300年以上の歴史を誇る、欧州競馬界最大の夏イベント。ロイヤルアスコットミーティングが間近に迫ってきました。日本の中央競馬ではまずお目にかかれない5日連続開催。競馬ファンだけでなく国民中が競馬漬けの5日間となります。
レースを観戦する為にはドレスコードを守らなければなりません、最も高額な観戦席の観客を眺めていると、まるで競馬場ではなくパーティー会場のようです。
一風変わったルールとしてイギリス以外の観光客の場合その国の民族衣装を着用することが許可されています。日本で言えば紋付き袴や着物などがその対象となります。
お祭りでもあり、イギリス王室が主催することから、表彰式ではエリザベス女王が自ら関係者に優勝トロフィーを授与する為、大変な名誉を手にすることも出来るロイヤルアスコットミーティング。イギリスだけでなく欧州競馬界において一年で最も特別な5日間といえるでしょう。
そんなロイヤルアスコットミーティング。
まずは行われる主要なG1レースをご紹介しておきます。
<6月20日>
・クイーンアンS
・キングズスタンドS
・セントジェームズパレスS
<6月21日>
・プリンスオブウェールズS
<6月22日>
・アスコットゴールドC
<6月23日>
・コモンウェルスC
・コロネーションS
<6月24日>
・ダイヤモンドジュビリーS
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残念ながら今年、ロイヤルアスコットミーティングに日本から参戦する馬はいませんが、世界トップレベルのビッグレースだけに多くの有力馬が出走を表明しています。
今回はその中から、初日に行われるクイーンアンステークスと、2日目に行われるプリンスオブウェールズステークス。この2レースを中心にご紹介します。
クイーンアンステークス2017
初日の第一競走に行われるのが、ロイヤルアスコット開催を提唱したアン女王の名前を冠したクイーンアンステークス(海外G1、1600㍍・芝)です。1600mの直線距離で争われます。
今年のクイーンアンステークスには欧州トップレベルのマイラーである1頭が大きな注目を集めています。まずはブックメーカー「10Bet」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【クイーンアンステークス2017オッズ】
※17日午前9時現在
1.72倍と断然の一番手評価に支持されているのが、10戦して3着以下なし、G1を2勝している実績を持つリブチェスター(Ribchester)です。
昨年の英国2冠牝馬にしてG1レース7勝の実績を持つマインディング(Minding)に2016年のクイーンエリザベス二世ステークス(海外G1、1600㍍・芝)において半馬身差に迫るなど、実績もさることながら、これまで戦ってきた相手もかなりの強敵ぞろいです。
前走のロッキンジステークス(海外G1、1600㍍・芝)においても、4馬身差をつけての完勝。正に今が一番の絶頂期といえます。
ちなみにこのリブチェスター、昨年のロイヤルアスコットにおいても2日目に開催されたジャージーステークス(海外G3、1400m・芝)に参戦し見事に勝利。2年連続でロイヤルアスコット制覇となるでしょうか。
そんなリブチェスターに続いて5.00倍のオッズに支持されているのが、昨年のクイーンアンステークス3着入線の実績を持っているライトニングスピア(Lightning Spear)。
前走のロッキンジステークスは2着、2016年のクイーンエリザベス二世ステークスでは3着。いつもライトニングスピアの一つ上の着順には必ずと言っていいほどリブチェスターが存在する…。同馬にとっては正に目の上のたんこぶ的な存在と言えます。
その他にも、15戦して3着以下は僅か1回と、高い安定性を誇るムタケイエフ(Mutakayyef)が8.00倍で続いています。
また、クイーンアンステークスもうひとつの見どころとして、オーストラリアのメルボルンカップ(海外G1、3200㍍・芝)を女性騎手として史上初めて制覇したM.ペイン騎手も騎乗予定。大変な話題を呼んでいます。
コンビを組むカスペルスキー(Kaspersky)は67.00倍と低評価ではありますが、世界トップレベルの女性ジョッキーの手腕に期待がかかります。
プリンスオブウェールズステークス2017
日本の競馬ファンにとってロイヤルアスコットミーティングのなかで一番なじみ深いのはこのプリンスオブウェールズではないでしょうか。
昨年は僅か6頭立てではありましたが、日本からフランスのイスパーン賞を圧勝したエイシンヒカリが参戦していたこともあり非常に注目を集めていたことは、記憶に新しいかもしれません。しかし結果は6着と奮いませんでした。
【プリンスオブウェールズステークス2016(勝ち馬:My Dream Boat)】
昨年とは打って変わって今年はかなりの頭数が参戦予定のプリンスオブウェールズ。こちらもまずはブックメーカー「10Bet」から発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【プリンスオブウェールズ2017オッズ】
※オッズは17日午前9時現在
上位陣3頭は中々に混戦模様となっています、1頭ずつご紹介していきましょう。
3.75倍で1番手評価となっているのは、昨年のアイルランドダービー(海外G1、2400㍍・芝)や、今年のドバイシーマクラシック(海外G1、2410㍍・芝)など、各国の名だたるG1レースを制したジャックホッブス(Jack Hobbs)。
昨年のイギリスダービーにおいては、2冠馬ゴールデンホーンの後塵を拝する2着となっていましたが、3着以下には4馬身以上を付けるレース内容で、将来を嘱望されている存在でした。
競走中止を除けば3着以下になったことのない同馬ではありますが、逆にG1において勝利したことがあるのは2400m戦以上のみ。2000mのプリンスオブウェールズ、加えて3月以来となる実戦で、どこまで実力を発揮することができるでしょうか。
実績面を考えるならこの馬を忘れてはいけません。世界各国のG1レースに参戦し、これまで4勝を挙げているハイランドリール(Highland Reel)。4.00倍ちょうどのオッズとなっています。
香港、イギリス、アメリカの3か国でG1を勝利。更に昨年7月から12月までの半年間に5か国、6レースをこなし、キングジョージⅥ&QES(海外G1、2400㍍・芝)やブリーダーズカップターフ(海外G1、2400㍍・芝)などを制した、超タフホースです。
今シーズンも、前走のコロネーションカップ(海外G1、約2400㍍・芝)を見事に勝利しましたが、ジャックホッブスと同様にこちらも2000mへの適性面にやや疑問が残ります。
そんなハイランドリールを抑えてジャックホッブスと並ぶ評価となる3.75倍を付けられたのが、父ガリレオ、母はイギリスオークスを制したライトシフトという血統背景を持つユリシーズ(Ulysses)です。
昨年のイギリスダービーでは12着と大敗、しかし秋のブリーダーズカップターフでは4着と好走し、大器の片鱗をみせていました。
そして今年、ゴードンリチャーズステークス(G3、2000㍍・芝)を勝利。手綱を取っていた日本で短期騎乗経験もあるA.アッゼニ騎手の口からも「今年は別の馬のように見違えている、精神面も成熟した」と、成長に確かな手ごたえを感じるコメント。
先に紹介した2頭が実績こそありながらも距離不安を抱える中で、勢いや良血度を高く評価されたのがこのユリシーズといえるでしょう。
その他の有力馬としては、今年4戦3勝、G1を2勝しているデコレイテッドナイト(Decorated Knight)が9.50倍でやや離れた四番手評価。イスパーン賞(海外G1、1800㍍・芝)を制したメクタール(Mekhtaal)が11.00倍で続いています。
また、昨年の覇者であるマイドリームボート(My Dream Boat)は、同レース以降勝ち星に見放されていることもあり17.00倍と中穴評価にとどまっています。
その他の注目レースとしては、初日に欧州3歳マイル最強馬決定戦と言われるセントジェームズパレスステークス(海外G1、1600㍍・芝)が行われます。
UAEダービーにおいてエピカリスをハナ差下したサンダースノー(Thunder Snow)や、今年の愛英両ギニーを制したチャーチル(Churchill)が参戦を予定しています。こちらも是非ご注目ください。
クイーンアンステークス、セントジェームズパレスステークスは20日に、プリンスオブウェールズステークスは21日にそれぞれ開催を予定しています。
世界競馬の中でも最も熱い5日間をぜひお楽しみください。