世界最大、そして最高峰のグランツール「ツールドフランス2015」(全21ステージ・総距離3344キロ)が今年はオランダのユトレヒトをスタート地点に、7月4日から3週間にわたる戦いを繰り広げます。最終ステージでフランスのパリ・シャンゼリゼのゴールテープを最初に切るライダーは誰なのでしょうか?
昨年の「ツールドフランス」は、イギリスのウィリアム王子、キャサリン妃に見守られる中イギリスをスタートしました。雨が多く、厳しいコース設定であったことが影響してか優勝候補、優勝経験者が次々と落車などで脱落していく中、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が制しました。
【ツールドフランス2014ハイライト】
今年のマイヨ・ジョーヌ(総合タイム首位)のジャージを身にまとうのは、どうやら4強の争いになりそうです。ブックメーカー(スポーツブック)「188BET」が総合優勝オッズを発表していますので早速、優勝の行方を追っていきたいと思います。
【ツールドフランス2015総合優勝オッズ】
※オッズは30日午前10時現在
優勝最有力に挙がっているのは、クリス・フルーム(イギリス)で2.75倍のオッズがついています。ほとんど差がなく2番手にはナイロ・キンタナ(コロンビア)で3.25倍のオッズとなっています。この二人を追うアルベルト・コンタドール(スペイン)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が5.00倍となっています。総合優勝争いはこの4人で争われることになりそうです。
チーム・スカイのエースで2013年のツールドフランスを制し、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ2位のフルームは、今年の本大会でリベンジを果たしたいところでしょう。昨年のツールドフランスで連覇を目指した矢先の第5ステージで2度の落車。よもやのリタイアを強いられました。ケニヤ生まれのイギリス育ちのフルームは先月30歳を迎え、30代最初のビッグタイトルを目指してユトレヒトのスタート地点に立ちます。
モヴィスター・チームのキンタナがフルームとほぼ横一線で並んでいます。2013年のツールドフランスで総合2位とフルームの後塵を拝する形となりましたので、今年の大会でこの借りを返しておきたいところでしょう。昨年はジロ・デ・イタリアを制した25歳は、今年2月のコロンビアロード選手権で落車し、そのけがの影響でツールドフランスまでのレース日程変更を余儀なくされました。しかし、3月のイタリア「ティレーノ~アドリアティコ」で雪の舞う中の戦いを制して、今季初総合優勝を果たして復活をアピールしました。「山頂フィニッシュが多いことは自分に有利だ」とキンタナに分がある山頂ゴールが増えたコースでどうキンタナが戦うか注目です。
【ツールドフランス2015コース図】
※「J SPORTS」より抜粋
この二人を追うのがコンタドールとニーバリです。
ティンコフ・サクソのコンタドールは、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャを制するなどこれまでグランツールを6度制し、史上5人目のグランツール完全制覇を成し遂げています。そのうち2007年と2009年のツールドフランスを制しており、4強のうち唯一複数回ツールドフランスを制しています。経験値でいえば最も高い選手だと言えます。昨年のツールドフランスでも優勝候補の一角に挙げられていましたが、第10ステージで落車して右足を骨折し無念のリタイアとなりました。もう一度ツールドフランスでの優勝を―。33歳となり円熟期を迎えているコンタドールは「コンディション良く開幕を迎えて、フレッシュさを保ちながら、しっかり体力を回復させることが重要」。
“海峡のサメ”とのニックネームがついているニーバリは、昨年のグランツール王者としてその座を防衛する立場となりました。史上6人目のグランツール完全制覇を成し遂げた昨年のツールドフランスでは、強豪が次々と脱落していく中で第2ステージから、第9ステージをのぞく最終ステージまでマイヨ・ジョーヌを誰にも譲ることなく、2位に7分37秒という大差をつけて圧勝しました。今回も大胆な仕掛けが見られるのか?“海峡のサメ”が再びフルーム、キンタナ、コンタドールらに噛みつくのか?自らが得意とする石畳コースは今回も第4ステージに用意されており、荒れたコースで他を引き離す展開へと持ち込みたいところでしょう。
総合優勝の行方も非常に注目ですが、グランツールの特徴でもある「ポイント賞」(マイヨ・ヴェール)と「山岳賞」(マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ)の争いも見ものです。ブックメーカー「SBOBET」がポイント賞と山岳賞の優勝オッズを発表していますので確認しておきましょう。
【ツールドフランス2015ポイント賞オッズ】
※オッズは30日午前10時現在
2012年から2014年までのツールドフランス「ポイント賞」を制しているぺーター・サガン(スロバキア)が1.70倍で4連覇へとまっしぐらの様相を呈しています。2番手には、チーム・カチューシャのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が4.00倍で後を追っています。3番手にはグランツール区間43勝で史上4位のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が5.00倍となっています。
【ツールドフランス2015山岳賞オッズ】
※オッズは30日午前10時現在
「山岳賞」最有力候補は、マイヨ・ジョーヌの有力候補でもあるキンタナで4.50倍のオッズが付いています。2番手にはチーム・ヨーロッパカーのピエール・ロラン(フランス)が7.50倍でつけています。3番手には同じくマイヨ・ジョーヌ候補のフルームとコンタドールがそれぞれ11.00倍となっています。山を制する者がグランツールを制するとなるのでしょうか。
日本人選手としてツールドフランス出場、そして日本人として初めてのステージ優勝が期待されていたトレック・ファクトリーレーシング(アメリカ)の別府史之と、チーム・ヨーロッパカー(フランス)の新城幸也ですが、今回残念ながらツールドフランスのメンバーには選ばれませんでした。
新城は4年連続6回目のツールドフランス出場を期待されていましたが、4月の「リエージュ~バストーニュ~リエージュ」で落車し、肩甲骨と肋骨の骨折をするなど調整が遅れていました。