日本が1964年以来の悲願達成なるか!?
2020年の夏季五輪開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC、ジャック・ロゲ会長)総会が7日、アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスで開かれます。日本では早くも「2020年東京五輪開催」を見越して、建設や不動産、観光などの「五輪銘柄」の株価が上昇したり、連日テレビや新聞で五輪の話題が報じられるなど五輪気運が高まってきていますね。東京都の猪瀬直樹都知事は、滞在先のニューヨークで毎日ランニングと英語でスピーチの練習し、最終プレゼンに向けて余念がないようです。
今回の開催地は、2011年9月1日までに立候補に名乗りを挙げた6都市から、2012年5月23日の1次選考を突破した東京、スペインのマドリード、トルコのイスタンブールの3都市で争われます。東京は2016年開催に立候補しましたが、ブラジルのリオディジャネイロに敗れて今回はその雪辱に燃えています。マドリードは2012年、2016年そして今回と3回連続での立候補、イスタンブールは2000年、2004年、2008年、2012年に続き5回目のチャレンジとなります。いずれの候補地も「今度こそは」と捲土重来にかける情熱は並々ならぬものがあるでしょう。
2020年夏季五輪招致に向けての3都市のPR映像が、下記画像をクリックするとご覧いただけます。
7年後、東京でオリンピックを見たい―。これは日本人である我々の想いを代弁するものだと思います。スペイン、トルコでも国民の気持ちはおそらく変わらないでしょう。でも、開催地はたった1つだけなんです。1つを選ばなくてはいけないのです。
では、この3都市からどこが2020年の開催地に選ばれるのでしょうか?
まだその答えは誰にもわかりませんが、「予想」ならば出来ます。予想?そうです!スポーツの結果予想が大好きなブックメーカーのオッズを見てみましょう。今回は、1886年創業のイギリスの老舗ブックメーカー「Ladbrokes」のオッズを参考にしながら、予想してみたいと思います。
「Ladbrokes」によると、東京に1.61倍の最有力開催地としてのオッズが付き、イスタンブールとマドリードともに4.0倍で追う展開が予想されています(2日午後11現在)。通信社最大手のAP通信も「少しの差ではあるが、東京が先頭を走っている」と打電するなど、世論的には「東京有利」との見方が強まってきている感はあります。
またAP通信は「今回の開催地決定には、いかにリスク(欠点)が少ないか?という点が重要視されるのではないか」という見解を示しています。つまり、プラス要素を増やすよりもマイナス要素をいかに減らすかがポイントになってくるということになります。イスタンブールは、「トルコの春」とも呼ばれたトルコ反政府運動や隣国シリア情勢など政治的な不安定さが否めず、安全性が疑問視されています。マドリードはここ数年スペインの経済危機とそれに伴う26.2%とも言われる失業率の高さで、経済面での不安が大きなリスクと言えるでしょう。両国は、ドーピング問題も抱えており、反ドーピングを強く打ち出しているIOCにとってはこれも懸念材料となるでしょう。
一方、東京は東日本大震災での放射能やその汚染水への安全性への不安がありますが、“リスク”という点ではイスタンブールやマドリードに比べるとまだ減点が若干少ないのかなと思います。財政基盤が磐石であることやインフラ整備が既にある程度整っていること、そして東日本大震災からの復興する日本を世界中に示し、勇気と希望を与えるという五輪開催の意義も他候補地よりも強いものがあるのではないかと思います。
ブックメーカー以外にも、五輪開催地を数値化して予想しているところがあります。それはGamesBidsとAround the Ringsという国際的に知られている五輪招致レースを予想する専門サイトです。それぞれ独自の調査をして得られた結果を数値化して、その数値が高いほど開催地に選ばれる可能性が高いことを示しています。過去の開催地も的中させている実績もあり、また投票権を持つIOC委員が参考にしているとも言われています。
GamesBidsが今年5月に発表した「Bid Index」では、東京が62.31、イスタンブールが61.96、マドリードが56.49と、東京がわずかに招致レースをリードしている数値がはじき出されています。また、Around the Ringsが8月22日に発表した最新の「Power Index」では、東京が77、マドリードが76、イスタンブールが75と、こちらは1ポイント差に3都市が並ぶ大激戦の予想を発表しています。「Power Index」は11項目について各候補地にそれぞれ得点を付けて、それを合計した数値となっています。
下記に「Power Index」の各項目の一覧表を示しておきます。様々な角度から「どの候補地が五輪開催地に最も近いのか」が、客観的にわかるのではないかと思います。
【Around the Rings発表の「Power Index」】
これを見ると、イスタンブールが治安において数字が他都市よりも低く、マドリードは財政において他都市よりも2ポイント下回っています。いずれにしても、今回はどれだけマイナスを減らすことができるかが焦点になってきます。日本はわずかながらリードはしているものの、これらの数値を見る限りまだまだ予断を許さない状況です。
もう一度、ブックメーカー「Ladbrokes」のオッズを確認しておきましょう。東京が1.61倍、イスタンブールとマドリードが4.0倍です。東京が断然有利のオッズですが、ひとつだけ言っておかなければならないことがあります。それは、2012年の候補地だったパリ、2016年の候補地だったシカゴ、いずれもブックメーカーのオッズで1番予想でしたが、いずれも敗れているということです。
今回は東京が「3度目の正直」でブックメーカー予想がズバリ的中するのでしょうか。開催地決定の発表は日本時間8日の早朝辺りになると思われます。日本選手団を代表して、フェンシングの太田雄貴選手とパラリンピック陸上の佐藤真海選手が最終プレゼンを行うためにブエノスアイレスに入りました。
さて、2020年は東京か?ブックメーカーの「ジンクス」か?あなたはどっち?