※「大相撲公式サイト」より抜粋
相次ぐ不祥事やトラブルに見舞われ、協会の責任を問う声も大きくなっている昨今とはいえ、やはり相撲は日本伝統の競技として今も高い人気を誇っています。巨体を持つ力士同士が激しくぶつかり合い、その強さを競う様はほかの競技では見られない、相撲独特の大きな魅力を持っているといえるでしょう。
いよいよ始まる5月場所は東京の両国国技館で5月13日(日)に初日、5月27日(日)に千秋楽を迎えます。ブックメーカー「Marathonbet」(マラソンベット)がその優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
3月場所は一人横綱となった鶴竜が横綱の威厳を守る
横綱・白鵬と稀勢の里が初日から休場し、盛り上がりに欠ける状態でスタートした2018年の3月場所。主役級の2人が不在のなか大相撲を支えたのは最後に残ったもう一人の横綱、鶴竜でした。鶴竜は初めての11連勝を記録するなど好調を維持し、13勝2敗の成績で8場所ぶりとなる優勝を手にしました。
また、鶴竜の優勝以外にも話題の多い場所となっています。昨年10月の日馬富士による暴行事件の被害者となって休場を続けていた貴ノ岩がついに土俵に復帰。8勝7敗で勝ち越しを決めました。大関・高安は千秋楽で鶴竜を破るなどその実力を見せ、優勝次点の12勝3敗。来場所全勝なら綱取りもありえるというだけの結果を残しています。一方、元大関の照ノ富士は怪我が治りきらず、半年ぶりとなる勝利を挙げることはできたものの6勝9敗で史上4例目となる十両陥落を喫しました。
昨年5月場所は白鵬復活の舞台となった
昨年度の5月場所を制したのは横綱・白鵬。2006年の5月場所に大関として臨んだ最初の本場所で初優勝を飾って以来、最長となる5場所連続無冠という長い不調から復活し、見事全勝優勝を果たしています。
一方、ここまで2連覇しており、1937年に双葉山が達成して以来となる初優勝からの3連覇がかかっていた稀勢の里は6勝4敗ののち怪我の悪化により休場を余儀なくされることに。同じく横綱・鶴竜も1勝3敗ののち休場しています。もう一人の横綱・日馬富士は高安などに敗れて11勝4敗、その高安は11勝4敗の成績を残して直近の3場所で34勝を挙げ、見事大関昇進を決めました。
大相撲五月場所2018幕内初日オッズ
※「Marathonbet」が12日発表、同日午後8時更新
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天国の父に優勝を捧げたい白鵬
暴行事件への関与や、かちあげや張り差しを多用する自身のスタイルからもすっかりヒールのイメージがついてしまった白鵬。1月場所は6日目から休場、3月場所は全休と2018年はここまで怪我に苦しむ1年となっています。
白鵬にとって、この5月場所は父親が亡くなってから初めての本場所となりました。1968年のメキシコシティオリンピックの男子レスリングフリースタイル86キロ級で銀メダルを獲得した世界トップクラスのアスリートである白鵬の父親は常に彼のあこがれの存在だったといいます。厳しい環境に置かれている白鵬ですが、天国の父を安心させるためにも是が非にでも優勝を勝ち取りたいと思っているはずです。今場所はこれまでとはひと味違った、さらに力強さを増した白鵬を見ることができるのではないでしょうか。
鶴竜は自身初となる連覇の達成を目指す
先場所に8場所ぶりとなる優勝を果たした鶴竜。昨年は6場所中5場所で休場、9月場所と11月場所に至っては2連続で全休するなど苦しい1年を過ごしましたが、2018年に入ると1月場所で11勝4敗と復活し、一人横綱として臨んだ3月場所は13勝2敗の成績を残しています。
同朋の白鵬が復帰してくることもあり、厳しい戦いが予想されますが、今場所に向けた準備は上々。過去3度の優勝では次の場所で一桁勝利に終わっており、4度目の今度こそそのジンクスを破りたいところ。鶴竜は初の連覇を飾ることができるでしょうか。
田子の浦部屋の両力士は日本人の期待に答えることができるか
唯一の日本人横綱である稀勢の里に、同じく日本人として綱取りに期待のかかる大関・高安。長らく外国人に支配されてきた大相撲の世界に風穴を開ける活躍が期待されています。しかし、その期待とは裏腹に稀勢の里は優勝した昨年3月場所以降6場所連続で優勝を逃し、そのすべてで休場。そのうち2場所は全休という有様となりました。怪我の状態は今も思わしくなく、この5月場所も休場するのではとされており、引退を勧める声も上がり始めています。
一方の高安は1月場所、3月場所と続けて12勝3敗の成績を残し、2場所連続で優勝次点という好結果を残しました。連続で横綱・鶴竜を破っていることもあり、この5月場所で優勝することができれば綱取りの可能性は非常に高くなることでしょう。
ところが、高安は4月の巡業中に腰、5月に入ってからは右肩と左腕と体の各所に負傷を負い、本場所を前にして満身創痍の状態となってしまいました。体重も昨年5月場所時の177キロに対して現在は182キロと大幅増。これが負傷につながっているのではともいわれています。
勝負所を前に躓きを見せる両日本人力士。彼らの活躍なくしては相撲人気の復活も難しいことでしょう。田子ノ浦部屋に所属する両雄の復活に日本中の期待が集まっています。