名牝の誕生を感じさせるのに十分な、衝撃的レースを見せたアーモンドアイの二冠達成。そしていよいよ今週末は3歳牡馬の王者決定戦、日本ダービー(G1、2400㍍・芝)が開催されます。
一冠目である皐月賞(G1、2000㍍・芝)は、戦前から圧倒的な支持を受けると目されていたダノンプレミアムが怪我で回避。一気に混戦ムードとなりました。
そしていざふたを開けてみれば7番人気のエポカドーロが勝利。3連単も10万円オーバーとやはり一筋縄ではいかない結果となりました。
【皐月賞2018(勝ち馬:エポカドーロ)】
全体的に前残りで決着した皐月賞。しかしこの結果も「もしもダノンプレミアムがいれば全く違ったものになっただろう」と多くのファンが考えていたことに違いないでしょう。
【日本ダービー2018枠順】
1-1 ダノンプレミアム(牡3、川田将雅・中内田充正)
1-2 タイムフライヤー(牡3、内田博幸・松田国英)
2-3 テーオーエナジー(牡3、藤岡康太・宮徹)
2-4 アドマイヤアルバ(牡3、丸山元気・須貝尚介)
3-5 キタノコマンドール(牡3、M.デムーロ・池江泰寿)
3-6 ゴーフォザサミット(牡3、蛯名正義・藤沢和雄)
4-7 コズミックフォース(牡3、石橋脩・国枝栄)
4-8 ブラストワンピース(牡3、池添謙一・大竹正博)
5-9 オウケンムーン(牡3、北村宏司・国枝栄)
5-10 ステイフーリッシュ(牡3、横山典弘・矢作芳人)
6-11 ジャンダルム(牡3、武豊・池江泰寿)
6-12 エポカドーロ(牡3、戸崎圭太・藤原英昭)
7-13 グレイル(牡3、岩田康誠・野中賢二)
7-14 エタリオウ(牡3、H.ボウマン・友道康夫)
7-15 ステルヴィオ(牡3、C.ルメール・木村哲也)
8-16 ジェネラーレウーノ(牡3、田辺裕信・矢野英一)
8-17 ワグネリアン(牡3、福永祐一・友道康夫)
8-18 サンリヴァル(牡3、浜中俊・藤岡健一)
※24日午後2時30分更新
ようやく、役者がそろうこととなる日本ダービー。はたして制するのはどの馬なのか、有力出走馬のご紹介へ移る前にまずはブックメーカー「William Hill(ウィリアムヒル)」が発表しているオッズをご確認いただきましょう。
【日本ダービー2018オッズ】
※「ウィリアムヒル」26日発表、同日午後9時更新
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この馬なしでは今年の3歳クラシックを語ることはできません。
2歳王者にしていまだ無敗のダノンプレミアム。
圧倒的一番人気であろうと予想されていた皐月賞はアクシデントでまさかの回避。軽度とはいえ怪我明けであり、間隔が空いた状態で日本ダービーへと挑むこととなりますが、それでもファンからは根強く「世代最強」という声が上がっています。
これまでのレースぶりは規格外。必ず最後は勝利を手にするその展開不問の好位抜け出しは、急逝したテイエムオペラオーをほうふつとさせる強さを感じます。
状態面も陣営からは「ここまでは順調」と、3か月ぶりというローテーションを感じさせない落ち着いたコメント。ディープインパクト以来となる「無敗のダービー馬」誕生に期待がかかります。
しかし、王者不在の弥生賞以降にしのぎを削り続けてきたほかのライバルたちも負けず劣らずの強敵ぞろい。
まずは皐月賞を制したエポカドーロの存在を忘れてはならないでしょう。
皐月賞は前残りとなった展開に助けられた面も確かにありますが、それでもその皐月賞を含め5戦3勝複勝圏内100%と実力は確か。敗れはしたものの同じオルフェーヴル産駒であるラッキーライラックが同条件のオークスで3着に入線など、決して侮れない一頭です。
更に要注意な点としてはやはり、今年絶好調の藤原英昭厩舎が管理しているという点。
今年、ここまで34勝。2位以下が20勝前後であることを考えると、ダントツの厩舎成績をたたき出しています。厩舎が好調ということはそれだけ管理する馬の状態面が良いということ、実のある調教を積むことが出来ていることでしょう。
同調教師が管理していたダービー馬、エイシンフラッシュも皐月賞3着と好成績だったにもかかわらずダービーでは7番人気と低評価。それを覆しての勝利。正に「ダービーの勝ち方」を知っている陣営だけに要注意といったところでしょう。
やや心配な陣営が皐月賞2着のサンリヴァル。こちらは馬ではなく人にアクシデントが発生します。
藤岡調教師と息子である藤岡祐介騎手とのコンビで挑んだ皐月賞で好走を果たすも、藤岡騎手が騎乗停止でダービーに騎乗できない事態に。代わりに白羽の矢が立ったのが浜中俊騎手。
かつてはリーディング3位に輝いていた名騎手も、近年では勝ち星が半減。しかし20日の京都開催では後半6Rを6戦3勝3着2回、4着1回と絶好調。勢いそのままに2009年以来の牡馬クラシック制覇を狙いたいところでしょう。
皐月賞では惜しくも結果を残せなかったものの、潜在能力上位とうたわれるのはワグネリアン、ステルヴィオの2頭でしょう。
その勝負服やレーススタイルから「ディープインパクトの再来」と呼ばれているワグネリアン。
トライアルの弥生賞ではとどかずの2着。加えて、もっかのライバルであったダノンプレミアムが出走を回避したことから一気に有力候補に押し上げられた皐月賞7着と、実力を出し切れているとは考えづらい結果。
しかし前走の後に鞍上の福永騎手は「なかなかコーナーで加速がつかなかった」と冷静に敗因を分析。弥生賞時にも坂を苦にしたとのコメントもあり、中山競馬場自体があまり得意ではなかったという見方も強く、重賞勝利を挙げた東京競馬場で開催されるダービーでは巻き返しを誓います。
そんなワグネリアンを凌ぐ末脚を持っているのが皐月賞4着入線のステルヴィオ。
どんな条件、どんな競馬場においても必ず終いには確実に伸びてくる脚はやはり要注意。鞍上がアーモンドアイで見事なレースを見せたC.ルメールとなれば、尚のことでしょう。
そのステルヴィオと同じ上がりで差し込んできたキタノコマンドールも、良血、名門、名手、すべての要素がそろった豪華絢爛ホースだけに大一番で開花という可能性も十二分にあり得るでしょう。
皐月賞組以外で注目を集めるのが3戦3勝の無敗で毎日杯(G3、1800㍍・芝)を勝利したブラストワンピース。
毎日杯では着差以上に強い競馬を見せての完勝。
その完勝した相手であるギベオンがNHKマイルカップ(G1、1600㍍・芝)において勝ち馬のケイアイノーテックとタイム差なしの2着。という事実を考えれば、ブラストワンピースに対する期待の高さ、そして潜在能力に期待が持てることの証明といえます。
今年のダービーは「出走賞金ボーダー」が非常に高いことで、戦前からかなりのハイレベルな一戦が期待されています。
果たして、全3歳馬の頂点に立つのはどの馬か。
日本ダービーは5月27日午後3時40分発走予定です。