世界最大のスポーツ大国アメリカ。そのアメリカで一番人気のあるスポーツリーグは何でしょうか。野球のMLB?バスケットボールのNBA?サッカーのMLS?すべて違います。実はダントツでアメリカンフットボールのNFLなのです。
アメリカでもっとも多くの人々を熱狂の渦に巻き込んでいる巨大スポーツ、NFL。その2017-2018年シーズンが日本時間の8日、ニューイングランド・ペイトリオッツ対カンザスシティ・チーフスの試合を皮切りにスタートします。今回はブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表するオッズを参考に、その優勝展望をご紹介していきます。
熱狂の一日、スーパーボウル
NFLの優勝決定戦であるスーパーボウルはまさにアメリカで行われる年間最大のスポーツイベントといっていいほどの人気を誇っています。毎年2月上旬の日曜日(日本時間では月曜日朝)に開催されることからスーパーボウルサンデーとも呼ばれ、テレビ番組の年間最高視聴率を記録することもしばしば。多くの会社や学校が休業し、事実上アメリカの祝日となっているほどです。
豪華なゲストが試合を盛り上げるのも高い人気を支える理由の一つ。2016-17年シーズンのスーパーボウルではコイントスをテキサスに基盤を持つ元アメリカ大統領のジョージ・ブッシュ・ジュニア、ハーフタイムショーをレディ・ガガが務めています。
2016-17年シーズンを制したのはペイトリオッツ
テキサス州ヒューストンで開催された2016年シーズンのスーパーボウル。第51回を数えるこの試合の組み合わせはアメリカ・フットボールカンファレンス(AFC)王者のニューイングランド・ペイトリオッツ対ナショナル・フットボール・カンファレンス(NFC)王者のアトランタ・ファルコンズとなりました。
2009年以降連続で地区優勝を果たし、2014年にはスーパーボウルを制しているペイトリオッツと、過去3シーズンプレーオフに進出できていなかったファルコンズという対照的な対決となりました。
試合はスーパーボウル史上初となるオーバータイムに突入する熱戦の末、ペイトリオッツが34-28で見事勝利。5回目のNFLチャンピオンの座に輝きました。
常勝ペイトリオッツの連覇に一番高いオッズ
【2017-18年シーズンNFL優勝オッズ】
※オッズは6日午後4時現在
ブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表する2017-18年シーズンのNFL優勝候補の筆頭は、昨シーズンの王者ペイトリオッツが挙げられました。オッズは4.50倍が付けられています。安定して高い強さを誇るペイトリオッツに高い支持が集まるのは当然といってよいのかもしれません。
2番手にはNFC東地区所属で2013年スーパーボウル王者のシアトル・シーホークスと、NFC北地区所属で2010年スーパーボウル王者のグリーンベイ・パッカーズが挙げられ、ともにオッズ10.00倍につけています。
続いて4番手にはオッズ11.00倍でピッツバーグ・スティーラーズ、5番手に15.00倍でダラス・カウボーイズ、6番手に昨シーズンのファイナリストであるアトランタ・ファルコンズが17.00倍で挙げられています。
最多優勝に王手をかけたペイトリオッツ
2000年代にペイトリオッツ王朝と呼ばれる黄金時代を築き上げたペイトリオッツ。2010年代に入ってもその力は衰えず、昨シーズンも見事優勝を成し遂げました。
そんなペイトリオッツの屋台骨といえば、もちろんトム・ブレイディの名前が挙げられるでしょう。2000年にペイトリオッツに加入すると2シーズン目には先発クオーターバックに定着し、いきなりチームを史上初のスーパーボウル制覇に導きました。その後も名将ビル・ベリチックの指揮のもと、多くの記録を打ち立てる活躍を続けてチームの計5回のスーパーボウル制覇に貢献。NFL史上最高のクオーターバックの1人と評されています。
スーパーモデルのジゼル・ブンチェンの夫としても知られるブレイディは、今年6月にはプロモーションの一環で大相撲の境川部屋を訪問。大関豪栄道とぶつかり稽古をして相撲を体験しました。どちらも足腰の粘りが大事なスポーツなだけに、なにか相撲からフットボールに生かせるヒントを得たかもしれません。
史上最多4度のスーパーボウル最優秀選手賞に輝くなど、まさに伝説級の名選手であるブレイディ。次なる目標はチームを歴代最多優勝に導くことでしょう。現在のスーパーボウル最多優勝回数はピッツバーグ・スティーラーズの6回。現在5回優勝のペイトリオッツはこの大記録にリーチがかかっている状態です。40歳で挑む今シーズン、チームの、そして自身6回目の優勝を果たす鍵はブレイディが握っているとみていいでしょう。活躍が期待されます。
地方小都市の雄、パッカーズ
わずか人口約10万人。グリーンベイ・パッカーズは地方の小都市であるウィスコンシン州グリーンベイを本拠地にしています。その規模は北米4大リーグに所属するクラブの本拠地の中では抜きんでて小さいものです。しかし、それでもその人気はNFLでも有数の高さを誇ります。
その理由の一つは市民クラブだということ。特定のオーナーがおらず、チームの株主である一般のファンによって運営されています。NFLでは唯一の市民クラブであるパッカーズ。その株主数は約11万2000人と、本拠地の人口以上。チームがいかに愛されているかをうかがわせるものです。
注目は現役最高のクオーターバックとも賞されるロジャース。2010年にパッカーズがスーパーボウルを制した際にはMVPに輝いています。昨シーズンもタッチダウンをリーグ最多の40回決めるなど、チームを地区優勝に導く活躍を見せました。
パッカーズは小都市の市民クラブでありながら、スーパーボウル優勝を4回果たしている歴史ある強豪チームです。市民の圧倒的な後押しを受け、グリーンベイの街に歓喜をもたらすことができるでしょうか。
熱狂的ファンとともに戦うシーホークス
マイクロソフトやスターバックスの創業地として名高く、また、多くの日本人が暮らすことでも知られるシアトルを本拠地とするシーホークスはとても熱いファンを持つことでも知られています。その熱度は2013年にファンが試合中に出す応援の大音量がギネス記録に登録されるほど。シーホークスのファンは”12番目の選手”として戦い、クラブも背番号12を永久欠番にしています。
ギネス記録を樹立した2013年にはデンバー・ブロンコスを撃破してクラブ史上初のスーパーボウル制覇を達成。翌年も、ニューイングランド・ペイトリオッツに敗れたものの、スーパーボウルに進出しています。
シーホークスは、今年5月に48歳で亡くなったコルテズ・ケネディが背負った96番を全選手のヘルメットに2017年シーズンを通して貼り付けることを発表しました。11年間シーホークスでプレーし、殿堂入りした伝説の選手ケネディ。その選手生命をすべてシーホークスに捧げたこの名選手のためにも、シーホークスは強い思いを持って新シーズンに臨みます。