赤いクレーコートに世界最高の選手たちが集うグランドスラムの一角、全仏オープンがまもなく開催されようとしています。5月27日(日)にスタートし、6月10日(日)に幕を下ろすこの世界最高峰の戦いを制するのはどの選手となるのでしょうか?
ブックメーカー「10Bet」がその優勝オッズを発表していますので、その数字を参考に大会展望をご紹介していきます。
昨年度男子はナダルが前人未到のV10を達成
2017年の全仏オープン決勝は過去9回優勝を果たしている全仏の帝王ラファエル・ナダルと、2015年にそのナダルの全仏6連覇を阻んだスタン・ワウリンカという因縁の対決となりました。
ナダルはベスト8で同じスペイン人のパブロ・カレーニョ・ブスタ、準決勝でドミニク・ティエムをストレートで下し、決勝へ進出。ワウリンカはマリン・チリッチをストレートで下したのち準決勝では前回準優勝のアンディ・マリーを相手にフルセットの死闘を展開しました。
迎える決勝では、クレーコート史上最強とも謳われるナダルがその実力を発揮。ワウリンカをこれまたストレートで下し、全仏のみならずグランドスラム史上初となるV10(ラ・デシマ)を達成しています。
昨年度女子はノーシードが史上初の全仏制覇
女子の決勝は2014年以来2度目の全仏決勝の舞台に臨むシモーナ・ハレプと、ノーシードから勝ち進んだ弱冠19歳の新星エレナ・オスタペンコの対戦となりました。ハレプはベスト8でエリナ・スビトリナ、準決勝でカロリーナ・プリスコバを破っての決勝進出。オスタペンコはベスト8で世界ランキング1位のキャロライン・ウォズニアッキを破る大金星を挙げた後、余勢を駆って準決勝でティメア・バシンスキにも勝利して初のグランドスラム決勝にたどり着きました。
決勝では第1セットこそハレプが先取するも残り2セットをオスタペンコが連続奪取。見事ノーシード選手初の全仏制覇を成し遂げています。
男子はクレーコートの帝王に最高オッズが付く
【全仏オープン2018男子シングルス優勝オッズ】
※オッズは25日午前9時現在
男子シングルスのブックメーカー「10Bet」のオッズでトップに挙げられたのは、もちろん帝王ラファエル・ナダル。オッズは1.42倍と圧倒的な数字になりました。V11への大きな期待がうかがえます。
2番手は世界ランキング3位につける驚異の21歳アレクサンダー・ズベレフで7.75倍。3番手は全仏オープン前哨戦のマドリッド・オープンでナダル、ズベレフをクレーコートで撃破し優勝したドミニク・ティエムで8.75倍、そして4番手は怪我から復帰しつつあるビッグ4の一角ノバク・ジョコビッチで10.75倍となりました。日本の錦織圭には7番手タイとなるオッズ33.50倍が付けられています。
【全仏オープン2018男子シングルス組み合わせ】
※「THE TENNIS DAILY」から抜粋。25日午後9時更新
女子は昨年決勝で涙を飲んだハレプがトップに立つ
【全仏オープン2018女子シングルス優勝オッズ】
※オッズは25日午前9時現在
ブックメーカー「10Bet」が発表した女子の最高オッズは、昨年決勝で敗退したシモーナ・ハレプで6.40倍となりました。僅差の2番手にはそのハレプに昨年全仏ベスト8で敗れたエリナ・スビトリナが7.25倍で挙げられています。
3番手は世界ランキング3位のスペイン人ガルビネ・ムグルサで10.75倍。4番手はかつての世界女王マリア・シャラポワと、出産後の復帰に苦労しているかつての最強女王セリーナ・ウィリアムズがそれぞれ11.75倍。昨年度王者のエレナ・オスタペンコが5番手で12.75倍となっています。日本の大坂なおみには15番手タイの33.50倍が付けられました。
【全仏オープン2018女子シングルス組み合わせ】
※「THE TENNIS DAILY」より抜粋。25日午後9時更新。
ナダル、前人未到のさらにその先へ
クレーコートの上では史上最強とも言われる強さを発揮し、全仏オープンを10度も制してきたラファエル・ナダル。まだ31歳の彼は今年もBNLイタリア国際、バルセロナ・オープン、モンテカルロ・マスターズとクレーコートの大会をすでに3つ制覇しており、11回目の全仏制覇へ準備は万端といってもいいはずです。
ナダルといえばレアル・マドリッドの熱狂的ファンであることが知られていますが、そのレアルもUEFAチャンピオンズリーグで2014年にV10を達成。その後も立て続けに優勝回数を増やしていきました。ナダルも心のクラブ同様に、どこまでその史上最高記録を更新していけるでしょうか。
大怪我から復帰を果たした錦織が初の全仏制覇を目指す
2017年途中にけがの影響で残りシーズンの全休を発表し、その後2018年に入ってもブリスベン国際、シドニー国際、そして全豪オープンと休場を続けた錦織。
2月のニューヨーク・オープンで約半年ぶりとなるツアー復帰を果たすとしばらくは苦戦するも、4月のモンテカルロ・マスターズではトマシュ・ベルディヒ、マリン・チリッチ、そしてアレクサンダー・ズベレフと世界トップクラスの選手たちを次々と撃破。決勝でナダルにこそ敗れたものの、復活を強く印象付けています。この調子で錦織は全仏の舞台でさらなる復調、そして初のグランドスラム制覇を目指していけるでしょうか。
女王ハレプ、全仏3度目の正直なるか
世界ランキング1位に君臨する女王ハレプですが、まだグランドスラムを制覇した経験は一度もありません。今年の全豪オープンでも、決勝に進出するもウォズニアッキの前に敗北。3度目のグランドスラム決勝にして再び涙を飲みました。過去に2度決勝進出している全仏で今度こそ優勝を狙います。
2度の全仏決勝進出や、2016年、17年のマドリッド・オープン連覇、今年のBNLイタリア国際制覇などをみても、ハレプのクレーコートでの強さは明らかなもの。今度こそ、全仏3度目の正直といきたいところです。
日本の超新星が全仏の舞台で世界の頂点に駆け上がる
3月に大坂なおみはグランドスラムに次ぐ規模を誇るプレミア・マンダトリートーナメントのインディアンウェルズ・マスターズで日本人女子初となる優勝を果たし、世界に名を知らしめました。元世界1位のシャラポワ、5位のプリスコバ、1位のハレプ、そして決勝では大坂と並ぶ期待の若手ダリア・カサキナを下して栄冠を勝ち取っています。
その後もおなじくプレミア・マンダトリーであるマイアミ・オープンでセリーナ・ウィリアムズを破るなど、確かな実力があることを示した大坂。まだ20歳と大きな伸び代を残した超新星が、この全仏で更なるスターダムに駆け上がるかもしれません。