12月と言えば日本競馬会は注目レースが目白押し。2歳G1両レースや、有馬記念など、毎週末が楽しみな1か月ですが、こちらも忘れてはなりません。日本競馬の冬の風物詩ともなった『香港国際競走』が今年も目前に迫ってきました。
まずは、今年の日本遠征馬9頭をご紹介しておきましょう。
◆香港カップ(海外G1、2000㍍・芝)
サングレーザー
ステファノス
ディアドラ
◆香港マイル(海外G1、1600㍍・芝)
ヴィブロス
ペルシアンナイト
モズアスコット
◆香港スプリント(海外G1、1200㍍・芝)
ファインニードル
◆香港ヴァーズ(海外G1、2400㍍・芝)
クロコスミア
リスグラシュー
※11月30日現在
どのレースにも日本のG1馬が出走予定という非常に豪華な遠征メンバーとなった今年の香港国際競走。その中から今回は日本遠征馬の多い香港マイル、香港カップの2レースをご紹介します。
香港マイル2018
比較的遠征馬が多い香港マイルですが、ここ10年間で地元の香港馬が9勝と圧倒的。さすがは世界屈指のスピード競馬大国といったところですが、唯一1勝を挙げている遠征組は日本馬。そして今年の遠征メンバーを考えれば、チャンスは十二分にあるでしょう。
そんな一戦に対し、ブックメーカー「NetBet」はどんなジャッジを下したのか、まずはオッズをご確認いただいてから注目各馬のご紹介に移りましょう。
【香港マイル2018オッズ】
※オッズは3日午前9時現在
<NetBet 登録方法>
1.80倍で圧倒的一番手評価を受けたのは地元香港のビューティージェネレーション(Beauty Generation)。
昨年の香港マイルを含めてこれまでG1レースを3勝している実績はもちろんのこと、今年は現在4連勝中と昨年以上の充実度と、実力の違いをみせつけています。それだけに、ここを制せば香港トップマイラーとしての地位を手中に収めることになるでしょう。
そんな香港王者に挑むのが日本の一流マイラーたち。
2017年のマイルチャンピオンシップ(G1、1600㍍・芝)覇者にして、今年は惜しくも2着に敗れたペルシアンナイト(Persian Knight)。8.00倍はビューティージェネレーションからはやや離されながらも2番手の評価となります。
実績は十分。気になるのは「マイルチャンピオンシップから中2週にくわえ、香港への輸送」と、ややタイトなスケジュールとなる点。この部分に関しては、ペルシアンナイト陣営から「使いつつよくなるタイプなので問題はない」とのコメント。
これまでの成績を鑑みても間隔が空くよりもむしろ狭まるほうが好成績を残しているだけに、輸送の部分さえクリアすればよい状態でレースを迎えることが出来るでしょう。
一方、春のマイル王決定戦である安田記念(G1、1600㍍・芝)を制しながらも、マイルチャンピオンシップでは13着と非常に不本意な成績に終わったモズアスコット(Mozu Ascot)。こちらもオッズ上はペルシアンナイトと僅差の8.50倍となっています。
1番人気に推されながらも敗れた前走は直線入り口でカットされる大幅な不利。レース後に鞍上のC.ルメール騎手も「落ちそうになるほどだった」と語っていただけに、度外視してよい1戦だったといえるでしょう。
近走は中団やや後ろから末脚を活かす競馬で結果を残しているモズアスコットですが、今年4月のマイラーズカップ(G2、1600㍍・芝)では2番手につけて2着入線と、自在性もこの馬にとっての強みといえるでしょう。今回こそは万全のレースを見せてほしいところです。
また、ペルシアンナイトと同じく中2週で挑むことに関しては、連闘策で安田記念を制した実績のあるモズアスコットにとってその時の経験を活かす部分となりそうです。
欧州からの遠征勢もご紹介しましょう。今年のフォレ賞(海外G1、1400㍍・芝)を11番人気ながらに制したイギリスのワンマスター(One Master)。
好成績は1500mまでに集中していますが、初のマイル戦となった前走のブリーダーズカップマイル(海外G1、1600㍍・芝)において5着。この結果を「マイルは向いていない」とみるか「アメリカへの遠征と初マイルでこの結果であれば評価できる」とみるのかやや評価が難しい馬と言えるでしょう。
もう1頭の注目馬はフランスからの遠征馬インズオブコート(Inns Of Court)。
前走は決していいコンディションではない馬場状態で4着。それでも陣営は「香港マイルに向けて一叩きしたかったから結果じゃない」と、あくまで臨戦過程の一部だったことを強調していました。
同馬の管理するのはフランスの名伯楽A.ファーブル陣営。
香港ヴァーズにはヴァルトガイストも出走予定であり、メディア的な関心はヴァルトガイストに集まりがちですが、インズオブコートにも大きな期待をかけているファーブル調教師。フランスに手ぶらでは帰れないことでしょう。
その他、日本のヴィブロス(Vivlos)も出走予定。近走はやや下がり調子ということもありオッズは21.00倍とやや高めですが、ドバイで勝利を挙げているように海外遠征には滅法強い馬ということを考えれば、一発も十分にあり得るのが楽しみな1頭です。
香港カップ2018
日本の一流中距離馬も多く出走する香港カップ。今年は例年以上に日本馬が注目されることとなりました。まずはこちらも「NetBet」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
評価を集める日本馬の一頭がサングレーザー(Sungrazer)。3.00倍はわずかではありますが一番手の評価となっています。
天皇賞・秋(G1、2000㍍・芝)では距離不安をささやく声や-12キロという馬体重を心配する声もありながら、それを払拭するかのように2着の結果。陣営としても自信をもって今回の香港カップに挑めることでしょう。
鞍上も引き続いてのJ.モレイラ騎手。状態面も、前走で大幅に減った身体を戻しつつもしっかりこなすなど上向き。最大限のパフォーマンスを発揮できる下地が整っています。
3.75倍の二番手評価を下されたのも日本馬ディアドラ(Deirdre)。この秋冬の日本競馬において、この馬がどんな成績を残すのか心待ちにしていたファンも多いのではないでしょうか。
アイルランド府中牝馬(G2、1800㍍・芝)で見せた圧倒的なレース後、当初は中1週で天皇賞・秋に出走するプランや、エリザベス女王杯に出走するという選択肢もありましたが、それらすべて回避をして香港カップへ集中することに。
主戦のC.ルメール騎手の騎乗馬の関係もあっての選択であることは競馬ファンにも知れている「大人の事情」ではありますが、そんな事情も吹き飛ばすような好レースを期待したいところです。
地元香港はワーザー(Werther)が5.50倍で一番手評価。今年の宝塚記念(G1、2200㍍・芝)において2着と激走したことから、その馬名を覚えている日本の競馬ファンも多いのではないでしょうか。
宝塚記念後は思った以上に成績を伸ばすことが出来ていないものの、昨年2着入線の実績があることや、冬場に良績を残しているだけに日本馬たちにとっての天敵となりえるだけの存在です。
その他、昨年の香港カップ覇者であるタイムワープ(Time Warp)が7.00倍。5度目の香港遠征となる日本馬のステファノス(Staphanos)は17.00倍となっています。
4レースすべて熱戦が期待できる香港国際競走は、12月9日日曜日に開催されます。