2017年もあと少し。年末の風物詩の一つである、ボクシングの世界タイトルマッチの開催も近づいてきました。今年注目されるのはWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ「井上尚弥対ヨアン・ボワイヨ」と、WBA&IBFライトフライ級王座統一戦「田口良一対ミラン・メリンド」の2試合。
さらなる高みへと上り詰めようとする2人の日本人ボクサーの熱い戦いの行方を占う勝敗オッズをブックメーカー「bet365」が発表していますので、ご紹介していきます。
【年末に行われる日本人ボクサーの世界戦日程】
12月30日
【ボクシング】WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ「井上尚弥対ヨアン・ボワイヨ」(@横浜)
【ボクシング】WBCライトフライ級タイトルマッチ「拳四朗対ヒルベルト・ペドロサ」(@横浜)
12月31日
【ボクシング】WBA&IBFライトフライ級王座統一戦「田口良一対ミラン・メリンド」(@東京)
【ボクシング】IBF世界ミニマム級王座決定戦「京口絋人対カルロス・ブイトラゴ」(@東京)
【ボクシング】WBO世界フライ級王座決定戦「木村翔対五十嵐俊幸」(@東京)
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ「井上尚弥対ヨアン・ボワイヨ」
スーパーフライ級王座統一よりも3階級制覇へ挑む
12月30日に横浜文化会館で開催されるこのタイトルマッチは、現WBOスーパーフライ級世界チャンピオンの井上尚弥にとって7度目の防衛戦となります。これまで無傷の14連勝、そのうち12試合はKO勝ちという脅威の実力を誇る世界王者は、今回の試合で勝利すれば来年は階級を一つ上のバンダム級に上げることを宣言。すでに王座を勝ち取ったライトフライ級、スーパーフライ級に次ぐ3階級制覇の野望を明かしています。
WBOは世界ボクシング機構とも呼ばれる数あるプロボクシングの世界王座認定団体の一つです。1988年に世界ボクシング協会(WBA)からカリブ地域の反対派とアメリカ合衆国の有力プロモーターらが中心となって独立したものです。オスカー・デ・ラ・ホーヤやマニー・パッキャオといったビッグネームの活躍もあり、現在はプロボクシングの世界4大主要団体(WBA、WBC、IBF、WBO)の一つに数えられています。井上はWBC(世界ボクシング評議会)でライトフライ級の世界タイトルを獲得し、防衛戦を1試合行った後WBOのスーパーフライ級に転向しました。
もともと井上はWBCスーパーフライ級の世界王者で2016年にはミニマム級、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級の4階級制覇を達成したパウンド・フォー・パウンド最強王者だったローマン・ゴンサレスとの王座統一戦に高い意欲を燃やし、海外メディアもその実現に大きな期待を寄せていましたが、2017年3月にWBCスーパーフライ級2位のシーサケット・ソー・ルンヴィサイにプロ初黒星となるまさかの判定負け、そして9月9日に行われた再戦ではKO負けを喫し、井上との対戦は絶望的となりました。これを受け、井上はバンダム級への転向を決意。元WBCバンダム級世界王者山中慎介や、その山中から2017年8月に王座を奪い取った現王者のルイス・ネリーなどとの対戦が期待されています。
オッズは井上を圧倒的に支持する
【2017年末ボクシング世界戦オッズ】
※オッズは25日午前9時現在
スーパーフライ級を卒業し、バンダム級制覇へ弾みをつけるためにも、井上はぜひともKO勝ちを飾りたいところです。対戦者のヨアン・ボワイヨは同級6位のフランス人。井上よりも5歳上の29歳です。戦績は41勝26KO4敗で、現在28連勝中の猛者でもあります。とはいえWikipediaの日本語版はもちろん、英語版にも項目がない無名な選手(母国のフランス語版のみ存在)なので、井上が負けると考えている人はほとんどいないことでしょう。
ブックメーカーが発表するこのタイトルマッチのオッズは井上勝利がなんと1.010倍と、非常に大きな数字が付きました。ボワイヨ勝利は17.00倍と、井上の勝利は揺るがないというのが数字の上から見ても圧倒的な見方のようです。井上は周囲の期待通り対戦相手を打倒し、さらなる高みへ上るための踏み台とすることができるでしょうか。
WBA&IBFライトフライ級王座統一戦「田口良一対ミラン・メリンド」
WBAとIBF、世界王者同士の対決
多くのプロボクシング団体が乱立し、同じ階級の世界王者が何人もいる現在のボクシング。どの団体がより強いのか、どの世界王者が真に一番強い世界王者なのか、非常にわかりにくくなっているのが現状です。そんな同じ階級の世界王者同士が対決し、真の世界王者を決める王座統一戦が12月31日、東京の大田区総合体育館で開催されます。
WBA世界ライトフライ級王者・田口良一がIBF世界同級王者ミラン・メリンドを迎えるこの一戦。大田区に育ち、大田区総合体育館のボクシング教室に通った田口にとってはまさに故郷に錦を飾る戦いとなります。
田口が王座を持つWBA(世界ボクシング協会)は1921年にアメリカ合衆国で設立された、もっとも歴史のあるプロボクシング団体です。残りの主要団体であるWBO、WBC、IBFももともとはWBAから分裂した団体です。田口良一が君臨するWBAライトフライ級の王座はかつて具志堅用高が保持していたもので、殿堂入りも果たしています。
IBF(国際ボクシング連盟)はもともとWBA傘下の全米ボクシング協会が独立し、中南米中心となったボクシング界を再びアメリカに引き戻すことを目的として1983年に発足した団体です。近年は亀田大毅がスーパーフライ級、八重樫東がライトフライ級を制するなど、日本人の活躍が目立ちつつあります。
31歳の田口にとってこの対戦は7回目の王座防衛戦でもあります。2013年に井上尚弥に敗れて以降無敗、ライトフライ級のタイトルを6回防衛した実績をひっさげ、統一王座獲得へ挑戦します。対するミラン・メリンドは29歳のフィリピン人。2017年5月に八重樫東をまさかの初回TKOで下し、IBFライトフライ級王者の座を奪取しました。