頭はその両レースでダノンファンタジーより先着したクロノジェネシス(Chrono Genesis)。オッズは4.00倍です。
ダノンファンタジーをもしのぐ強烈な末脚を武器に、桜花賞そして優駿牝馬では連続して3着を獲得。ただし優駿牝馬では好位に付けていたこともありましたが、上りがあまり出ていなかったことを考えると、距離が短縮される秋華賞はクロノジェネシス陣営にとっても歓迎材料と言えるでしょう。
やや判断が難しいのは、トライアルレースや前哨戦を介さずに優駿牝馬から直行ローテで秋華賞へと挑んできたという点。ここ最近のクラシック路線では当たり前の戦略となってはきましたが、帰厩後の調教はパッとしないだけに、本番でどう言ったレースを見せるでしょうか。
このクロノジェネシスと同じように直行ローテで挑むのがコントラチェック(Contra Check)。オッズは6.00倍です。
優駿牝馬では当時絶好調のD.レーン騎手が騎乗することもあり3番人気に推されるものの、9着。そこから休養を経て秋華賞へ挑むこととなりますが、コントラチェックはこれまでも長期休養明けで勝利した実績があり、この部分ではクロノジェネシスよりも経験値的に勝る点と言えるでしょう。
これまでの勝利はすべて「ハナを切って」のモノであることを考えると、今回もレースを引っ張るのはこの馬になるでしょうか。
東のトライアルレース紫苑ステークス(G3、2000㍍・芝)にも注目馬が何頭か。最も高い評価を得ているのは、紫苑ステークス3着、優駿牝馬2着入線のカレンブーケドール(Curren Bouquetd’or)。9.00倍です。
優駿牝馬では12番人気と低評価を覆し、勝ち馬とクビ差の接戦。紫苑ステークスも敗れはしたものの、勝ち馬とは接戦であることを考えればそこまで悲観的になるような内容ではないかと思われますが、懸念材料としてはやはり関西への遠征が初めてとなる点でしょうか。
その紫苑ステークスを勝利したのがカレンブーケドールと同じく関東馬のパッシングスルー(Passing Through)。こちらは13.00倍となっています。
こちらはこれまで京都やローカル開催への遠征経験がある点や、ここ3走はすべて2000mに距離を絞っている点などを考えると、いかにも秋華賞を目標にしてきたと感じます。
まったく異なる路線を歩んできた紫苑ステークス組の2頭。
ただし、紫苑ステークスを介した関東馬の戦績はあまり思わしくないというデータもありますが今年はどうでしょうか。
その他の注目馬としては、7月に2勝クラスを圧勝したエスポワール(Espoir)が13.00倍。前走ローズステークス2着で復活の兆しを見せたビーチサンバ(Beach Samba)が15.00倍。桜花賞2着のシゲルピンクダイア(Shigeru Pink Dia)が21.00倍。この辺りでしょうか。
所感としては「オッズ上位陣にもやや死角アリ」といったところ。となれば、中穴や大穴馬の激走も十二分に考えられるでしょう。
牝馬クラシック最後の一冠、秋華賞は10月13日の日曜日、15時40分発走予定です。