世界最古にして、もっとも格式の高いゴルフ・トーナメント、全英オープン。今年もその時がいよいよやってきました。2018年の全英オープンは7月19日(木)に始まり、22日(日)に決着の時を迎えます。
世界で最も厳しく難しい戦いを乗り越え、綿々と続くその伝統に自らの名を刻みこむのはどのゴルファーとなるのでしょうか。ブックメーカー「Pinnacle(ピナクル)」がその優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
2018年は世界一難しい伝統のコースが選手を待ち受ける
2018年の全英オープン開催コースは過去に7回全米オープンを開催した名門コースであるスコットランドのカーヌスティゴルフリンクス・チャンピオンシップコースとなりました。全英オープンは2007年以来の開催となります。
オープンは1850年。全英オープンの創設以前よりも存在するゴルフコースということになります。全英オープンを開催するコースの条件に則り、このコースも自然の形そのままに活かした厳しいリンクスコースとなっています。
このコースは世界のゴルフコースでも5本の指に入るほどの難易度であるとされ、1968年にこのコースで全英オープンを制したゲーリー・プレーヤー(男子ツアー史上3人目のキャリア・グランドスラム達成者)が「世界一難しいコース」と評したほどとされています。
1999年には最終日18番ホールで2位に3打差をつけていたジャン・ヴァン・デ・ヴェルデがまさかの6オン1パットのトリプルボギーを叩き、大逆転負けを喫した「カーヌスティの悲劇」の舞台ともなっています。
2017年はスピースがメジャー3冠を達成し、ニクラスの記録に並ぶ
イングランドのロイヤルバークデールゴルフクラブで開催された2017年大会を制したのはアメリカのジョーダン・スピース。これで2015年のマスターズと全米オープンに続いてメジャー3冠目となり、キャリア・グランドスラムに王手をかけました。
初日から首位を快走したスピースでしたが、最終日は苦難に見舞われることに。2位のマット・クーチャーに3打差でスタートしたものの、4番ホールで早くも追いつかれ、そして13番ホールでは1打差を追いかける展開となりました。
しかし、ここからがスピースの真骨頂。14番ホールでバーディーを取るとイーグル、バーディー、バーディーと猛チャージし、最終的にクーチャーに3打差をつけて勝利を収めています。
なお当時23歳のスピースは、かの”帝王”ジャック・ニクラスに続き、24歳以下でメジャー3冠を達成した史上2人目の選手となる快挙も達成しています。
ジョンソンとマキロイの2選手が優勝オッズのトップに立つ
【全英オープン2018優勝オッズ】
※オッズは16日午前8時現在
<ピナクル 登録方法>
ブックメーカー「ピナクル」のオッズで優勝最有力となったのはダスティン・ジョンソンで12.900倍となりました。
2番手にはローリー・マキロイでオッズは15.910倍となりました。続く3番手は16.490倍でリッキー・ファウラー。そして4番手にヘンリク・ステンソンで16.700倍、5番手にジョーダン・スピースで18.780倍、6番手にジャスティン・ローズで19.750倍。
さらには、7番手にジャスティン・トーマスで21.200倍、8番手にブルックス・ケプカで21.380倍、9番手にトミー・フリートウッドで21.650倍、10番手にジョン・ラームで23.500倍となっています。
その他タイガー・ウッズが26.850倍、松山英樹が41.930倍となりました。
稀代の飛ばし屋DJが伝説の仲間入りを目指す
2017年の2月に初の世界ランキング1位を獲得して以降、1年以上に渡ってそれを維持していたジョンソン。今年5月には一度ジャスティン・トーマスに抜かれてしまいましたが、4週間後に再びその座を奪い返しています。
34歳となった今も持ち前のビッグドライブは健在で、今年1月のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ(ハワイ)では433ヤードのパー4をホールインワンしてしまいそうになったほどです。
今年6月の全米オープンでは首位と2打差の3位と、優勝はならなかったものの調子の良さを見せました。
世界ランキング1位の座を長く保持しているジョンソンですが、これまでに制覇したメジャー大会は2016年の全米オープンのみ。
過去に世界ランキング1位を1年以上保持したのはタイガー・ウッズ、グレッグ・ノーマン、ニック・ファルド、ローリー・マキロイの4人だけで全員複数回のメジャー制覇を果たしています。ジョンソンは歴史に残る偉大な4人のゴルファーに続く存在となれるでしょうか。
若きスペインの新星が世界最高の舞台制覇に挑戦する
現在世界ランキング5位、世界トップ40まで計算に入れても最年少となる23歳のスペインの新星、それがジョン・ラームです。今季はすでに2勝を挙げ、マスターズでも4位入賞。今大会の優勝争いのダークホースにも頻繁に名前が挙がっており、今一番勢いのある若手といえるでしょう。
188㎝、100㎏の堂々たる体躯から生まれる抜群の飛距離に加え、穴がないと評される小技を備えているラーム。その唯一の弱点は精神的な「切れやすさ」でした。トラブルからスコアを崩すことも多く、その修正の必要性がしばしば指摘されていました。
しかし2018年に入ってからはその傾向にも改善が見られ、ミスを犯してもすぐに立て直して挽回する精神的な成長が見られるとされています。
順調な成長を続けている新星が世界最高の舞台でその実力を発揮し、さらなる高みに足を踏み入れていくところを見たいものです。
初の全英制覇へ、今年の松山は一味違う
自身初のメジャー制覇を狙う松山。全英オープンでは2013年の6位が最高と、4大メジャーの中でも一番苦手としている大会です(2017年全米2位、2016年PGA選手権4位、2015年マスターズ5位)。
しかし、今年の松山は一味違います。全英オープン開催数週間前にすでにスコットランド入りし、その特殊な気候やリンクスコースへの対応に着手。12日からは全英前哨戦とされる欧州ツアーのスコットランド・オープンに参加しています。
その前週には全英オープン開催コースのカーヌスティでもラウンド。全英仕様となっている開催コースの感触をつかみました。
松山は全英オープンに向けて準備万端といったところでしょう。悲願のメジャー制覇となるでしょうか。