全米が1年で最も盛り上がる1日が近づいてきました。日本時間2月5日(午前8時30分)に、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の年間王者を決める一戦、スーパーボウルが開催されます。
第52回目となる今年のスーパーボウルを戦うのはニューイングランド・ペイトリオッツとフィラデルフィア・イーグルス。スポーツイベントの域を飛び越えた一大行事の行く末を占う勝敗オッズをブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」が発表していますので、その数字を参考にスーパーボウルの優勝展望をご紹介していきます。
スーパーボウルとは
全米最大のスポーツイベントであるスーパーボウル。その熱狂ぶりは世界中でテレビ放映されるメジャーリーグベースボール(MLB)のワールドシリーズやナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)のNBAファイナルですらその比ではなく、スーパーボウルが開催される毎年2月上旬の日曜日はもはや国民の祝日といってもいいくらいに国中がスーパーボウル一色に染まります。視聴率は過去25年以上常に40%を超えるほど。
ハーフタイムに行われるショーにも毎回超大物が出演しており、今年度はジャスティン・ティンバーレイクが登場します。かつてティンバーレイクが所属し、2002年に活動休止したイン・シンクがそこで復活するのではという噂も飛び交っており、大きな期待と注目が集まっています。
AFCは今年も王者ペイトリオッツが制する
アメリカン・フットボール・カンファレンス(AFC)チャンピオンシップの組み合わせはテネシー・タイタンズを35-14で破ったニューイングランド・ペイトリオッツ対優勝回数最多の6回を誇るピッツバーグ・スティーラーズを45-42で下したジャクソンビル・ジャガーズの対戦となりました。
ペイトリオッツのホーム、ジレットスタジアムで開催されたこの一戦は前半からジャガーズがゲームを支配。第2クオーターにリードを奪うと優勢に試合を進めましたが、後半に入って地元の大声援に後押しされたペイトリオッツのじわりじわりと追い上げられ、終了間際にクオーターバック(QB)のトム・ブレイディとワイドレシーバー(WR)のダニー・アメンドーラがトライを決めて逆転に成功。そのまま逃げ切って、見事スーパーボウル進出を勝ち取りました。ペイトリオッツはこれで2年連続のスーパーボウル進出。これでNFL史上初となるスーパーボウル進出10回目に到達しています。
NFCはイーグルスが13年ぶりにスーパーボウル進出を決める
ナショナル・フットボール・カンファレンス(NFC)チャンピオンシップの組み合わせは昨年度のファイナリストであるアトランタ・ファルコンズを15-10で下したフィラデルフィア・イーグルス対ニューオーリンズ・セインツを29-24で破ったミネソタ・バイキングスの対戦となりました。
イーグルスの本拠地リンカーン・ファイナンシャル・フィールドで行われたこの一戦はバイキングスが25ヤードタッチダウンパスで先制を果たすもすぐにイーグルスがタッチダウンを返して同点に。前半のうちにイーグルスがさらに2つのタッチダウンを決めて17点のリードを積み上げました。後半もイーグルスが順調に試合を支配し、その点差は31にまで拡大。38対7でイーグルスがバイキングスを下してNFC王者の座を手にし、スーパーボウル進出を決めました。イーグルスのスーパーボウル進出は2004年以来13年ぶり。3回目のスーパーボウル出場にして初優勝を狙います。
今年のスーパーボウル開催地リンカーン・ファイナンシャル・フィールドを本拠地とするバイキングスは、開催地を本拠地とするチームがスーパーボウルに進出したことがない、いわゆる「スーパーボウルの呪い」を打ち破ることを期待されていましたが、残念ながらその達成目前で散ることとなりました。
優勝オッズは昨年度王者ペイトリオッツ優勢に
【第52回スーパーボウル優勝オッズ】
※オッズは28日午後9時現在
52回目を数える今回のスーパーボウル。ブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」の発表する勝敗オッズは、昨年度チャンピオンのペイトリオッツ勝利が1.510倍、3度目のスーパーボウル進出にして初優勝を狙うイーグルス勝利が2.760倍となりました。
不屈のブレイディが今年もペイトリオッツを王座に導くか
スーパーボウル2連覇まであと一歩となったペイトリオッツ。その中心にいるのはやはりQBのトム・ブレイディでしょう。ヘッドコーチのビル・ベリチックとともに最強ペイトリオッツを築き上げ、実に8度目のスーパーボウル出場となるブレイディも、40歳となった今シーズンはさすが衰えもあり、また強力なチームメイトの離脱などもあって難しい時期を過ごしました。特にこのプレーオフでは、1月17日の練習中に手の甲を数針縫う怪我を負ってしまい、ジャガーズとのAFCチャンピオンシップも出場が危ぶまれていました。
しかし、ブレイディはQBの生命線ともいうべき手の怪我というハンデを持ちつつも試合に出場。リーグ最強のディフェンスを誇るジャガーズを見事打ち砕く活躍を見せています。過酷な逆境もはねのけ、まさに王者に相応しい姿を見せたブレイディ。2003-2004年以来となる、自身2度目のスーパーボウル2連覇達成はもう目の前です。
勝利のカギを握るのは今季救世主となった控えQBか
13年ぶり3度目のスーパーボウル進出を果たしたイーグルス。初優勝に向けて勢いに乗る今季のイーグルスにとって、嬉しい誤算だったのはQBのニック・フォールズの活躍でしょう。元々QBとしてスターティングメンバーに名を連ね、レギュラーシーズンで年間MVP級の活躍を見せていたカーソン・ウェンツがシーズン第14週に膝前十字靭帯を損傷する大怪我を負ってチームを離脱すると、フォールズはその穴を埋めてチームを地区優勝に導きました。
そしてバイキングスと対戦したNFCチャンピオンシップではパス33回中26回を通して352ヤード、3タッチダウンと大活躍を見せ、スーパーボウル出場に大きな貢献をしました。フォールズが現在の調子を維持し、史上最高のQBとも目されるブレイディとのQB対決をフォールズが制することができたなら、フィラデルフィアに初めてNFL優勝杯がもたらされることになるかもしれません。