夏競馬が終わり、いよいよ国内競馬も年末の有馬記念まで続く秋冬のG1ラッシュがスタートします。その口火を切るのが中山競馬場で行われる電撃の6ハロン戦スプリンターズステークス(G1、1200㍍・芝)です。
スプリンターズステークスの予想をする前に抑えておきたいのが、中山1200m戦は日本で施行されているレースの中でもかなりのトリッキーコースであるという点。
外回りの向こう正面に入った坂の頂上部分からスタートし、最初の緩いコーナーを曲がりつつ、坂を下り、スピードが乗った状態で短い直線を迎えるコース体系となっています。
この点だけ考えると完全に「内枠先行」が有利に思えるのですが、最後の最後に中山名物の急坂が待ち受けていることもありオーバーペースで直線を迎えれば脚がバッタリと止まってしまうこともあります。
ちなみに昨年のスプリンターズステークスは差し馬であるレッドファルクスに軍配が上がりましたが、わずかな差で2着に入線したのがレースを引っ張っていたミッキーアイルでした。
【スプリンターズステークス2016(勝ち馬:レッドファルクス)】
それだけに、出走馬の「中山コース適性」に加えて、手綱を取るジョッキーがどれだけ中山コースを熟知しているかという点も、調子面や実績面に加えて予想しなくてはならない重要なファクターです。
例年、混戦模様と言われ続けている国内短距離路線。ブックメーカーサイドはどのようにジャッジを下しているのか、まずは「bet365」で発表されているオッズをご確認いただきましょう。
【スプリンターズステークス2017単勝オッズ】
※オッズは27日午後6時現在
<スプリンターズS2017最新オッズ情報(bet365発表)>
オッズ上で圧倒的に注目されているのが昨年の覇者レッドファルクス(2.75倍)です。
春のスプリント王決定戦である高松宮記念(G1、1200㍍・芝)では3着と好走どまりも、その後安田記念(G1、1600㍍・芝)においても3着と、主戦場ではないマイル路線でも結果を残し、改めて実力の高さを見せつける結果となりました。
鞍上のM.デムーロ騎手とも7戦4勝3着2回と相性も抜群。コース実績も昨年同レースを制していることから問題ないと考えられますが、唯一気にかかるのが安田記念からの休み明けで本番を迎える点。
休み明けが苦手な馬ではありませんが、6歳と決して若い馬ではないだけに初戦からどれほどのパフォーマンスを発揮できるでしょうか。
高松宮記念においてレッドファルクスを破ったのが4歳馬セイウンコウセイ(7.00倍)
未勝利脱出まで7戦を要した同馬が、そこからわずか半年ほどでG1ウィナーとなったその成長力の高さやドラマ性は目を引くものがあります。
ですが、6月に行われた函館スプリントステークス(G3、1200㍍・芝)において1番人気に推されながらも結果は0.5秒差の4着と完敗。
そしてその敗戦から間を挟まずスプリンターズステークスへ直行するローテーションとなったことなど、不安材料が多々見受けられるのも事実と言えるでしょう。
高松宮記念におけるセイウンコウセイのような存在がダイアナヘイロー(7.50倍)。
名手武豊騎手を背に条件戦から前走の北九州記念(G3、1200㍍・芝)まで一気に4連勝を上げG1の舞台に挑むこととなります。
同馬にとって最大のポイントとなるのは冒頭でもお伝えした通り中山1200mというコース体系が初めてであるという点。果たして勢いそのままにトリッキーコース攻略となるでしょうか。
一方、実力こそありながらも苦しみ続けているのが2016年の高松宮記念馬にしてスプリンターズステークス圧倒的1番人気に推されていたビッグアーサー(8.00倍)。
しかし、昨年の結果は良いところなく12着。続いて迎えた香港スプリント(海外G1、1200㍍・芝)においても10着と2戦連続でその力を発揮するに至りませんでした。
更に、復帰戦として目指していたセントウルステークス(G2、1200㍍・芝)も左前脚痛のため回避。その後の調教面も決して順調とは言えない為、地力でどこまで戦えるかといったところでしょう。
もう1頭、近走こそ奮わないものの「中山1200m」という条件であれば見逃したくないのがメグラーナ(6.50倍)。
ここまで中山1200m戦は3戦3勝と抜群の成績。ほかの有力出走馬の中山適性が未知数な中でこのデータは非常に魅力的に映ります。
確固たる主役と呼べる馬が居ないのであれば、不気味に思えるのは海外からの遠征馬。今年は香港より6歳のセン馬であるブリザード(34.00倍)が遠征してきます。
思えば、2015年の高松宮記念においても人気上位5頭が単勝オッズ1ケタ台と混戦模様だった中、香港所属のエアロヴェロシティの勝利が記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。
香港スプリントを制した実績を持つエアロヴェロシティと、G3レベルのブリザードでは確かに文字通り格が違うかもしれません。
ですが、ブリザードを管理するイウ・プーンファイ調教師は2010年に同じくスプリンターズステークスにおいてウルトラファンタジーを送り込み、10番人気ながらに勝利を収めた調教師。
こういった側面から考えると、今回の積極的な遠征にもやはり勝算があってのことかもしれません。
その他の注目馬としては、ステップアップレースであるセントウルステークスを制したファインニードル(13.00倍)。しかし、今年はややメンバーが小粒であったことや、主戦であるM.デムーロ騎手を配すことが出来ないといった点から、やや低めの評価となっています。
その他にも、2015年の桜花賞馬であり、今年の高松宮記念において2着に入線したレッツゴードンキ(10.00倍)や、重賞2勝の実績を誇るダンスディレクター(11.00倍)などが出走を予定しています。
春に引き続いてやはり混戦模様のスプリント路線。果たして制するのはどの馬か?
スプリンターズステークスは10月1日(日)の午後3時40分発走予定です。