競馬ファンにとっての締めといえばやはりこのレースでしょう。12月24日、今年も暮れの中山競馬場で冬のドリームレース。有馬記念(G1、2500㍍・芝)が開催されます。
毎年ドラマが生まれるのが有馬記念。昨年は、当時古馬最強としての評価を手中に収めかけていたキタサンブラックを、新世代の3歳馬であるサトノダイヤモンドが見事に打ち破っての勝利。
一昨年は「障害馬として活躍できるような配合をした」と、生産者サイドが語った大出世馬ゴールドアクターが勝利。同時に、父であるスクリーンヒーローが一躍人気種牡馬となりました。
そして近年の有馬記念でもう一つ見どころとなっているのが『日本人騎手VS外国人騎手』という図式。
競馬ファンであれば知らない人はいないであろうC.ルメール、M.デムーロ騎手の両名。特に今年は日本競馬界におけるトップジョッキーと呼ぶにふさわしい活躍ぶりを見せてくれていました。
さらに、この時期になると海外のトップジョッキーたちが自国の競馬がオフシーズン入ることもありこぞって来日、有馬記念が行われる今週末は『ジョッキーレベルが最も高い時期である』とも言えます。
2010年には馬券圏内を外国人騎手が独占したこともある有馬記念。今回は馬だけでなく騎手にも注目して出走馬をご紹介いたします。
【有馬記念2017枠順】
1-1 ヤマカツエース(牡5、池添謙一・池添兼雄)
1-2 キタサンブラック(牡5、武豊・清水久詞)
2-3 クイーンズリング(牝5、C.ルメール・吉村圭司)
2-4 ブレスジャーニー(牡3、三浦皇成・佐々木晶三)
3-5 トーセンビクトリー(牝5、田辺裕信・角居勝彦)
3-6 サトノクロニクル(牡3、戸崎圭太・池江泰寿)
4-7 シャケトラ(牡4、福永祐一・角居勝彦)
4-8 レインボーライン(牡4、岩田康誠・浅見秀一)
5-9 サクラアンプルール(牡6、蛯名正義・金成貴史)
5-10 シュヴァルグラン(牡5、H.ボウマン・友道康夫)
6-11 ルージュバック(牝5、北村宏司・大竹正博)
6-12 サトノクラウン(牡5、R.ムーア・堀宣行)
7-13 ミッキークイーン(牝5、浜中俊・池江泰寿)
7-14 スワーヴリチャード(牡3、M.デムーロ・庄野靖志)
8-15 カレンミロティック(セ9、川田将雅・平田修)
8-16 サウンズオブアース(牡6、C.デムーロ・藤岡健一)
※21日午後6時30分更新
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1番手評価は今年G1を3勝したご存知キタサンブラック(2.75倍)。今年は、昨年成しえなかった天皇賞春秋制覇も達成し、またひとつ勲章を増やすに至りました。
しかしその一方で宝塚記念(G1、2200㍍・芝)ではいいところなく9着に敗れたことや、前走のジャパンカップ(G1、2400㍍・芝)においても、得意の形に持ち込みながら落鉄の影響もあり3着と、精彩に欠けるレースもありました。とはいえ、実績面を見ればダントツの存在であることは言うまでもありません。
同世代、こちらも同じ先行タイプで世界中を席巻したハイランドリールの香港ヴァーズのように、有終の美で飾ることが出来るでしょうか。
鞍上は日本が誇る名ジョッキーにして、キタサンブラックと正に名コンビの武豊騎手。
武豊騎手自身も、11月のマイルチャンピオンシップでは手綱を取り続けてきたエアスピネルから、落馬負傷の影響もあって降板。しかし、過去にも一度降板劇があったことから、それ以上の何かがあってのことともうわさされました。
10月には外国人騎手全盛の現代競馬をもじって「次も乗せてもらえるかわからないですが…」と発言していたことが現実となった形に。しかし、上の発言からもやはり「日本人騎手」としてプライドの高さを伺わせるだけに、日本を代表する名馬と共にキッチリと武豊の力を見せたいところでしょう。
「外国人騎手」に因縁深いのがジャパンカップに引き続いてシャケトラ(41.00倍)に騎乗する予定の福永祐一騎手。
福永騎手といえば、条件戦を連勝し始めたときから長きにわたって主戦を務めていたシュヴァルグランのイメージが非常に強いのですが、今秋のG1戦線からシュヴァルグラン陣営は外国人騎手にスイッチ。
結果としては、H.ボウマン騎手の手によって念願のG1初制覇をジャパンカップで達成することとなりました。
そして今回も福永騎手の手にシュヴァルグランは戻ることなく、続けてシャケトラとコンビを組むことに。前走は結果を残せなかったものの、今回はシャケトラにとって初の重賞勝利となった日経賞(G2、2500㍍・芝)と同条件の有馬記念。一発を期待する条件はそろったといえるでしょう。
もう1頭、日本人騎手が騎乗する中で注目を集めるのが浜中俊騎手騎乗予定のミッキークイーン(10.00倍)。
牝馬路線の有力馬、混合戦ではやや足りないというイメージが強かったミッキークイーンでしたが、今年の宝塚記念では見事に3着入線を果たし、実力を見せました。牝馬特有の切れ味鋭い差し脚が特徴のミッキークイーンですが、2500mはやや距離が長い印象も受けます。
一度負傷で乗り替わりがあった以外、すべてのレースで浜中騎手が手綱を取るミッキークイーン。その乗り替わりの際も「復帰すればこの馬は浜中君で」という声が出るほどに期待されているだけに、人馬一体となって秋華賞以来となるG1制覇を目指します。
そんな日本人騎手たちに負けず劣らずの精鋭ぞろいなの外国人騎手が騎乗予定の馬たち。
昨年勝利したサトノダイヤモンドと同じく、新世代となる3歳勢からは今年の日本ダービーの2着馬スワーヴリチャード(4.00倍)が出走予定。鞍上は今年絶好調だったM.デムーロ騎手を配します。
休み明け、そして古馬との初対決となった前走のアルゼンチン共和国杯(G2、2500㍍・芝)では、0.4秒差をつける完勝劇。日本ダービーを制したレイデオロがジャパンカップで2着に入線したことなどと合わせて、改めて3歳世代のレベルの高さを示す結果となりました。
前走で馬の能力と同時に光っていたのがM.デムーロ騎手の好騎乗。内でじっくりと足をためて直線抜け出すお手本のような競馬を見せて勝利に導いたその手綱に、今一度期待がかかります。
前走のジャパンカップにおいて悲願のG1初制覇を成し遂げたシュヴァルグラン(4.50倍)は、その際の鞍上、オーストラリア競馬界のスーパースターH.ボウマン騎手を続けて配する万全の形。
前走はまさに「完璧な騎乗」で勝利をつかんだシュヴァルグランとH.ボウマン騎手。有馬記念でもその再現となるでしょうか。苦杯を飲まされ続けたキタサンブラックに今一度大舞台で勝利することが出来るでしょうか。
一方で、M.デムーロ騎手と今年一年間コンビを組み続けていた今年の夏のグランプリホース・サトノクラウン(12.00倍)はR.ムーア騎手が初騎乗することに。
毎年、上質な馬がムーア騎手の元には集まりますが、12月2日の中山開催では「騎乗機会馬すべてが1番人気」というほどのムーアブームが巻き起こっていました。
前走のジャパンカップ(10着)の反動が気になるところではありますが、実績面だけでいえばキタサンブラックに次ぐ馬だけに、実力をしっかり発揮すれば怖い存在となるでしょう。
その他、天皇賞秋では13番人気ながらに3着入線を果たしたレインボーライン(41.00倍)や、今年のリーディングジョッキーが確定しているC.ルメール騎手はクイーンズリング(26.00倍)と初コンビを組むことになります。
また、3歳勢のブレスジャーニー(34.00倍)やサトノクロニクル(21.00倍)も、実績面から考えるとかなりの好評価といえるでしょう。3歳世代の能力を評価してのことでしょうか。
年末の大一番有馬記念は12月24日日曜日、15時25分発走予定です。