いよいよ、春のG1シーズンも終盤戦。今週末には3歳牝馬三冠レースの2戦目となる樫の女王決定戦、第79回オークス(G1、2400㍍・芝)が東京競馬場で開催されます。
第一冠目となる桜花賞(G1、1600㍍・芝)は、無敗の2歳女王ラッキーライラックに注目が集まりましたが、最後方付近からレースを進めた2番人気のアーモンドアイが見事に勝利する結果となりました。
【桜花賞2018(勝ち馬:アーモンドアイ)】
レースをご覧いただくとお分かりいただけるように、一目見て「強い」と思わされる圧巻のレース。
ですがご存知の方も多いとおり、桜花賞からオークスは競馬場が阪神から東京へ移るだけでなく、距離もマイルからクラシックディスタンスに替わり、800m延長となります。
その為、一概に「桜花賞の結果がそのまま直結する」ともいえないのが特徴です。今回はそんな「距離適正」についても見解を交えながら出走各馬のご紹介をしていきたいと思います。
【オークス2018枠順】
1-1 リリーノーブル(牝3、川田将雅・藤岡健一)
1-2 ラッキーライラック(牝3、石橋脩・松永幹夫)
2-3 マウレア(牝3、武豊・手塚貴久)
2-4 トーセンブレス(牝3、柴田善臣・加藤征弘)
3-5 カンタービレ(牝3、田辺裕信・角居勝彦)
3-6 オールフォーラヴ(牝3、和田竜二・中内田充正)
4-7 トーホウアルテミス(牝3、松若風馬・谷潔)
4-8 サトノワルキューレ(牝3、M.デムーロ・角居勝彦)
5-9 シスターフラッグ(牝3、岩田康誠・西村真幸)
5-10 レッドサクヤ(牝3、福永祐一・藤原英昭)
6-11 パイオニアバイオ(牝3、北村宏司・牧光二)
6-12 サヤカチャン(牝3、松岡正海・田所秀孝)
7-13 アーモンドアイ(牝3、C.ルメール・国枝栄)
7-14 ランドネ(牝3、内田博幸・角居勝彦)
7-15 ウスベニノキミ(牝3、三浦皇成・鈴木孝志)
8-16 ウインラナキラ(牝3、大野拓弥・宮徹)
8-17 ロサグラウカ(牝3、戸崎圭太・尾関知人)
8-18 オハナ(牝3、藤岡康太・堀宣行)
※17日午後3時30分更新
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【オークス2018オッズ】
※「ウィリアムヒル」が19日発表、同日午後9時30分更新
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今年のオークスは「とある3頭」に注目が集まることとなりました。
まずは桜の女王、アーモンドアイ。
シンザン記念(G3、1600㍍・芝)でのレースパフォーマンスは誰しもが認めるところでしたが、間隔のあくことや、ローテーションとしてはあまり一般的ではないシンザン記念から直行と言う選択、レースメンバーがその後あまり活躍していなかったことから、対抗どまりの評価となっていた桜花賞当日。
しかし結果は道中ほぼ最後方からレースを進め、最後の直線では1頭別次元の末脚を繰り出し勝利。2着入線のラッキーライラックもほぼ完璧な競馬をしていたにもかかわらずこの結果。相当な能力を秘めていると考えられます。
実力は本物といえるでしょう。しかし、アーモンドアイで気になるのはやはりその血統面。
母であるフサイチパンドラはオークスでも2着入線の経験がある中長距離向けの血統ですが、父であるロードカナロアはご存知のとおり短距離王。やはり産駒たちにもそのスピード能力が色濃く受け継がれており、2000m以上ではあまり良い結果を残せていません。
それでも鞍上のC.ルメール騎手からは「去年(ソウルスターリング、オークス優勝)よりも自信がある」と言ったコメントが飛び出すほど自信満々。
その末脚は距離が伸びた2400mの府中も豪快に差しきってしまうのでしょうか。
一方で雪辱に燃えるのが2歳女王ラッキーライラック。
「無敗の絶対的女王」として迎えた桜花賞は、同馬の持ち味をしっかりと活かし、ほぼ完璧な内容で直線を迎えるも、ラスト1ハロンでアーモンドアイの強襲に遭い敗れ去ることとなりました。
そして迎えるオークス。父であるオルフェーヴルはクラシック三冠馬。母であるライラックスアンドレースの子は中長距離で活躍。血統面で言えばアーモンドアイよりもラッキーライラックのほうが向いているのではないかと言うのが一般的な見解と言えるでしょう。
この点は陣営も同じようであり、もともと「オークス向き」と考えていたようで、このことは凱旋門賞へ現時点で登録を行っていることからも伺えます。更なる大舞台へ挑戦をするためにも、ここで2度目の敗北を喫することはなんとしても避けたいところでしょう。
桜花賞組で大きな注目を集めているのは上記の2頭。両頭負けず劣らずの実力の持ち主と言えますがが、ここに「この2頭と同等か、それ以上の素質を秘めている」とまで言われる女王候補が現れました。
それが、トライアルレースであるフローラステークス(G2、2000㍍・芝)を制したディープインパクト産駒、サトノワルキューレです。
ここまで4戦3勝で2着が一度。その2着も直線で不利があってのことであり、負けてなお強と言ったところでしょう。
前走のフローラステークスも前残りの中1頭鋭く差し込む非常に良い内容の競馬でしたが、加えて注目したいのが前々走勝利したゆきやなぎ賞です。
開催場こそ違えど距離は2400mとオークスと同一条件。さらにその際の2着入線馬、エタリオウが先日のダービートライアル青葉賞(G2、2400㍍・芝)においても2着に入線した結果を受け、さらに評価が上がることとなりました。
オークスを迎えるにあたって上位2頭のみならず多くの陣営が抱える「距離不安」ですが、過去4戦のうち2戦で2400mを戦い抜いてきたサトノワルキューレはむしろ「距離歓迎」といえます。
そして鞍上には今年のクラシックややいいところ見せられていないM.デムーロ騎手。
急成長の1頭に、G1にはめっぽう強い名手が跨るとなれば、これほど怖い存在もいません。やはりノーマークというわけにはいかないでしょう。
上位3頭以外で注目したいのは、やはり桜花賞上位組。
3着入線のリリーノーブルはここまで5戦して3着以下が一度もなしの安定した戦績を残している1頭。
こちらもここまで1600m戦のみを使い続けてきたため、距離的には未知数ですが、父であるルーラーシップ産駒には菊花賞(G1、3000㍍・芝)を制したキセキをはじめどちらかと言えば中距離よりでの活躍馬が多いため、リリーノーブルにも期待が集まります。
桜花賞で4着入線のトーセンブレス、そして5着入線のマウレア。さらに、フラワーカップ(G3、1800㍍・芝)勝利から直行ローテで挑むカンタービレや、忘れな草賞(OP、2000㍍・芝)を制したオールフォーラヴといった「ディープインパクト産駒」達も粒ぞろい。
産駒の総大将的な存在はやはりサトノワルキューレではありますが、ディープインパクト産駒は2週連続東京G1勝利中ということもあり、これらの出走馬にも要注目です。
図らずとも新興種牡馬VSディープインパクトという構図となった今年のオークス。
勝つのは果たして。
オークスは5月20日(日)、15時40分発走予定となっています。